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人生フラフラロンドン日記 ~Week 70~

ロンドンに来てから70週間が経過。この日記を読んでくださっている物好きな皆さま、3週間ぶりの更新となりました。この3週間はショートトリップに行ったり、グラストンベリーフェスティバルに行ったりと、かなり濃い時間を過ごしていた。日頃あった出来事をウンウン唸りながら引き伸ばして書いている日記には思えないほど、書きたいことが山ほどあった日々。結果更新が遅れてしまった。とりあえず今回は3週間前のショートトリップがメインの回。早々と次の日記も書くので、どちらも読んでくれたら嬉しいです。

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1.

ボンディア 青空と海の
あいだの船はどこへ行くの

遥かなるリスボン / くるり

続く海岸線と暖かな日差し、赤い屋根と坂の街。ポルトガルはリスボンがショートトリップ最初の目的地。2月に初めて訪れてからというもの、口を開けば「はやくリスボンに帰りたい」と行ってしまうくらい大好きな街になっていた。ロンドンは夏になっても日本のようなムシっとした暑さがないので、リスボンの湿度を帯びた夏の空気に早々と嬉しくなった。

リスボンは本当に綺麗な街だと思う。照りつける日差しを受けて鮮やかに輝く小さな家々。坂は多いが高台に登れば簡単に街並みと海が一望できる。首都でありながらも小さく、街を歩けば見かける数々の洗濯物からはどこか懐かしげな雰囲気に溢れ。その暖かな気候と同じように人々も優しく、窓から顔を出して煙草を吸うお婆さんたちは手を降ってくれるようなそんな街。

食べ物も美味しくお酒も安い。本場のエッグタルトはまさに次元が違う。今まで食べていたものはなんだったのかと思うほど絶品。滑らかなクリームと生地のサクサクさの塩梅は本場ならではなのだろうか。1度食べたらもう前のエッグタルトには戻れない。

大西洋の荒波に揉まれたイワシも有名。脂が存分に乗ったその身は、塩焼きというシンプルな味付けでさえビールが止まらなくなる。ロンドンという物価がバカなほど高い街に住むと、リスボンは天国のように感じる。30分ほどの道でUberを呼んでも、たった3ポンドだった時には腰を抜かした。

大好きな街には何度でも行きたくなってしまう性質だが、4ヶ月ぶりという短いスパンで訪れても、去り際には寂しくなってしまった。僕はリスボンが大好き。はやくリスボンに帰りたい。また来月も行くのは内緒で。

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2.

背丈の長い街路樹、優しい夕焼けに染まるエッフェル塔。ショートトリップ最後の目的地はフランスのパリ。パリに来たのは19才以来の7年ぶりか。年齢的にもまだ子供だった頃だ。あの時は冬だったから、夏のパリを歩くのは今回が初めて。街路樹の緑がこんなにもきらきらしている街だったことを初めて知った。

ファッションウィークを目前に控えていたパリ。関係があるかは分からないけど、街の雰囲気は自然とソワソワしているように感じる。ロンドンから電車で行けるとはいえ、その街並みの華やかさは全く違うものがある。

友達が教えてくれたレストランの牛骨髄エキス、セーヌ川の河岸に座って食べたバゲットサンド、サン=ルイ島のフランボワーズアイスクリーム、食べたもの、その全てが美味しかった。さすが美食の国。イギリスにいると心の底から「美味しい〜!」と思う経験は、日頃なかなか感じ取れないのだけど、旅行の高揚感もあって1つ1つの出来事に感動していたと思う。

Ya know, how I'd love to go to Paris again

Paris / The 1975

1週間のショートトリップなんてあっという間。観光よりものんびりすることを目的に出かけて、のんびりしていたはずなのに気づけば一瞬で終わってしまった。パリなんてロンドンからとても近いし、いつでも行ける。でも今は突然の豪雨に降られたり、その後の夕暮れが本当に綺麗だったあの時のパリをとても恋しく思っている。

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3.

実は簡単には帰れなかった。「またパリに来れたらいいな」と感傷に浸りつつ、CDG空港に着くも飛行機がなかなか呼び出されない。ロンドンに到着する頃には夜中の1時前ということもあり、帰りの交通手段を心配していたところ、約2時間遅れでアナウンスがかかった。日付が変わってなんとか搭乗。しかし機内が切羽詰まっている。「荷物をしまわずにとりあえず座ってくれ! 5分で準備出来なければ飛行機は飛べない!」という機内アナウンスの下に慌ててみんなが座ると「よくやった!ロンドンに帰れます!」と続くアナウンスに一安心。と、思いきや雲行きが怪しい。なぜか中々出発しないなんでも交渉したが、ロンドン側の空港が定時を迎え閉鎖されてしまったらしい。これではいよいよロンドンには帰られない。結局、数時間前まで名残惜しく思っていたフランスにまさかの再入国。そのまま空港で一泊する羽目になってしまった。

翌日の昼の便に切り替えられたロンドン行きも結局なかなか出発せず、機内販売のソフトドリンクやスナック類が配られ、「これは帰れないのでは…」と笑ってしまった。なんだかんだで出発した飛行機は夕方にロンドン着。最後の最後でフランスに引き止められるようなショートトリップになったのだった。これで一生忘れることはないだろうな。

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〜まとめ〜

人は誰しも恋する街があると思う。友人はそれがニューヨークだったし、先輩はベルリンだった。好きな街の話をする人の顔が好きだ。その街に恋し、その街に憧れ、その街にいつかまた行く日の話をする。僕はきっとそれがロンドンだったから、今ここロンドンに住んでいる。リスボンはロンドンに住んでいたからこそ、行くきっかけができた街だった。もし日本にいたら「リスボンに行ってみよう!」とは中々思わなかったことだろう。2月に初めて訪れて、あっという間に恋に落ちた理由は、大切な人に見せたいものが溢れていた街だったから。だから今回は恋人と行けて良かった。好きなものをたくさん見せてあげられた。そして彼女もリスボンを好きになってくれた。

きっとパリは彼女にとってのそんな街だったのだと思う。恋する街。それを僕に見せたかったのかは分からないが、パリにいた時の彼女の目はキラキラしていた。そんな表情を見れたことが今回のショートトリップで一番嬉しかったことかもしれない。

優劣はないが狭い世界で完結することに満足感を得る人間じゃなくてよかった。僕はきっとどこにでも行けるし、どこにでも連れて行ける。連れて行ってくれる人たちもたくさんいる。それはなんて幸せなことなんだろう。イギリス生活はまだまだ続く。

牛骨髄のエキスはなんとも言えないおいしさがある

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