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社会人美大生1年目(3年生)を振り返る

(サムネイルに使用した画像は没にした課題の一部です)

前回の更新は去年秋ですが、大学には4月から在籍していたのでもうすぐ早いもので在籍から1年になり、来月には翌年度の履修登録が始まります。しかし大変だったし1年は本当にあっという間だった。

とりあえず1年の間に何をしたのか、理想とのギャップ、来年度はどうするのかについてざっくり話をしようと思います。自分のプライベートに踏み込んだことだったり、学校のポリシー上SNS投稿禁止の事項が多く、あまり多くは語れないですが、参考程度に取ってもらえれば幸いです。

前回の投稿で入学の経緯について触れていますのでこちらもどうぞ


そもそもムサビ通信のカリキュラム編成ってどうなってるんだ、という話

まずそもそもこの前提を理解しないと混乱するので、最初にムサビ通信がどのような構造で単位を取れるように設計されているのか、という話をします。

ムサビ通信は主に以下の3つの構成とそれが細分化したもので出来上がっています。

  1. スクーリング

    • いわゆる対面授業

    • 基本週末開催。金土日の場合もあるし、夏は盆休み返上の場合もある

      • デザイン系に関しては土日のみのスクーリングが多い

    • 三鷹、吉祥寺、鷹の台で実施 → 2024年から吉祥寺がなくなるので三鷹、鷹の台、市ヶ谷になる

  2. 通信授業

    • 課題をもとに自分の作品を作り郵便で提出し、添削を受ける

    • 郵送でのレポート提出の課題もある。

    • 単位習得にあたり、レポート提出前後に会場へ出向いてのテスト受講が必須の科目がある

  3. メディア授業

    • オンデマンド配信

      • 昼夜問わずいつ受けてもいい授業

      • オンラインで受けるテストがある場合、ない場合がある
        (テストがない場合はレポート提出があるし、両方ある場合もたぶんある)

      • レポートなどはWebで提出

    • リアルタイム授業

      • Zoomで特定の時間に配信される、オンラインのスクーリング。

      • 時間通りに出席しないと単位がつかない。出欠席は対面より厳しい

      • レポートなどはWebで提出

上記1-3すべてに、必修の授業が存在します。また、私が在籍するデザイン情報学科に限ってはオンラインの授業が多めですが、絵画系・工業デザインの授業はスクーリング比率が圧倒的に高くなるようです。持ち物が多くてデカいのは容易にイメージできる。

1単位しか取れないものは最短数日〜1週間、かかっても2週間以内に終わることがほとんどですが、ほとんどの科目は2単位で、最初の課題が合格したら次の課題に進んで、それも合格できればようやく2単位取れる、という科目が多い。

また、提出から返却までにも3週間〜1ヶ月はかかるので、通信課題は本当に時間がかかります。

何をしたのか

スケジュール的に

個人的な事情で翌年度以降の履修についてはまずスクーリングを必要とする科目がほとんど取れないことを想定していたので、結果的に2023年は下記のようになりました。

  • 必修科目のスクーリングを詰めれるだけ詰め込む

  • 通信課題のうちWebで完結できるものやレポート課題のみの提出で終わるものに関しては、履修登録後早々に終わらせる

  • 9月以降はスクーリングの課題と並行する形でずっと郵便提出の課題をこなす

結果、以下のような感じになりました

  1. 10月ごろまでにレポートやWeb提出だけで終わるものはほぼ全部終了

  2. 9月以降12月上旬までほぼ毎週末スクーリング

  3. 9月以降、2月中旬までスクーリングの課題と並行する形でずっと郵便提出の課題をこなしていた

郵便提出の通信課題の内容は学習指導書の文字で見るより実際にやってみるとかなり重い課題が多いです。
特に造形基礎IA, IIIAあたりの絵の具を必要とする課題は準備や絵の具の乾燥にそもそもかなりの時間がかかるので数日では全く終わらず、「うわー詰んだ・・・」となりました。
造形基礎IIIAに関しては他の課題やスクーリングを並行してたのもあり3ヶ月くらいかかってしまったし、他の課題をやってなかったとしても1ヶ月はかかる課題だった・・・

