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苦手なもの

今 施術室の窓を開け放している。数日降り続いた雨がようやく上がり、夕刻に近づくにつれ空氣も乾いてきた。部屋の湿度はMAXべたべたな感じ。このままじゃ氣分が悪くなりそうだったから、少し冷たく感じる風も嬉しい自然の恵みだ。

外の様子も聴こえる。家路を急ぐ足音。近くの田圃の蛙たちの声。そしてその中に際立つ音が…。
幼いこどもの金切り声だ…。
「もぉ〜ヤーダー!」
「やめてー!いかないー!」
同伴者のおとなにめっちゃ抵抗してる言葉がハッキリ聴こえてくる。そしてそれは泣き声を伴っている…あかんヤツや…。
わたしはこの声が本当に心底苦手なのだ。
心がざわつく。思いっきりキツい。

幼い頃、夕暮れはなぜか物悲しくて、遊び疲れて眠たくて、おまけにとっても空腹だ。なにも理由がなくても泣きたくなる時間。
そしてあの子は多分おうちに帰りたくないんだろう。まだお外で遊んでいたいのかな。
…だとしてもだ。わたしにとってあの泣き声は波動を乱す最も苦手な音なのだ。それはオトナの争う声、感情を荒げた時の声も同じだ。たまらなくなる。

幼い頃、両親の感情の沼に引きずり込まれながら育った記憶がどうしてもこの手の声・音を受け入れ難くしている。

匂い・音・感触・味覚・視覚。
太陽星座牡牛座生まれのわたしは五感の快不快に非常に敏感だ。
そして月星座は天秤座。バランスを崩したものに対する細胞レベルでの拒否反応がどうしようもない.…バランスとは他者との間に生まれる均衡。
これが保たれていない様をみるのが心底苦手だし嫌なのだと思う。何故ならわたしの中にバランス感覚がないから…。そしてそれを認めることが下手で長い間苦しんでいたから…。そしてキロンも牡羊座なわたし。これまで(50年ほど)自分の存在意義を自らに問う人生だった。長く苦しい閉塞した心理の檻に閉じ込められ(いや自ら入り込んだのだ)もがき続けてきたのだ。

今はその状況に対峙する方法を知った。
苦しい時は牡羊座を使うんだ。我あり。
「I am」そう。離れればいいのだ。嫌だと思ったら自分の氣持ちに正直に、その場を離れたらいいのだ。それができなかったのは、自分さえ我慢したら世界は順調に回る筈。だから我慢しよう。息を潜めよう.…。

その間違えた思考回路をし続けた結果、鬱を選択し、底を味わった。

心通う大切な星読みの仲間と最近話したこと。それは、地獄の釜の蓋を開ける覚悟が魂の安寧への第一歩だということ。

経験を重ねても歳を重ねても.…あの金切り声には心がざわつく。経験を重ねても歳を重ねても.…月星座は心をざわつかせる。
そう、そっと離れたらいい。
もうわたしは7歳のこどもじゃない。
そしてあの金切り声のこどものこころが穏やかに宥められることを祈ろう。
奈良の夕陽は今日も美しかった。

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