【詩】一羽の鳩への憐れみの行方
公園の鳩を見ていると
一羽だけ少し違うものがいた
羽毛は白く 背中は淡い茶色
しかも縮れている
背中の茶色が気になって
私はその鳩を「テリヤキ」と名づけた
毛色が違うからなのか
他より一回り小さいからなのか
大きなボス鳩に執拗に追いかけ回されていた
くじけるなテリヤキ
さらにその時
意地悪そうな顔をした小さな女の子が
ニヤーっと笑いながらテリヤキを蹴る真似をした
臓腑を抉られるような心地がした
私は涙ぐみながら食べているおにぎりをテリヤキに分け与えた
あれから二十年ほど経った今頃気づいた
なぜ考えつかなかったのだろう
テリヤキが他より一回り小さくて
毛色が全然違うから
私はテリヤキを大いに憐んでいた
だがそれは美しい毛色
きっと品種のハトが逃げ出して野生の群れに混じったんだ
テリヤキ王子!
・・・・・・・
日本現代詩人会投稿欄31期入選
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