なので、9月以降はほぼ毎日寝ずに課題を一日に2つくらい同時並行することになり、その間にスクーリングもあったので最後の方のメンタルは地獄でした(後述)。

また、通信課題とはいえ画材や紙を結構な量用意したり、ものによっては文献によるリサーチがないといけないケースも多いので、お金も結構飛んでいきます。特にスクーリングで立体物を作る場合、毎週のように世界堂やオカダヤ、ユザワヤに足を運んで重い荷物を持ち歩く生活を覚悟する必要がありますし、出費が大変多くかかります。

お金に困っている方々、先生は反対しますが、可能な限り材料調達は100均から回ることをおすすめします。あと、スクーリング中に作成した課題は基本的にデカくても学校で破棄できず、自宅に持ち帰らされますので大きさの指定がない課題は小型化できるといいと思います。

授業の内容的に

おそらく武蔵野美術大学全般もしくはムサビデザイン系学科全般のポリシー的なものだと思いますが、「デザインするには言語化、言語化するにはまず自分(と自分の周囲)を知ることから」という精神がカリキュラムの端々に働いていると感じます。

デザイン系の必修課題は、基本的に「自分について振り返る / 自分を知る」→ 「身の回りのものを知る」→ 「そこで得た自分なりの関心ごとやアイデアを形にする」というメソッドで成り立っているような課題が多くあります。中には自分の人生、自分の歴史をビジュアライズするという課題もあり、メンタルをえぐられるような場面に遭遇することも多々あるので、ほどほどに課題と向き合う強さも求められます。

翌年度以降に履修する科目については今のところ何をするのかまだ不明ですが、卒制は基本的に自分が興味関心を持っている項目を抽象度を上げて深掘りしていき、そこで得られたスタディーをもとに作り上げていく作業のようです。(解釈は間違ってるかもなので当てにしないでください)
なので、自分を知ることがいかに大切なのか、というのは、ああそうかもな、と確かにうなずかされます。

評価について

正直な話先生にもよりますが、基本的にはかなり厳しいです。特に実感として、スクーリングで受講したデザイン系科目の評価はどれもイマイチでした。スクーリング中の講評では結構いい感じだったのに実際蓋を開けてみたらめっちゃ塩評価…なんてことも結構ありました。

唯一、インフォグラフィックを担当してた先生が私をとても褒めてくれる先生で、途中からそのテンションで作業してたら楽しくなり結果的に比較的高評価だったのでそれはよかった。私は完全に褒められて育つタイプ、もしくは豚もおだてりゃ木に登るの典型的な例。

成績は基本的に授業参加の態度そのものはあまり見ておらず、成果物が全ての傾向がありそうです。とある授業で体調不良になってしまい授業4日間のうちの半日スキップしてしまったものがあったのですが、それでもフルで参加した授業に比べて点数がよく、どういうこと?となりました。

ちなみに、レポート課題を経験するとわかりますが、日本語の使い方に本当に厳しいです。私は海外帰りでいまだに日本語と英語が混じって何言ってるかわからないことがありますが、そういう状態で書いたレポートについては「ちょっと何言ってるのかわからないです」と、添削文に普通に書かれます。笑
日本語に自信がない方や普段横文字ばかり使用してしまう方は注意した方が良いです。これに気がついてから、洋書ばかり読んでいた私もさすがにまずいと思い日本語の本を読み直すようになりました。

あと、デザイン系の授業は「説明がなくても第三者に意図やイメージが伝わることが重要」なので、生徒からの得票で評価が決まる項目もいくつか存在します。その授業の場合は先生からの評価と生徒からの評価の両方で見られるので、生徒からの評価が良いと必然的に成績も高くなるようです。
逆に言うと、先生が超良い評価をくれても生徒から得票がないと全然点数が取れません。先生に褒めちぎられた課題で先生のアドバイスを鵜呑みにしたら生徒からの評価が低すぎて評価が鬼低い、なんてことも。

