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番外編 舞台衣装

安室奈美恵さんが引退されましたね。歌や踊りが唯一無二でカッコいいというだけでなく、ご自身を音楽を体現するものとしてセルフプロデュースしていく姿を、仕事人として尊敬してました。

衣装も素敵でした。私のお気に入りは、Finallyツアーで登場するときに着ていた、赤のジャケット&ボリュームたっぷりのスカート。深い赤に黒のチュールを重ねていたのが、遠目にも立体感と存在感を感じて、印象的でした。コスプレするならこれだな!と思っていました。しませんけど(笑)

そして最後の紅白歌合戦で着ていた、真っ白な、これもやはりジャケット&ボリュームたっぷりのスカートも好きです。ツイードのジャケットが体にあまりにもフィットしてるので、動きにくいのではないかしら、伸縮性のあるツイードを使っているのかしら...などと思っていました。

そうしたら、見つけました、その秘密を!
引退までの1年間を密着していた番組のなかで、紅白の衣装を着た安室奈美恵さんの後ろ姿が映ったら、その背中に、アクションプリーツ 的な何かがありました。

トレンチコートにあるストームシールド(肩にかかった雨の水滴を下に落とすもの)に似ています。けれど、この衣装では、ただ布を重ねているのではなく、アクションプリーツ のようにゆとりを生み出すための工夫が施されていると思います。

後ろ身頃はタンクトップ型をベースに、ヨークを重ねることで、肩甲骨周りの動きやすさを確保しているのではないかなぁ..と推察しています。
「フィットするけど動きやすいジャケット」を検証してみようと思います。


少し前に、やはりテレビで、バレエ衣装を専門に作られている方のインタビューを拝見しました。一般の洋服とバレエ衣装の大きな違いのひとつが、手を上げたポーズが最も美しく見えるように作ること、とおっしゃっていました。

いま着ている服のまま、このポーズを取ってみると、「手を上げたときに美しい服」を作ることの難しさがわかります。ここには、パターンの工夫がたくさん施されているのだと思います。

日常生活とは違う目的をもって作られる舞台衣装。そこにもやはり、目的に応じた「動きやすさ」とそれを美しく見せるための「ゆとり」を実現するためのパターンの工夫があるのですね。やっぱり、パターン製作の根っこは「動き」と「ゆとり」だな、介護は特別なことじゃないんだよね、と改めて感じたのでした。