創建エース西山つぶやき20240409

西山エックス 第145号
【アメリカさん ①】3話続きます。

西山は昭和23年4月に小学校に入学した。
ある時、朝礼で校長先生が「今日はアメリカさんが何百人も来る。この学校の校庭に焼夷弾が二発、不発弾として埋まっているらしい。それをアメリカさんが来て掘ってくれるので、もしもの事があるとあぶねェから今日は学校は休みにする」と話があった。
そしてそれぞれが帰宅した頃、近所の一級上の永ちゃんが来て「今日はヘリコプターが飛んで来るらしいぞ。ジープもアメリカさんのトラックも来るらしいぞ。アメリカさんのトラックはガソリンで走るらしい」
その頃、赤城村にたまに来るトラックは木炭車だったので「へーアメリカさんて凄いんだのォ」と永ちゃんに言った。
「ヨッちゃんそれもそうだ。けんどそれよりヘリコプターと言うもん見に行くべーよ」と永ちゃん。「ヘリコプターてあの空を飛ぶあれきやァ」「うんだ、うんだ」「行くべー、行くべー」「見に行くベー」―――と。
学校に向かって走りながら永ちゃんが言った。
「ヨッちゃんよー、オラでかくなったらヘリコプターの運転手になるから良く見ておきてェんだよ」「へー永ちゃんがなるんならおれもなりてェ」
その頃は操縦士という言葉も知らない永ちゃんとヨッちゃんだった。
もちろんパイロットなんていう英語は知らなかった。なにしろ昭和20年に終戦となり、この情景は昭和23年の話だ。英語は敵国語だから一切使ってはならない時代だった。
例えば野球の投手が投げる球のストライクのことは「真ん中―っ、ようし」と言い、ボールのことは「はずれーっ」と言った。そんなこんなで学校に着いた。
しばらくしたら本当にヘリコプターが飛んで来た。
ジープも20台位、トラックも何台か、それにアメリカさんが何十人か何百人か、とにかく大勢来た。俺は永ちゃんと一緒に桜の木に隠れるようにして、アメリカさん達を見ていて、ものすごく二人共興奮したものだ。

続きはまた明日。


2024年4月9日 33円

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