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かぶきDOU其の18アフタートーク

今回もコミてんラジオかぶきDOUをお聴きいただきありがとうございました。
放送日8/1の夜はとても大きい綺麗な月が福岡市の空に浮かびましたが、皆様はご覧になられましたでしょうか?携帯電話のカメラで撮りましたが残念な仕上がりでしたので…noteさんの素材の浮世絵からタイトル画にしました。
前回の放送で、双蝶々曲輪日記「引窓」についてご紹介しましたが、江戸時代は屋根の引窓を開けると月あかりで本も読めたそうです。
放送日の夜の月は本も読めそうなくらいに明るく感じられました。正確には翌日午前3時が満月だったそうです。この物語も満月前日の設定でしたので、時を越え同じ気分を味わえて感動いたしました!



祝中村歌六さん!人間国宝制定へ

暑い日が続きますが、歌舞伎界に大変ホットな話題を届けてくださいましたのが5代目中村歌六さんです!重要無形文化財保持者 人間国宝に制定されることが7/21に国の文化審議会より発表されました。
今回のかぶきDOUでは中村歌六さんの代々続く名跡、お人柄について今お届けしました。

歌六さんプロフィール

5代目中村歌六さん、屋号は播磨屋です。1950年昭和25年10月14日生まれ。1955年昭和30年9月に4代目中村米吉として初舞台を踏みました。
歌六さんの弟は三代目中村又五郎さんです。
ご長男は、現在女方として話題作に続々ご出演の5代目中村米吉さんです。

歌舞伎役者 中村歌六とは

初代は1779年安永8年大坂生まれ。3代目中村歌右衛門の門弟となり
1804年文化元年に中村歌六を名のります。屋号を播磨屋と定め、女方を得意とし「傾城歌六」と呼ばれるほどの美しさでした。2代目は残念ながら早逝されたそうです。
そして3代目中村歌六は初代の3男が継ぎました。

3代目歌六の息子はそれぞれ
初代 中村吉右衛門(播磨屋)
3代目中村時蔵(萬屋)
17代目中村勘三郎(中村屋) 
を襲名し、名優揃いとなりました。

名女方の3代目中村時蔵の長男、2代目中村歌昇は歌六さんのお父様ですが体調面の理由で歌舞伎役者を廃業、歌六さんが20歳の時に叔父の初代中村錦之助さんらと共に萬屋に屋号を改名します。
そして22歳の時に、お父様が亡くなります。亡くなられた後に4代目歌六の名を追贈されました。
そして歌六さんは1981年昭和56年に5代目を襲名されました。

歌六さんは祖父の3代目時蔵さんに大変可愛がられたそうです。3代目中村時蔵50回忌の翌年、2010年平成22年に祖父の萬屋から播磨屋となりました。
歌六さんの弟さんがお父様の歌昇の名を引き継ぎ、播磨屋として2011年平成23年には3代目中村又五郎を襲名されています。



重要無形文化財としての歌舞伎

文化庁の国指定文化財等データベースによりますと重要無形文化財として登録されているのは芸能の種別の内、歌舞伎、歌舞伎音楽竹本、歌舞伎音楽長唄、歌舞伎女方、歌舞伎立役、歌舞伎脇役の6つです。

歌舞伎」としては総合認定となっております。1965年昭和40年4月20日に指定されました。歌舞伎は、芸術上高度の価値を有するばかりでなく、わが国の芸能史上において重要な地位を占めるものである。なお、重要無形文化財としての歌舞伎の内容を明確にするために演者、演目、演技、演出について、指定の要件を規定している。…とされております。

さらに各個(かっこ)認定として、歌舞伎立役、歌舞伎女方、歌舞伎脇役にそれぞれ分類されています。

文化庁の国指定文化財等データベースによりますと
歌舞伎立役は1960年昭和35年4月19日に指定。
歌舞伎立役は、歌舞伎を成立させる演技の役柄の一つで、主役を演じる男性の役柄である。歌舞伎にとって欠くことができないもので、芸能史上重要で、芸術上の価値が高い…と解説されています。
尾上菊五郎さん、片岡仁左衛門さん、中村梅玉さんが認定されています。

歌舞伎女方は2012年平成24年10月4日に指定されました。
歌舞伎女方は歌舞伎の女役に扮する男優のことで、その役柄は歌舞伎を成立させるうえに欠くことのできないものである。歌舞伎の発生は、徳川時代初頭にはじめられた女性中心の芸能にあるが、その後、風紀取締まり等の名目で女優の舞台主演が禁止されたため、男性が女性の役を演ずることになり、その役柄を女方と称した。女方は男性が女性を表現するという特殊な条件から、次第に独自の演技術を確立するようになり、女方の役柄も時代によって分化して若女方、さらにはふけ女方等の専門化の道をたどった。しかし脚本の複雑化にともなって、立役【たちやく】からこれを兼ねるものも現れ、さらには座の制度が崩れてきたところから役柄の区別も次第に曖昧になってきている。以上のように、歌舞伎における女方の技芸は、芸術上高度の価値を有するばかりでなく、芸能史上においても極めて重要な地位を占めるものである…と解説されています。
坂東玉三郎さん お一人が認定されています。

そして歌舞伎脇役は1997年平成6年6月に指定されました。
歌舞伎脇役
は、歌舞伎を成立させる役柄の一つで、江戸時代には、敵役【かたきやく】、親仁【おやじ】方、花車方【かしゃがた】などに分類され、一つの役柄にそれぞれ専門の俳優がいた。江戸末期以後は、この分業制はくずれ、今日では一般に主役以外の、これを取り巻く役柄の呼称となっている。主役を補佐する役柄だが、歌舞伎にとって欠くことができない役割である…と解説されています。中村歌六さんは、中村東蔵さん以来、二人目の認定となります。


