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卒業設計の進め方_00【卒業設計は何をテーマにするべきか】

建築学生の集大成である卒業設計。

意匠設計の研究室に所属している学生や将来建築設計の仕事を希望している方にとって、卒業設計とは4年間で学んだことをぶつけるためのステージでしょうか。

学内の競技はもちろん、全国卒業設計展である「せんだいデザインリーグ」も開催され、「卒業設計」とは自分を社会に売り込む足がかり的なものでもある。

そんな「自身の集大成となる作品」や「社会への足がかかりにするための作品」にも成り得る卒業設計では、「どんなことをテーマにしたら良いのか」と悩む方も多いと思います。

正直、私が学生の頃「卒業設計で大学内1番になること」をずっと考えていました。笑

「勝つこと」ばかりに執着し、テーマはいつまで経っても決まりませんでした。挙げ句の果てには、提出2ヶ月前までテーマはおろか敷地も決まっていない状態でした。

かなり焦りました。

それでもなんとか納得のできるテーマを見つけて提出しましたが、建築と空間が詰めきれず、結果は散々なものになってしまいました。

今回のコラムでは、卒業設計を進めるにあたって私自身の失敗談から、テーマを決めるために重要だと考えている前提条件についてお話しできればと思っています。

【卒業設計とは思いやり】

私が卒業設計をで重要だと考えていることは、【提案する建築で誰かが幸せになれるかどうか】ということです。

卒業設計とは、皆さんの頭の中で行うクリエイティブな活動ではありますが、他者の存在を忘れてはいけません。

初めは、あなたの【興味】から【テーマ】を見つけて、【問題点】を建築でどのように【解答】するかを考える必要があります。

そこで重要になるのが、「人が困っていたものが見事に解決された」とか「この建築で人が幸せになれたか」ということだと思います。

卒業設計だけでなく建築全般に言えることなのですが、設計者がいくら望んでも建築は造れません。そこにはお金を出してくれるクライアントやこの建築は意義あるものだと利用者に認めてもらえて初めて建築になります。卒業設計においてもそこを蔑ろにしてはいけません。他者が入り込まない建築を私は評価すべきではないとも思います。

建築を設計する上で意識して欲しいことは、【問題点】からの【解答】、そして【空間】には人を幸せにしたいという【願い】を込めて欲しいということです。

それはつまり【思いやり】があるかどうかです。

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卒業設計含め建築というものは、他者に対する【思いやりの結晶】だということを意識すれば、「とんちんかん」なものにはなりません。

あなたが「テーマ」や卒業設計を進める上で悩んだ時は、是非思い出して初心に立ち戻って欲しいと思います。

【評価はそこまで気にしない】

しかし、いくら思いやりのある建築を提案したとしても、評価されるとは限りません。こればっかりは各大学の教授の感性に左右される場合が大きいからです。

今の大学教授のほとんどは「ポストモダン」の頃に建築を学んだ方が多いです。ポストモダンとは、簡単にいうと「建築家の個性を重要視しよう」と考えた建築思想ですが、私たちが建築を学ぶ今の時代の流れとは大きく異なっています。

そのため、あなたが当たり前に良いと感じていることは、教授からすればそれほどよくはないと感じられるかもしれません。あなたがそれほどよくないと感じた提案でも評価されているなんて経験があるかと思います。

もちろん、自身の提案の良さを誰もがわかりやすいように言語化してプレゼンすることが重要にもなるわけですが、理解されないこともあるかもしれません。

評価されるのが1番ですが、されないかもしれません。

でも気にしてはいけません。

あなたが「思いやりを持って」提案した内容は、間違いなくあなたの財産になります。

それは間違いありません。全力で「あなたが思う問題点を建築で解決し、誰かを幸せにできているか」を考えて見て下さい。

【まとめ】

以下に私が生意気にも「勝手に最優秀」という企画で、昨年度の卒業設計を評価させて頂いたコラムを載せます。少しでも参考になるかもしれませんので是非お読み頂ければと思います。

上記のコラムでも記載している通り、私が「卒業設計」を見て評価したのは「現代だからこそやるべき問題点を提案で解決し、誰かを幸せにする建築であるかどうか」に尽きています。

これから卒業設計を行う学生は、是非意識して取り組んで見てください。

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※今日紹介する「建築本」

私も参考にしていた本です。是非お読み下さい。

有名建築家たちの「卒業設計」をまとめた本です。

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