創建エース西山つぶやき20240411

西山エックス 第147号
【アメリカさん ③】

「永ちゃんヘリコプターの運転手になんべェ」「うんだ、うんだ」「それにしてもヨッチャンよう、アメリカ人てでっけェなー」「うん、でっけかったナアー」「永ちゃんオレ達、でっけくなったらアメリカに行けるんかのォ」「アメリカさんか日本に来たんだから行ける訳だがいのう」「それには兵隊さんにならなくちゃのォ」「永ちゃんさっきアメリカさんから貰ったもの飲み込んじゃって腹痛くなんなかったかのォ」「オレは痛くはなんねェ」「それで家にけェッて、おっかちゃんに言うか、どうすんべェ」 「言うのはやめんべェ、アメリカさんから物を貰ったなんて村長さんに聴こえたら、それこそ村中大騒ぎになるんじゃなかんべか」
「校長先生に知られたらゲンコツ貰いそうだ」「そしてこれは取り上げられるだっちゃ」「そうだいのォ」「ゲンコツもらった上にこれを取り上げられたらエライコッチャのォ」「じゃァどうすんべェ」「オレにまかせろ、油紙に包んでコーエイ(物置)に隠しておくべェ」)「明日又喰うべェ」

くりくり坊主の小学1年生と2年生ではこのことは大問題で、なにしろ、村長さんに知れたら大変なことになりそうだし、校長先生に知れたらこれを取り上げられてその上ゲンコツは痛そう。大事件なのだ。その翌日永ちゃん家のコーエイに2人して油紙に包んだ昨日の宝物を取りに行った。幸いネズミにも猫にも取られずに2人の宝物は無事だった。永ちゃんの嬉しそうな顔がそこにあった。オレも嬉しかった。その宝物はあめ玉位のが4個ずつある。2人にとっては震える程の秘密で、又、大事件だった。
結局二人は毎日一個ずつ噛み切れないなんだか不明のものを毎日飲み込んでしまっていた。このことがあってからオレはなんだか永ちゃんとは切っても切れない兄弟のような気がした。永ちゃんも同じ気持ちだったらしい。
その後、アメリカの兵隊さんがジープ2台位で時々学校にやって来た。教室の窓から密かに敬礼した。そんなこんなで2人はこの時からすっかりアメリカ信者になってしまった。

今でもアメリカさんが開発したコングロマリットを事業の主幹として、西山の人生は成功してきている。
アメリカさんは偉大だ。


2024年4月11日 34円

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