普通の人だったら、

「アイツがバンドマンじゃなかったら、絶対好きになってなかったよ」って言われた。
確かに、彼がバンドをしてなかったら出会えていなかったかもしれない。

でもそうじゃないんだよ。

きっと違う形だったとしても、どこかで出会えたなら私は彼を好きになった。

彼はいつも"普通の人"になれない想いを叫んでいた。
それがバンドマンじゃないことは、何となくわかっていた。
普通なんてないのに、みんなどこか少しずつ変なのに、普通じゃないって思うこと、言われることが私にもあったから。

私も孤独だったし、きっと彼も。
彼のギターは、少し臆病でだけど真っ直ぐで優しい音がした。
そんなところが好きだった。

音楽してるからとか、バンドマンだからとかじゃなくて、私は彼自身を好いていた。
あの頃、必死で彼を追いかけてた。

好きになってたよ、普通の人でも。

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