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日本の縫製工場に未来はあるとですかね??


前回お伝えしましたように、弊社には熊本市内に創業31年目となる関連会社の縫製工場があります。紆余曲折ありまくりましたが、今はなんとか落ち着いた状態を保っています。がしかし!はっきり言って儲かってはいません。はい。

今回はずばり、日本の縫製工場に未来はあるのか?そして何故縫製工場が儲からないか、日本の縫製工場が陥っている負のスパイラルを簡単に解説していきます。


先ず、バブル崩壊やリーマンショックからの世界的デフレなどもございますが、2000年前後からファストファッションが少しづつ日本に進出、私がこの業界に入って数年経った2008年のH&M日本初オープン辺りからその勢いが爆発的に増し、洋服全体のデフレが加速したように記憶しています。
イコール業界全体の値下がりに歯止めが効かず、大手メーカーはこぞって海外(特に中国)の縫製工場に依頼先を移し、日本の縫製工場への仕事はどんどんと減っていきました。


次に、日本のアパレル業界はいつからか独特のヒエラルキーが構築されており、
(小売り)>(メーカー)>(縫製工場)
簡単に書くとこうです。
言葉にすると、洋服を販売する人たちが一番強くて、洋服を企画して流通させる人たちが間を取って、洋服を縫製する人たちが一番弱い立場ってことですね。
何も知らない人からしたら、本来逆じゃね?って思いますよね。
縫製工場が無ければ洋服作れないのにそこへのリスペクトって無いの?って感じですよね。これぞ私がこの業界に入ってずっと疑問を抱いていた、業界の当たり前の構図です。


ではなぜ、この構図がまかり通るかというのをざっと説明すると、
大手小売り)おぅおぅ、これ1000枚買ってやるからこんだけ安くしちゃらんかぃ?
メーカー特に営業)へへー、売り上げのためなら何でも頑張りまっせ!縫製工場に交渉して工賃を下げさせますけん!
なぁ縫製工場さんよ、この工賃もう少し何とかなりまへんか?
縫製工場)メーカーさん、これ以上工賃下げられるとワシ等の利益がいっちょん出らんとですたい、どうかこれ以上は堪忍してくれやす、、、
メーカー)でも、1000枚くれる言うてるんやからそこをなんとか、ね!あんたらだって他所からの仕事もないんやろ?
縫製工場)へ、、へへー。。。


いつの時代かも分からなければ多種の方言が混じってますが、大袈裟に書くとこんな感じですかね。

もちろん仕事なので、交渉と言えば交渉なのですが、あまりにも薄利な仕事を強いられてきましたし、私も実際に無茶なお願いをしてきました、深く反省しております。しかし縫製工場は仕事が無い(工場が稼働しない)のが一番困るので、こうやって薄利の仕事を請け負ってしまいます。

ではここからどうやって利益を確保するかと言いますと、外国人技能実習制度を導入し中国やベトナム等の方々を迎え入れ、低賃金で労働してもらい少しでも人件費を下げるという流れです。
そして、日本の縫製に興味が有る若い子が入社してきたとしても、低賃金・長時間労働・少ない年間休日を強いられ長続きしないので、若い世代に技術の継承が出来ず、縫製工場で働く日本人の高齢化に歯止めが効かなくなっています。



そして最後、これが今起きてきている大きな問題です。
中国やベトナム、その他東南アジアへの外国人技能実習制度を継続していった結果、それらの国の縫製レベルがめっちゃ上がってきとるやないかい!!!
特に中国なんて今や経済大国、資本も充実していて縫製工場はめちゃくちゃでかいし最新のミシンやCADもバーーンッ揃っているし、労働人口なんて日本の比にならんほどうじゃうじゃおるし、工賃も安いし小ロットも受けるようになってきてるしで、これもう絶対勝てへんやん。
日本の縫製工場不要になってくるやん、、、そもそもmade in japanなんて年配の人以外誰も気にしてないやん、、、てな具合です。



なのでおさらいすると、
・ファストファッションの常態化
・アパレル業界のいびつなヒエラルキー
・アジア諸国の縫製技術の向上

これらが、現状の日本の縫製工場が儲からない3つの大きな原因だと私は勝手に認識しております。そして私がkaeneをいち早くブランド化しなければと強く思ったきっかけの一部です。

特に「ヒエラルキー」の部分で、kaeneがブランドとして少しでも強くなれれば、縫製工場さんに工賃を今よりも多く払う事が出来るし、それが継続出来れば安心して技術の継承と進化に力を注いでいただけるのではないかと思った次第です。そして若い子たちに魅力的な仕事だと認知してもらい、僕も私も働きたい!という子が増えれば、まだ日本の縫製工場さんにも少しは未来があるのではと思います。
(とは言え日本にはまだまだ、しっかり利益を出されている素晴らしい縫製工場さんもたくさんありますが、今回はそれらの工場さんを含んでおりません)

なのでブランドをもっているメーカー様方には、よりブランド力を強化していただき、自社販売能力を身に付け粗利率を向上し、原価率を上げてでも縫製工場さんに適正な工賃を払う努力をしていただきたいです。


もちろん縫製工場さん側にも問題あるよな~って思うこともたくさんありますし、時流もありますが、そもそもはアパレル業界全体が作り出した闇の部分なのかなと思っています。


長くなりましたので、次回は先ほども少し記載しました「made in Japan」の洋服って実際どうなのかを書きたいと思います。


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