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楽曲派と名乗る・呼ばれるオタクたち

対バンライブで見るのは、5グループまでが限界。

地下アイドルオタクのかべのおくです。


今回は、ちょっと政治色の強い記事になります。炎上するかもしれません(しない)。

アイドルオタクの区分のひとつに、楽曲派オタクがあります。「エクストロメ!」や「iCON DOLL ROUNGE」にいる人たちという印象が強いと思います。年末には「アイドル楽曲大賞」なるイベントが開かれているなど、確実に無視できない勢力です。

存在は認知しているのですが、どんな人たちなのかはあまり知りませんでした。そこでこの機会に、僕なりに調べて思ったことをまとめてみました。


2023/1/17追記:この記事を書いて8カ月、だいぶ僕自身も楽曲に精通してきたと感じるようになりました。そこで表現の修正と内容の追加を行っています。具体的には、「楽曲派とはいかないまでも、少しくらいは楽曲について語れるようになりたい!」という疑問に答えるため、後半に僕なりの「楽曲オタクのなり方」をまとめました。


そもそも楽曲派オタクとは?

楽曲派オタクの起源

憶測で語るのも失礼なので、少し調べてみました。参考になったのはこちらの記事です。


どうやら楽曲派オタクのその起源は、以下のようなグループに代表される「楽曲派アイドル」にあるようです(もう結構解散してる…)。

  • BABYMETAL

  • amiinA

  • sora tob sakana

  • maison book girl

  • NEO JAPONISM

これらのグループの特徴は、強力な音楽プロデューサーがついていたり、有名な作曲家に依頼して楽曲を作ったりしていることです。そしておそらく、これらの楽曲派アイドル応援するオタクが最初の「楽曲派オタク」だったのではないでしょうか?


しかし、彼女たちの隆盛もあって、いまではアイドルに「楽曲」という評価軸も当たり前に存在するようになりました。そしていまでは特定グループだけでなく、一般に「アイドルの可愛さやビジュアルだけではなくて、その楽曲にもこだわるオタク」を指すみたいです。

とくにコロナ禍を経て、フロアの熱気に頼らずにステージ側でライブを成立する必要性が生じました。したがって、楽曲の良さは売れるための必要条件になったように感じられます。


「楽曲派」は、オタクの生存戦略?

というわけで楽曲派オタクの起源を見てきましたが、別の見方をすることもできます。それは、差別化を図る生存戦略としての楽曲派です。

オタクは「自分のほうが現場に来てる」「チェキを沢山撮ってる」などと、すぐに他のオタクと自分を比べたがります。だから「いや、自分は楽曲が好きなんすよ!」というのは大きなポジショニングのひとつになりえるわけです。


楽曲派を名乗ることのメリットは、そのステータスが「曲が好き」という情緒的価値に紐づいていることです。

チェキを積んだり、ライブに通ったりするのにはお金や時間が必要になります。対して、楽曲派がどれくらい曲が好きなのか?ということを示す指標はとても曖昧なので、名乗った者勝ちなのです。楽曲派オタクを名乗ることはコスパの良い生存戦略と言えるでしょう。

おそらく多くの楽曲派オタクは、最初から楽曲派オタクだったとは限りません。言動と実態が伴わず、「楽曲派()」と揶揄される時期もあることでしょう。しかしそれでも自分を貫ける人だけが、本当の楽曲派オタクになれるんだと思います。


あなたはどっちの楽曲派?

楽曲派オタクはその嗜好によって、「アクティビスト型」「アナリスト型」に分かれると考えられます。これらはおそらく「楽曲派オタク」として一括りにされていますが、その実態は全く異なります。

アクティビストタイプの楽曲オタクは楽曲派アイドルに限らず、あらゆる現場に存在しえます。「この曲が好き!」「この曲じゃないとダメ!」という意見を強く言うオタクです。独自の世界観を持っていて、大抵セトリにうるさいという特徴も併せ持ちます。

もう1つのアナリストタイプの楽曲派オタクは、もともと楽器やバンドなどをやっていて音楽の素養が高いオタクです。そのうえで多様性を認めていることも特徴なように思えます。曲の作りとか、表現の仕方とか、純粋にアイドルの評価指標に「楽曲」が入っているのです。


じゃあ、アクティビストとアナリスト、どちらの楽曲派オタクが良いのか?と言われると、これは難しいところです。

前述のような書き方では、アクティビストはただの自己満足なオタクで、アナリストは客観的な良いオタクに映るかもしれません。でも、もしかしたらアナリストたちはアイドルを推すことから逃げていると言える可能性もあります。つまり「アイドルが好きなんじゃない!曲が好きなんだ!」という言い分が成立しうるわけで、これは楽曲派()といわれて馬鹿にされるかもしれません。


しかし、アイドルはアイドルである以上、楽曲だけが評価の対象とはなりません。そもそも本当に曲が良い、歌が上手いならアイドルではなくアーティストでいいはずです。そうではなくて「アイドル」と名乗っているわけですから、可愛さ・ダンス・MC力などの総合的な評価を下されるべきなのでしょう。あくまでの「アイドルが強い曲を歌っている」のが良いわけです。