喜びの声を新聞記事からもお伝えします。
人間国宝に歌舞伎・中村歌六さん「妻も息子も号泣してくれた」 

吉報を伝える電話は、炒めていたソース焼きそばに、モヤシを入れた瞬間に鳴った。「人間国宝に認定されるなんて思ってもいなかったので、びっくりしました。妻も息子たちも、これまで見たことがないほど号泣してくれました」とほほえむ。時代物から世話物、新作まで老若男女を問わず、主役を支える重要な役を演じ、作品に奥行きを与えている。特に、2021年に亡くなった二代目中村吉右衛門さんとは、共演した思い出深い舞台も多く、墓前に報告に行くという。「以前、私がある賞を受賞した時も、『よかったなあ、よかったなあ』と我がことのように喜んでくれました。その声を今回聞けないかと思うと、ちょっとさびしいです」としみじみ語る。古希を超えても、「発展途上中、修業の身です」と言い切る。「一生修業、毎日が初日との精神で、真摯(しんし)に舞台をつとめていきたい。まだまだ気持ちだけは若く、がんばります」

7/21毎日新聞より


歌六さんの素顔

古希を迎えられた年の2020年12月号歌舞伎エンタメ誌「演劇界」のインタビューで、元々仕事を家へ持ち帰らないスタイルでしたが米吉さんが歌舞伎役者になられてからは折に触れてお芝居や役について話をするようになったそうです。

古希を迎えられたのがコロナ禍ということもあり、ステイホーム期間中の生活についてもお話されています。
床屋に行くのも自粛されていて、その間は奥様に髪を切ってもらっていたそうです!夕方からはご家族のルーティーンで米吉さんや次男さんも含め家族4人でネット配信の映画を毎日、古い洋画を中心に200本はご覧になっていたそうです。

ご長男の中村米吉さんはお父様の人間国宝の報道を受け公式インスタグラムで
父は昔とあるアンケートの宝物の欄で「2人の子供たち」と答えていました。これからも自称“国宝の宝物“と名乗ることにします。
と綴っています。家族仲が大変よろしいのも魅力ですね⭐︎

コロナ禍前より歌六さんは朝5時起きで、家族の朝食をつくるのが趣味だそうです。お出汁と卵を空気が入るようによくかき混ぜて土鍋に入れてとろ火で仕上げるという「ごんげん蒸し」を紹介されていて、とても美味しいそうで気になりました!歌六さんのお宅特有のレシピだそうです。

サライ.Jpでは朝めし自慢として画像付きで掲載されていますので気になる方はチェックしてみてください!歌六さんはご自身でデパ地下で数種類のお味噌を購入してブレンドされるほどのこだわりもあるそうです↓

人間国宝の知らせを受けた時にソース焼きそばを作られていたお話も、納得が行きました!

飾らないお人柄が魅力の歌六さんですが、お役によって本当に印象がガラッと変わります。
歌六さんは雑誌 演劇界の古希のインタビューで「70歳になってもまだまだ初役があるのが嬉しいです。芝居ってだいたい、苦しんで、楽しんで、です。役に臨むうえで手がかりがないものもそれはそれで楽しいものです。」と語っています。
先月行われた記者会見は先人の言葉にある「一生修行」「毎日が初日」という気持ちで毎日舞台を務めたいと話されていました。
このスタンスが幅広いお役を得意とする歌六さんの魅力なのだなと感じました。重要無形文化財保持者 人間国宝には今年秋にも認定される見通しだそうです。これからも後進のために、そして私たち観客のために幅広い芸を披露していただくことを期待しております!
次回のかぶきDOUでは中村歌六さんの芸についてお伝えします。


縁の一曲 中村歌六さん

続いては歌舞伎役者さんにゆかりの曲をご紹介する、えにしの一曲のコーナーです。今回はやはりこの方!5代目中村歌六さんです!
歌六さんの屋号は播磨屋です。2021年にお亡くなりになった中村吉右衛門さんとのゆかりは大変深いものがあります。きっと天国で吉右衛門さんも大変喜ばれているのではないでしょうか…
中村歌六さんは2011年9月放送の中村吉右衛門さん主演のTV時代劇鬼平犯科帳スペシャルにご出演されています。鬼平犯科帳のエンディングテーマ曲
ジプシーキングスのインスピレイションをお届けしました。
江戸の日常風景の映像にジプシーキングスが不思議とマッチしていました!


めでてえなぁ 7/26-8/1

お誕生日を迎えられる歌舞伎役者さんをご紹介の「めでてえなあ」のコーナー。お名前と、所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。
7/26から8/1がお誕生日の皆さんでした。

7/26中村蝶三郎さん
中村又五郎一門

7/27中村富二朗さん
5代目中村富十郎一門

7/28尾上松五郎さん
尾上松也一門

7/28片岡當吉郎さん
松嶋屋

7/29市川喜太郎さん
市川猿翁一門

7/29市川段一郎さん
市川段四郎一門

7/30中村扇乃丞さん
成駒家

7/31中村蝶一郎さん
中村錦之助一門

8/1尾上菊之助さん
音羽屋

今回は9名の皆様がお誕生日でした。お誕生日おめでとうございます!


次回のかぶきDOUは8/8㈫午前10:00〜10:25生放送でお届けします!番組のYou Tubeアーカイブはこちらからご覧いただけます↓

※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりません。ミキサールームからのトークの為スタジオは無人で音声だけの配信となっております。ご了承くださいませ。

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