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お辞儀と矜持

「頭を下げちゃダメよ。」

私の頭にはてなマークが浮かぶ。

今日は茶道のお稽古。

お茶をお出しする始まりのとき。今はお辞儀をするタイミングだから頭を下げたのだけど…。

「頭は下げないの。
 背中からお辞儀はするのよ」

なるほど。
私は首をぺこりと折っていた。
そうでなくて、首は伸ばしたまま腰を折って背中を下げて…。

言われた通りやってみると、そのひとつでお辞儀をする「心」が変わった。

凛とする。
相手に敬意を払うけれど、
決してへりくだるわけではない。
自分にも矜持があるよ。
そういう仕草だった。

以来、
私は仕事で頭を下げることが苦痛でなくなった。
謝罪するとき、申し訳ない気持ちは十分持つけれど相手に必要以上に恭順しない。
下げたくもない頭をさげるとき、頭を下げながら、降伏したわけでなくこれが私の武器なのよと思えた。


まぁ、考えてみれば。
千利休は時の権力者・秀吉にもへりくだらず、
最後は切腹を申し渡されたんだもんね。
そういう人が考えたものが、牙を隠し持たないわけはないのだ。