ムカデになって生きる flow2018092401

特別これといって落ち込む出来事もないのに、昨日の夕方から何をしても涙が止まらない状態になってしまった。

何もできず、寝ようにも日中のカフェインが効いていて寝れず、久々に手ぶらで遠くまで歩くことにした。

こういう時、人は海を見にいくのかもしれないけれど、広尾の海まで1時間車を走らせる元気もないので、ふらふらと宵闇の河川敷まで歩く。

だいぶ暗くなっているのに、けっこう人が多くて、ジョギングや犬の散歩、自転車にのった高校生たちなどがいて、すれ違うのが嫌で川べりをザクザク歩いていった(傍から見たら不審者だったかもしれない)。

しばらく歩くと、街の喧騒も遠くなって、誰も来なくなったあたりで寝っ転がって、しばらくして戻ってきた。


家のテレビでは、ちょうどカンブリア宮殿で「リノベる」の社長が「失敗も、タックルで1回倒されただけだから、すぐ起き上がればいい」と良いことを言っていた。

そうすると、僕は一度でも起き上がったことがあっただろうか(まあ河川敷から起き上がったとは言える)。

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社会に不適合であり、かといってそれを補うアート性や専門性もない人間として、「まともなことができず、何の面白さも持たないまま生きていくにはどうしたらいいか」を、ずっと考えている。

人間は価値や意味によって生きているわけではないということは、逆説的に価値や意味のない人間の存在を認めることにもなる。

自分はその中間の存在、つまり「十分な」価値や意味を持たない人間であると仮定し、さらに価値や意味は他者に見出されるものであるということから、まずできること(当然「十分」ではない)を継続してみせるということを手がかりにしようとした。

極めて幸福なことに、結果は出た。正式な仕事を受注させて頂いたし、自分のやっていることが他者に喜ばれたり、求められたりもした。

だからそこから先は、次のレベルの問題「その結果を十分なものにするにはどうしたらいいか?」に取り組んでいたけれど、これはそもそも「十分な」価値や意味を持った人間が、立ち向かうべき問題ではなかったか?

素晴らしい人たち、僕からすれば神様のような人たちが、延々と全力で、「十分な結果」のために苦労しているのを目の当たりにする時、その困難さに立ち向かおうという気持ちよりも、それが困難であること自体が、何かおかしくない?と思ってしまう。

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まず、ここでいう十分というのを「生計を立てられるレベル」としよう(社会に及ぼす影響や、自己肯定感を求めている人には、それだけでは十分ではない場合がある)。

その十分さを支えるものは、知られていることと、求められる水準を満たしていることだと思う。僕はできることの水準が低いので、知られても別に仕方ない。という状態である。

活動に必要な設備は一通り揃っており、前職を辞して時間もあり、作品を発表する場もあるのだから、ボトルネックは自分自身だ。そこまで分かっていて、水準を上げるために十分なことができていない。怠け者の誹りを免れないのも当然だろう。

こういう時は活動にあたる前にやるべきことがある。という場合が経験上多い。しかし今は健康面を含め、特に思い当たるところがない。

まず他者に何かを提供するのはどうか?しかしそれも水準の問題を孕んでおり、こちらからお手伝いします。参加します。と呼びかけたところで、できることの水準が相手に伝わると「結構です」と断られてしまう。

その点、金銭の提供は便利だ。僕の能力の有無がそこでは問われないから…と思っていたが、やはり長期的には収入という形で、提供できる金額が僕の能力に依存してしまう。今は少額寄付もできなくなってしまった。

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できることの組み合わせを考える場合も、水準の問題がある。パソコンレスキューのように、知識の格差を利用するのも持続的ではない。生活費もこれ以上は落とせない。さてさて…

こういうことも、先日の日記に書いたように、何か包括的な解決策があるわけではなさそうだ。それぞれの分野に具体的な課題があり、それをクリアしていくこと以外で突破口を見出そうとすること自体が、蛇足であるような気さえする。

ならばできるところまで、蛇に足を生やしていこうではないか。その結果、気が済んで、その後でやるべきことをやれればそれでいいのだ。

蛇は古くは虫の類とされていた。足を最大まで生やした虫と言えば百足(ムカデ)であって、百足は神には殺せない。あと百足は起き上がることがない。

高みに在します神々に嘲笑われながら、そのくるぶしに噛み付くようなことはせず、しかし死なずのムカデとして、屁理屈と能書きの這い跡を残すことが、今の僕にできることの精一杯の水準である。


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dechi

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