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ギフティング(投げ銭)コミュニティサービス『Engate』をBリーグで体験してきた話🏀 トークンエコノミーとアスリートビジネスのマネタイズについて考える:其の弐。

※前回のトークンエコノミーについての記事はこちら※

さてそれではEngateでの投げ銭を実践した際の一連についてと、トークンエコノミーとしての可能性含めた将来性について💰🕸

開場後、場内の物販やレクリエーションエリア的なスペースの一角でEngateについてのインタビューも行われる、とのこと🎤

ビレバンとコラボしてるというグッズは狙ってるのかわからないけど、妙に野球色が強いものが数多く。元ベイスターズの人がやってる焼肉屋さんBEEFMANがお弁当出店してたし、野球界の人が何かしら関係があるのかも🤔

選手のウォーミングアップタイム中にEngate 代表 城戸氏のインタビュー🎙️

ただ、場内のビジョンに映されるでもなく、音もブースのスピーカーからは流れていたけれどスタジアムDJのBGMがそれを上回る音量で鳴っているため、ほとんど何が何やらという残念な感じでした…。

なおこの日はEngateにアカウントを開設すると100ポイントが付与されて投げ銭に使えるというので、取材に行った4名で↑のようなチラシにあったQRコードからEngateに登録。しかし、なぜか2人はいつまでたっても付与されずクレカでポイントを買う展開という不安しか感じない船出…w

EngateトップをPC環境で見るとこんな感じ。

Engateは現状ブラウザベースで稼働しているので、HPにアクセスしてアカウントを開設します。

↑画像はPCからの10月29日時点でのスクリーンショット。横浜ビー・コルセアーズの試合時点よりもサッカーJ1の湘南ベルマーレなど参加チームが増加しています。

スマホから見るとこんな見た目。

なお上部バナーの『参加チームをチェック!』を押下するとURLが変わるだけでほかはトップと何ひとつ変わらない&下の方にスライドして行くとメニューボタンはいなくなってしまうという……🎃

なにはともあれ、メニューボタンから"ポイント購入"に進む。

ポイントの画像は後からスクショしてるものなので残高が100pより多くなってますが、クレジットカードでEngateポイントを購入して何度か投げ銭した結果の数字です。

ポイントと円の価格設定がLINEなどと比較して果たしてどうなのかということはここでは触れません🤐

横浜ビー・コルセアーズのページに遷移すると現在はこんなレイアウト。

リワードはその時のキャンペーン情報のようなものが掲載。
ランキングはギフティングを受けた人(選手/チーム)&送った人(ファン)のポイントランキングページ。
選手一覧は文字通りです。

右下の”ギフティング”を押すと投げ銭をするためのアイテム購入と選手を指定するページへ。なお動画はYouTubeの限定公開が埋まってるだけだったので、URLシェアしちゃえばEngate上じゃなくても見られると思います…🤢

各競技共通で使える"FIGHT"や"LIKE"のほか、バスケットボールに特化したデジタルギフトも並びます。ギフトそれぞれにポイント=価格が違います。

なお試しに野球独立リーグの徳島インディゴソックスで見てみたらホームランや盗塁といった野球用語を使用したギフトが設定されておりました。

ダンク=1,000ptでびっくりからの、ブザービーター10,000ptでさらにびっくり…(☉∀☉)

テンション上がるプレイ出たときこそスパッと投げ銭したいのに、ざっくり1万円て…。この日の試合で第3Qにビー・コルセアーズ細谷選手が素晴らしい3Pブザービーターを決めたときに初めて価格に気が付きましたが、絶句😱😱

で、アイテムを選んでから当該選手をプルダウンで選ぶのですが、選手名がテキストで羅列されるだけなので熱心なコアファン以外にとっては誰が誰だか分かりづらい状態なのが残念…😟

なお、ブザービーターの右側にはさらに高いアイテムが転がってますが、そちらは30,000ptです(‘д‘ ) 野球ではホームラン=10,000ptサヨナラ=30,000ptでした。