重要なのでもう一度お伝えすると評価は基本的に超厳しいです。何か満たしてない要件がある場合は容赦なく再提出を求められます。高GPAを取ろうと思うとずば抜けた発想力とかエクストラの視点や気配りが求められる様子なので、お金を惜しみなく使えるシチュエーションでない限りは、履修科目を経験のある得意な項目に絞るか、それが無理ならGPAは諦めてクオリティーはそこそこに、できるだけ短期間で単位を取る方に全振りした方が無難です。

※絵画系などは全く評価軸が違うはずなのであくまでデザイン系の授業の評価としての参考です

いろいろ振り返ってみて

あくまで私は、ですが、総じて美大に編入する選択をしたことは良かったことだし、間違ってなかったことだと思います。ただし、それがムサビだったことが良かったのかと言われると、まだなんとも言えない。

実は入学前、絵は得意だったしずっとやりたい分野だったため、イラストを描きたいという気持ちがあった私は、完全オンラインで完結できる京都芸大のイラストレーションコースとムサビのデザイン情報学科のどちらにするかで最後まで悩んでいました。

最終的に基礎力やコンセプト力の強化に軸を置いた結果ムサビが圧勝して現在の入学に至っているのですが、いかんせんスクーリング授業が多いし、作品のアウトプットが立体、デジタル、絵画、イラスト、レポート…と多岐に及ぶし、それに加えて評価が厳しいので、例えば高GPAで大学院の奨学金をゲットしたいと思うとその夢は結構遠いなあと思わざるを得ません。かつ、書類や教材の受け取りを国内でしなければならなかったり、スクーリングの一部が卒業要件に関わってくるので仮に比較的すぐに海外に移住を検討する場合は休学も視野に入れなくてはなりません。

京都芸大の場合、イラストレーションコースと芸術文化学科は事務手続きも含めてオンライン完結なので、デバイスさえあればどこでも受講できると言う点が非常〜〜にやりやすいのですが、カリキュラムがイラストレーション学科の場合は実務的な内容、芸術文化学科の場合はリサーチとレポート課題に完全にフォーカスしていてちょっと専門学校っぽいので、広くコンセプトの作り方、幅の広げ方を学べるのかには疑問がありました。ただし実際に大学に入ってみると、イラストレーション = 描写できる能力やリサーチ能力は実務でも結構役立つポイントだったりするので、こっちをとっても良かったのでは…という気持ちがチラつくことがあります。

どちらにせよ一長一短あるので、どっちが良かったかわかるのはきっと卒業して大学院に入りたいと思ったときなのでしょう。ただし今のところは、まず自分を知るというプロセスを美大で必修授業として経験することが結構予想外で、これが思いのほか自分が今後どうしていきたいかを考える上での足がかりになっているとは感じられるので、自分の人生的にはムサビに入って良かったのだろうと思います。

ただし、ムサビ通信をおすすめするかと言われたら、「大卒資格なくて、美大でデザインの根本から学び直したい、日本(東京)にこれからもずっと住む人にはすすめる。そうじゃないならサッサと大学院に行け、じゃなかったらどこでもいいから早く単位取れる大学にした方がいいぞ」と言います。正直、そんなに時間とお金無駄にできるほど人生長くないっすよ。たとえ3-4年とか5年って言っても。

来年度以降どうするのか

とりあえず通信課題の複数科目が未履修もしくは履修し掛けで残ってしまいました。なので、必然的に卒業までに3年かかることが確定です。まあ想定の範疇なので良いんですが…。

来年度は正直いまだに日本にいるか海外にいるかがはっきりしないので、基本的にスクーリングの授業は取らず、オンラインもしくは郵便で完結するものに絞って対応しようと思っています。状況によってはその翌年は休学するかもしれない。来年日本にいるようであれば、そのまま卒制に向けて頑張っていきたい所存です。

いずれにしても、大学と仕事に加えての東京生活は本当に過密で冬場にバーンアウトしてしまったので、来年度は極力人に会うことなく粛々と課題をこなしていくことにフォーカスしようと思います。人付き合いが悪いと思った方、それは私のせいではなく課題のせいです。すいません。

大学院もそこそこに忙しいと大学院に通う友人から聞いてますが、正直、社会人でいる限りはそれとほぼ同等に忙しいのが通信制大学だと思います。本記事がこれから通信制美大(特にムサビ)に入る方の参考になれば幸いです。


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