もちろんそんなのはアイドル側の事情であって、オタクが「楽曲が好きだからこのグループを推している」という理由を持つぶんには構わないと思います。実際に僕も、対バンで曲が強いグループがいるとテンションが上がることは大いにあります。結局、自分の中では楽曲の優先度がどれくらいなのか?というのをしっかりわかっておけばよいということなのだと思います。


楽曲派オタクになるための3つの方法

ここまで楽曲派オタクの起源とその分類について語ってきましたが、「自分も楽曲派オタクとはいかないまでも、楽曲を語れるようになりたい!」という人はいると思います。

そこで僕なりに「こうすれば楽曲派に近づけるんじゃない?」という方法を3つ紹介します。試してみて、効果が出たら教えてください。


①ライブに行く

楽曲派になるうえで一番簡単なのは「ライブを見に行くこと」、とくに対バンライブです。なぜなら、対バンで様々なアイドルの全力パフォーマンスに触れるからです。

地下アイドルオタクにとっての対バンは、新規顧客を獲得するための営業に他なりません。そのためどのグループも、自分たちの持ち札のなかで一番良い曲を惜しげも無くぶつけて来ます。したがって、対バンに行って推し以外のグループをある程度見るだけでも、地下アイドル楽曲にはそこそこ詳しくなれるでしょう。


そもそも地下アイドルのライブに行く時点で、女の子に「可愛い」以外の要素を求めているオタクは多いでしょう。

また、単純にライブを近くで見ることは刺激的ですし、沢山の曲を聴いていれば自然と好みが生まれる可能性が高いです。この意味で、地下アイドルオタクはみな楽曲派予備軍とも言えそうです。


②大きな音で聴く

「ライブに行け!」とは言えど、これがあまり現実的ではないことは分かりきっています。なぜなら星の数ほどあるライブハウスの中で、行けるライブよりも行けないライブの方が遥かに多いからです。そもそも仕事が忙しい、地方住みなどであまりライブに行けない人もいるでしょう。

また、ライブでは聴覚以外の情報も沢山受け取ることになるので、楽曲だけに集中することは至難の業です。したがって曲への理解を深めるにはライブだけでは不十分で、動画サイトや音楽配信サービスを活用する必要が生じます。


楽曲を聴く、動画を見るときに大事なのは、とにかく大きな音で聴くことです。なぜなら、曲には聞きとりにくいものの大事な音もあるからです。

たとえば、FES☆TIVEの「夏色とりどリボン」を聞いてみましょう。2サビ終わりを注意して聞いてみてください。


気づきましたか?(何にだよ)

実は間奏パートの何でもないところに「お前のリボンほどいたろか?」というセリフが吹き込まれているのです。なんでこんなセリフを入れたのかは謎ですが、こういったなんでもない部分に、作曲者のこだわりや編曲者の遊び心が表れます。それに気づく確率を上げる意味でも、音量は可能な限り大きくすべきでしょう。

音量を大きくするという目的に対して、イヤホンの音量を大きくする、スピーカーを買って設備を良くするなど方法は問いません。え?そんな大きい音で聞いたら耳が疲れるって?それは音楽じゃなくて作業用音源やバックグラウンドミュージックになっていませんか?そういう人は、まず意識して音楽を聴く時間を作りましょう。


③推し楽器を決める

大きい音で聴く環境を整えても、そもそも何に注目したらいいの?という人もいるでしょう。そんな人は推し楽器を決めてそれに気をつけて聴くことから始めましょう。

楽曲派オタクは曲を総合的、多面的に語らなくてはいけないように思われるかもしれませんが、そんなことありません。そんなのは音楽研究家のやることだからです。楽曲派オタクがやることは、好きな曲を他人が引くほど変態的な目線や角度から語ることだと思います。自分が推す楽器を決めることは、そんな楽曲派オタクの第一歩です。


僕の場合、曲にピアノが使われていると思わず気をつけて聞いてしまいます。これは幼い頃からピアノという楽器に昔から慣れ親しんできたからです。

たとえば、Jams Collectionの「疾走ドリーマー」という曲を取り上げてみましょう。

この曲は前奏や間奏など、随所にピアノが使われています。Aメロのアルペジオなんかもとても素敵です。「疾走ドリーマー」は歌詞に「シンデレラストーリー」という言葉が使われているように、全体的に高貴さが漂う楽曲です。ピアノという楽器の音色が、曲全体に上品さを醸し出していると言えるでしょう。

ジャムズは他にも「NEW ERA PUNCH!!」など、印象的なピアノパートが差し込まれている曲を持っています。これはピアノ耳な僕にとって、グループの魅力のひとつとなっています。


先述したとおり、楽曲にこだわらなくてもアイドルオタクは十分に楽しめます。しかし自分なりのこだわりを持つことができると、自分がそのグループの何が良いのか?そもそも地下アイドルの何が良いのか?を人に説明するうえでとても役立つのではないでしょうか?


おわりに

まとめます。

結局、みんなアイドルが好き。

以上です。


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