先程ポイント購入時の価格設定に関してもスルーしましたが、細かい値段設定に関してもここでは触れません🙉🙉🙉

実際にギフティング=投げ銭をすると↑こちらのような形でちょっとしたアニメーションが表示されて完了します。

先述の通り、投げ銭を受けた選手のポイントランキングであったり、投げ銭を送ったファンのポイントランキングも表示されていきます。こうして選手や監督といった投げ銭を受ける側だけでなく、送ったファン側のデータもそれぞれ情報が記録されていくことになります。評価経済モデルのような形ですね。

ただ実際にスマホを触って現地で投げ銭をしてみた実感としては、バスケのような点が入ってもプレーが"止まらない"競技においては、選手の名前と顔が一致していたとしても目線をスマホに落として作業に時間を奪われるのはなかなか厳しいということを体感しました😅

まだこちらも慣れていないとはいえ、試合会場だけでなくたとえこれがネットなどでの放送視聴であったとしても難しいかも。アプリもローンチされる予定ということでしたので、このあたりは今後に期待。

※NBA CLUTCH TIME 画面:FLY(https://flymag.jp/ ) より

例えばUIに関していうと、↑こちらはNBA公認の「NBA CLUTCH TIME」というゲームでの画面なのですが、こういった形でラインナップがレイアウトされているインターフェースで構成。番号も含め、ひと目で選手を認識できるUIになってくれているとストレスなく投げ銭をできそうな印象を受けました。

またデジタルギフトの種類についても極力少ないメニュー構成の方がUXとしては間違いなく良いです。

野球のようなプレーひとつひとつが断続的な競技だったり、サッカーのように点が入った瞬間にアウトオブプレーになって間が出来るものならまだともかく、バスケのように原則流れ続けるスポーツにおいてはギフトや選手を選んでいる間にリアルタイムで進行しているプレーを見逃してしまいます。

投げ銭でゲームの興奮を逃してしまっては本末転倒ですので、如何にしてユーザの行動を少なくシンプルに出来るかというところが今後のUX改善での不可欠要素ではないでしょうか。


(※ウイニングイレブン2017より)

将来的にはスポーツであろうがe-sportsであろうが、どんな競技や場面においても拍手や歓声を送るようにギフティング=投げ銭を送れるようになるとある種のゲーミフィケーション的にもなって楽しめるかなとも思いました。

例えばサッカーにはなりますがウイニングイレブンのフォーメーション画面のようなレイアウトで出場選手がひと目で認識できて、選手の画像を押す⇒ギフト選ぶ⇒投げ銭完了🏅といったように2タッチくらいで投げ銭出来る的なイメージとか。バスケの場合は常に選手も流動的に変わっていくので、AIか手動で選手の変更を反映させつづけることが難しいのは重々承知ではありますが…。

※BAE (http://urx2.nu/N1Dl)より

↑こちらは電通テックが立ち上げたVRスポーツ観戦サービス『XRstadium』からの画像。こういったVRないしはARを使用した観戦技術にプラグインとして投げ銭機能を実装するなどして、目線を競技から離すこと無く投げ銭できるとかなり活発なやり取りが生まれそうに感じます✊🏻👏🏻

先日立ち上がった麻雀Mリーグでのライブビューイングでも体感しましたが、競技であれコンサートなどであれ、エンターテインメントは自分ひとりではなく誰かと同時に体感して感情を共有することでその楽しさが何倍にも膨れ上がります😃

VRやアバターを活用することで、離れた場所にいる観戦者の人たちがコンテンツをより大きく楽しむことができるツールとして、Engateのような投げ銭サービスが機能する可能性もあるのではないでしょうか。

また本質的には、ギフティング=投げ銭はある程度の規模を持つプロスポーツチームのようなコミュニティに向けるものだけではなく、SHOWROOMや17LIVEで成功している人がいるように、個人や小さな組織にとっても非常に有効な手段となりうるものです

例えばこの日パフォーマンスしていたチアリーダーの方々やキッズパフォーマーたちだって、大きな金額ではなくともそうした投げ銭を受けられるプラットフォームがあれば、その活動費になるというところでも助けになるでしょう。また自分のパフォーマンスに対して明確な対価が得られるという環境が存在すれば、プロとして『自分の価値』というものについての意識も高まりパフォーマンスが磨かれていく可能性も考えられます。

そのように『価値』について考える機会が早い段階から増えていくことで、日本のスポーツやエンターテインメント全般にも蔓延している根拠のない嫌儲主義とそれに付随する『無知』を払拭できるかもしれません。

