夏休み中の高1女子とその保護者さんへ

全国の高1女子とその保護者さんに、夏休み中に知ってもらいたいこと

HPVワクチンの積極的勧奨が差し控えになってから丸6年、
今もほとんどの自治体は個別通知を送っていなくて、
HPVワクチンの情報は対象者へ届いていません。

HPVワクチンの定期予防接種の対象は小6~高1の女子で、
接種は全3回、3回目をうち終えるまでには半年かかります。

高1終わるまでに3回終えないと、高2になってからの分は自費になってしまいます。

自費だと、全3回分で5~6万円。
それが、高1の3月までなら無料で接種できます。

つまり、全部無料で接種するには、遅くても高1の10月までに1回目をうち始めないと間に合いません。

通知がこないがゆえに、娘さんがHPVワクチンを無料で接種できたことを知らずに、すでに対象年齢をすぎてしまっていて残念がる方を何人もみてきたので、

せめて今年の高1女子は機会を逃すことのないように、
この情報が1人でも多くの高1女子とその保護者さんに届きますように。

以下、大事なポイントだけピックアップします。

■予防接種と検診で子宮頸がんはほぼ予防できる

・子宮頸がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染をワクチンで予防できる。

・予防できるHPVはハイリスクの一部だけだけど、子宮頸がんのリスクを約7割下げられる。

・子宮頸がんは20-30代に多く、妊娠出産前に子宮を失うことになったり、子どもがまだ小さいのに命を落とすことになりかねない。

・HPVワクチンで完全に子宮頸がんを予防できるわけではないが、がん検診によってがんになる前に早期発見できる。接種済の人も、検診は大事。

・世界中で接種が推奨されており、こんなにも接種していないのは日本だけ。(接種率1%未満)

・WHOもHPVワクチンの有効性と安全性を保証しており、日本の現状を危惧している。

・子宮頸がんだけでなく、ほかのHPV関連がんや、4価ワクチン(ガーダシル)であれば尖圭コンジローマも予防できる。

■HPVワクチンは定期予防接種

・HPVワクチンは定期予防接種なので、対象者は無料で接種できる。

・定期予防接種の対象は、小6~高1の女子。

・高1までは無料で接種できるけど、それ以降は計5~6万円の自己負担。

・全3回接種で半年かかり、全部無料で受けるためには高1終わるまでに3回目までうたないといけない。

■接種するには

・厚労省が積極的勧奨を中止しているためにほとんどの自治体では通知が届かない。

・なので、自分で自治体へ申請して接種票を送ってもらわないといけない。

・いつでもどこの病院でもワクチンの在庫があるわけではないので、事前に予約をしないといけない。

・赤ちゃんの時の予防接種と同様に、予診票に保護者のサインが必要。

・厚労省が積極的勧奨を中止したきっかけは、2013年頃に副反応報道があったため。

・その後の調査で、副反応と言われている症状とHPVワクチンとに因果関係は証明できなかった。

・安全性に問題はないとして、定期予防接種からはずされてはいないし、勧奨もしている。積極的でないだけ。

ただ、厚労省が積極的には勧奨していないがために、

・自治体へ問い合わせした時に、「本当にうつんですね?」など確認される可能性がある。

・HPVワクチンのことをネットで調べると、不安になるような内容がでてくるかもしれない。

ですが、娘さんの将来のことを想うならば、ぜひHPVワクチンの接種を検討してもらいたいと、産婦人科医としては強く願います。

夏休み中に1回目の接種を


接種を希望する高1の女の子は、なるべく早めに、遅くとも10月までには1回目を接種しましょう。
とはいえ、毎日学校に部活に塾に忙しい中、受診するのはなかなか難しいと思いますし、ぜひ夏休み中に1回目を。

今から自治体へ申請すれば、夏休み中には接種票が届くと思うので、まだ間に合います。

8月末に1回目をうつと、2回目は2ヶ月後(4価ワクチンの場合)なので、10月末。インフルエンザの予防接種と同時接種もできる時期です。

決して急いで決める必要はないですが、無料接種期間をすぎてから後悔することのないように、1人でも多くの中学生~高校1年生の女の子とその保護者さんにこの情報が届きますように。

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