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タケシ

その当時、夕方の5時とか6時に子供向けのアニメ番組があった。台所に面している部屋にもテレビがあったが1人でテレビを占有し没頭して観るのが好きな私はその時間、母が夕食の支度をしている台所、の隣ではなく客間のように使っていた縁側に面していた部屋のテレビで観ていた。すると外で1人で遊んでいたらしいタケシが無言でいつの間にか庭に入って来て縁側にへばりついてる、そしてテレビを観てる。

外とブロック塀に隔てられた小さな庭に面した、玄関横の座敷

タケシは同級生のツトム君の弟だ。幾つ違いだったかもう覚えてないけどw 1人の時間を壊された私はタケシに「帰れ。家で観ろ」と文句を言うわけだが無言で身じろぎもせず、ある種おそるべき集中力でテレビを観ている。人が1人乱入しただけで存分にテレビを楽しめなくなっている私とは大違い。30分程のアニメ番組はそのうち終わり、タケシは無言で帰って行く。

最近、よくこのことを思い出す。そして、当時はとにかく自分のテリトリーを土足で入られた感ばかりだったのだが、もう随分といい大人になるとあの時のタケシの状況を想像してみたりする。タケシの家はツトム君の両親、姉、おばあちゃんの6人家族だった。ツトム君は相撲が好きだった。タケシはいちばん下、末っ子なのでその時間では割を食ってアニメとか観させてもらえないことが多かったのではないか? はたまたその時間、時々1人で外に居たくなる。外に出ざるを得ないことがあったのではないか? とかね。全くの想像でしかないんだけど。もう少し広い心で観せてあげられたら良かったなーと。ま、どうであれ、強情な感じがするくらいに居座って終わりまで観て帰ってたんですけど。それでも、ね。

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きっと幸せになりますよ(私が