違うところに目を向けると、野球はバットやグラブなどの用具費がそれなりにかかってしまいますし、どんなスポーツでも共通して言えることは上のレベルに上がれる選手ほど遠征などで基本的にその活動費用はかさみます。

スポーツの奨学金などがあるにしても、上を目指せるレベルにある場合にはアマチュアのフェーズであっても親御さんや選手当人の負担はバカにならない金額になっていくのは避けられません。僕の知り合いでもスポーツ推薦を複数もらった中で、家庭の経済的問題も考えてスポーツのレベルが最も高いところではないけれど学費の免除があるという学校に進路を決めた友人も学生時代にいました。

またEngate代表の城戸氏によると、プロジェクトの由来に関しては友人がオリンピックに出場する際の資金集めに尽力したところからテクノロジーを活かしてスポーツを支える仕組みについて考えてきたところからとのこと。

前述の記事で『Baystars coin (仮)』についても触れましたが、ベイスターズのように地域と密着して飲食や商店など多種多様なところとの提携をEngateが実現して経済圏を創出することが出来れば、金銭といった"経済面"のみならず、『食』・『用具』・『知識』などアスリートが本当に必要とするサポートを提供できるプラットフォームとなる可能性はあります

それはまさに上述の城戸氏の原体験とも符号するものであり、厳しい環境で戦っているセミプロやアマチュアアスリートの支援のみならず、経済的な問題によって進路の幅を奪われる子供を減らすことが出来る可能性を秘めている、ということです。

現状のEngateではデジタルギフトのみが取り扱われておりますが、一般にタイムバンクやスマートコーチのようなサービスも増えてきており、Engate内でそうしたスキルシェアもオプションメニューとして取り扱われれば様々なフェーズのアスリートをサポートする真のギフティングコミュニティサービスとして成長していく可能性もあるでしょう。

YouTuberとして大きな金額を稼ぎ出す子供も世界を見渡せばすでに当たり前に存在していますが、プロアスリートを目指す子供が自らの活動費を稼ぎ出す時代が来ても全くおかしくないと個人的には考えています。

そのプラットフォームがEngateなのか、LINE(Link point)なのか。はたまたNANJ Coinなのか、それか世界のどこかブロックチェーンですらないサービスで実現されるのかはわかりませんが、今後数年で数多くのサービスが展開されていくと想像しています。

この試合後の集合写真に映っているたくさんの人たちは横浜ビー・コルセアーズというバスケットボールチームがの中心になって、この日この瞬間、同じ場所に集まっています。このようにスポーツやエンターテインメントは全く別のコミュニテイである人々をリアルであれネット上であれ、ひとつの『場』に集める力を持っています

Engateのような経済圏(トークンエコノミー)がプロスポーツのみならず、個人やアマチュアにまで広がっていくようになれば、バスケットボールや野球から始まったコミュニティがダンスやバレエ、はたまたe-sportsなど全く違うところの選手や家族と助け合うことが出来る世界を作り出せるかもしれません。既にEngateはバスケ・サッカー・野球など多様なチームと提携しておりますが、それでこそこうしたサービスに価値が生まれます。

クラウドファンディングのようにサポートして直線的に終わりになってしまうのではなく、シナプスが繋がっていくように、助け合い支え合う輪が少しずつ広がって、今日自分が行った投げ銭が回り回ってどこかで誰かの未来を支え、またいつか産み出される才能に繋がっていく。Engateのようなトークンエコノミーサービスは究極的にはそういったエコシステムの実現を目指していくのではないでしょうか。

EngateのUI / UXはエンターテインメントビジネスで仕事をしていた身からすると、開発に関わった人たちが何を考えてたのか小一時間は問い詰めたくなる……というレベルではありますが、何はともあれプロジェクトは走り出したばかりとのこと。横浜ビー・コルセアーズにおいても既存ファンクラブでのポイントと連携が取れていなかったりというところなど課題は数多く存在している印象ですが、それらの改善・進歩にゆるーく期待しつつ、LINEのLink pointやNANJや海外の類似サービス動向も含めて、トークンエコノミーとエンターテインメント / アスリートビジネスの可能性については引き続き追っていこうと思います⚾️⚽️🏀

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