「DTMは課金ゲー」だけど課金の優先順位はある

・課金ゲー論争

TLでこんなツイートを見かけました。

この「DTMは課金ゲー」論争、古くからあります。少なくとも僕がDTMerとして活動し始めた4,5年くらい前から既に言われてたことだったと記憶しています。
僕の結論では「DTMは課金」です。技術面はともかく、それ以外の部分では課金するほど確実にクオリティーが上がります。そうでなければ、プロが毎年のようにプラグインやら機材を買ったりしてサンレコで語ったりしないでしょう。

・DTMer格付けチェック

一方で、最近のDTM界隈ではこんな企画が話題にもなりました。

そう、「DTMer格付けチェック」です。某番組のように、有料と無料もしくはDAW付属の音源やEQ・コンプなどを比較して、その違いをちゃんと理解できるか調べるテストです。「DTMは課金ゲー」が真ならば、全員とは言わずとも多くのDTMerが正しく答えられるはずです。
しかし、結果としては僕を含めたほとんどのDTMerが、一流はおろか普通DTMerですらないという結果になってしまったのです。

・正答率からDTM課金について考える

「DTMは課金ゲーだったんじゃないのか!」と思われるかもしれませんが、注目すべきは各問題の正答率です。この格付けチェック、問題によって正答率にバラツキがあるのです。正答率のグラフはこんな感じ。

一番正答率の高いバイオリンの問題では90%近くのDTMerが正解していますが、周波数1の問題ではおよそ2割のDTMerしか正解できていません。普段からEQ等を駆使してその音の違いを理解しているはずのDTMerですら、この正答率ですから一般の方では言わずもがなでしょう。
そして、この正答率のグラフからもう一つ言えることがあります。それは「DTMは課金ゲーだけど優先順位がある」ということです。あなたがお金持ち、もしくはプロならば、少しでもクオリティーを上げるために多くの分野において、どんどん課金すべきでしょう。しかし、普通のDTMerには課金にも限度があります。ならば、課金すべきところに優先的に課金するのが一番良いのではないでしょうか。ということで、この正答率グラフと僕の経験を元に、DTMではどこに課金していくのが有効なのか考えてみました。

・音源について

正答率グラフからも分かるように、音源に関してはいずれも高い正答率を示しています。難問だったはずのピアノ問題ですら60%を超えているのです。このことから、有料音源を使うことで曲のクオリティーアップに貢献することは間違いありません。
特に正答率が高かったバイオリン。クラシックDTMは課金が正義の世界です。映画音楽なんかで使われている音源の値段を見ると本当に驚いてしまいますが、これでもオーケストラを雇うよりは安く済むのだとか。
その他の音源についても課金は有効だと思います。ただし、これはプラグインに関わらずですが、使い勝手が良いのか、プリセットはどうなのか、自分のPCで扱える重さなのか等をじっくり考えてから購入することをおすすめします。セールだからといって意味も無く買った音源がハードディスクの肥やしになっているのはDTMerあるあるです。

・エフェクトについて

格付けチェックでも正答率は高くありませんでした。しっかりと耳を鍛えていなければ違いは分かりにくいのかもしれません。
そんな中でもリミッターやコンプは正答率が高めです。確かに、最近の有料リミッターはかなり優秀で、問題にも使われていたPro-L2なんかは何も考えなくてもキレイに音圧を上げてくれます。音を潰さずにあそこまで上げるには、なかなかDAW付属だけでは難しいでしょう。
有料コンプというと、多くの場合過去の名機をシミュレートしたものになると思います。1176や、光学式、真空管など有料コンプはいずれも素晴らしいクオリティーで再現されています。ただ、個人的にはコンプの課金優先度は高くありません。何故なら最近のDAW付属のコンプは結構優秀ですし、名機を使いこなすにはそれなりに知識と経験が必要になります。

・周辺機材等について

ここからは格付けチェックにはありませんでしたが、僕の個人的な経験から機材についても優先順位を考えたいと思います。
まずはオーディオインターフェイス。これは人によるでしょう。確かに出音の音質に影響がありますし、ミキシングにも影響してくるわけですが、スピーカーやヘッドホンのほうが影響力は大きいので、オーディオインターフェイスにこだわるのは後で良いと思います。ただし、楽器を録音する人なんかはマイクプリの品質が結構重要だったりしますから、良い音を録ることにこだわる方は良い物を買うべきですね。
次にヘッドホンやスピーカー。これは優先順位高いです。ただし、コロコロと新しいものに乗り換えるよりも、良い物をじっくりと長く使う方がその機材の性質を理解してミキシング出来るようになるのでおすすめです。
それから椅子。はい、椅子です。マジで大事です。DTMとは腰との戦いです。長期戦を共に戦う相棒選びはじっくりとやるべきです。僕は昨年、ゲーミングチェアに買い替えたのですが、それが昨年買ってよかったランキング堂々の一位です。音に金をかけるのも大事ですが、自分の身体にお金をつかってあげる方が大事です。

・まとめ

「DTMは課金ゲー」、これは間違いありません。しかし、毎月クレカ限度まで使い切るわけにはいかないわけです。だったら優先順位を決めて少しずつステップアップしていきましょう、という話でした。もちろん、これは僕が考えた優先順位ですから、人によって異なるでしょう。ただ、闇雲にセールだからという理由だけで衝動買いするのは本当にやめましょうね。ということで楽しいDTMライフを!

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