【オリジナルシナリオ1】 始まり
「イッチャのお願いとは言え、ワタシが墓場で調査ねえ・・・」
町長、イトゥーエン・K・イッチャの依頼によりアカザは墓場の調査をしていた。
数日前、イッチャに墓守から依頼があったのだ。
◆◆◆◆
「そうだアカザ、ちょうどよいんだが、ちょっと頼まれてくれまいか?」
「何? 依頼によりけりかな」
「実はここ最近、墓荒らしが出ているっぽくてな。
埋葬した遺体が消えているんだ」
「それこそ冒険者に頼む仕事じゃない?」
「最終的には依頼するんだが、その前にどう見るかアカザの意見も聞きたくてな」
「アタシが墓地見てくればいいって事?」
「そうだ」
「わかった、明日明後日にでも時間見て行ってくるよ」
「すまんが頼む」
◆◆◆◆
「はぁ・・・。
毎度の事なんだけど、なんで直接依頼ばっかりなのかねえ」
墓石を見つめながら、ため息交じりのつぶやきをこぼした。
墓場の死体が勝手に動き出した。
そしてどこかへ消えてしまったのだ・・・と。
確かに幾つかの墓で、遺体が出てきたのであろう、穴ぼこが出来ていた。
「ふむ、、、確かに変だね。
穢れは感じないね。」
勝手に動く死体。
奴らは動き出す時、かならず穢れを身に纏っている。
それはちゃんと供養されず、魂が天に召されていない奴らが纏う。
だがここは墓場だ。
きちんと教会で供養されている。
それが動き出す場合は、何者かに操られているか・・・別の何かか。
「とりあえず足跡を見る限り、どいつもこいつも奥に向かっているね」
足跡を追いかけ、この町の創設者の墓がある小屋へたどり着いた。
「ここでお祭りでもしているのかね」
小屋を覗き込む。
そこには、
「墓が壊れてる?!」
以前来たのは何年前だか覚えていない。
その時、見た墓は綺麗だった。
「こりゃ酷いね。」
小屋の中を覗き込んでも遺体は見当たらない。
「どうやら、この中に入っていった・・・っぽいね」
アカザは恐る恐る墓石を覗き込むと。
「・・・うーん、これはいったい・・・」
墓の中に遺体は無く、深く暗い穴が地中奥底へ続いているだけだった。
「うーん、さすがにこの中へ1人で入るのは得策じゃないね」
イトゥーエンへ報告に戻ろうと小屋を出ようとした時だ。
彼女の冒険者だった頃の感が訴えてきた。
(何者かがここで野営していたっぽいね。
おかしい。ここは墓守が毎日巡回、掃除しているはずだ。
彼が気づかないわけがない)
何とも言い知れぬ悪い予感がしていた。
(動く死体に、何者かが住んでいた様子。
まあ、後は冒険者に任せちまいましょうかね)
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