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約1ヶ月で人生初コスプレした件③当日編

特別な日におしゃれをしたい。コスプレの世界はそんな人たちの集まりなのではなかろうか。
デート、成人式、結婚式などで綺麗な格好をしたくなるように、日常に特別感を与える場所。それを叶えてくれるのがコスプレイベントだ。

こちらは約1ヶ月でコスプレに挑戦した女オタクの記録の③当日編であり、これが最後の回となる。
今回も文章に卑屈とディスりが含まれつつ、なんの役にも立たない情報が書かれている。コスプレが見たくてここに来たのなら申し訳ない。小説でいつか書くかもしれない。愛と憎しみのレイヤー殺人事件とか…(物騒物書き

………………
2023年1月14日、アコスタ当日である。
出社時のメイクだけがやたらに上達したが、はたしてコスプレになるのか。不安に思いつつ、9時半に集合がかかった。なんて健康的な時間にやる趣味なのかと驚いた。

ここで参加したイベント、アコスタの説明をする。コミケのような同人誌即売会の開催中にやるイベントではなく、運営側が許可を取った施設(今回はATC)でコスプレしながら自由に写真を撮ったり歩いたりしていいというイベントである。土日にATCに遊びに来た親子連れの方や普通に物産展に買い物に来たマダムにもコスプレが見られてしまうリスク(?)はあるが、かなりゆるいイベントである。実際、コスプレしながら海鮮丼を食べた。もうどうにでもなれと思いつつも、美味しかった。

10時から入場でき、更衣室が使えるようになる。
早めに来たのは更衣室が混雑すると待つかららしい。その時刻になると、わらわらとキャリーケースを引きする人々がいた。私も布製のキャリーを引きずっていた。イベントの度にそのキャリーを使っているので、その日から名前を付けた。ジム。愛しい。イベントは手搬入で重い本を入れているため、キャスターががったがたになってる。壊れないで、ジム。翌日のほうが重いよ(文フリ前日)。

そんなどうでもいいことを考えつつ、スタッフの方の誘導に従い整列。聞こえてきたのは、ひそひそと推しの話をするお姉さん方だ。少しお近づきになれたような気がした(※一切コミュニケーションしてません)。高校の美術部の部室みたい。社会の辛さとか愚痴とかなくて、二次元の話してる空間は気楽である。

Sさんの読みが当たり、早めに入場できた。
事前にSさんから「地べたで準備する」と聞いていたので、もう年齢的にも体型的にも地べたがしんどい私は小さな椅子を持参した。


踏み台?


なんということでしょう。
誰も椅子など使っていなかった。普通でも座高が高いのに、一人悠々と椅子に腰かけている私は何様なのだろう。でも、個人的には判断は間違ってなかった。立ち上がりか楽だし、私の脚はこのスペースに収まりきらない。正座もあぐらも無理じゃい。ていうか、皆さんも荷物に余裕があるなら椅子を使ったらいいと思う…。

ちなみに、更衣室の中はブルーシートが敷かれており、テープで一人分が仕切られていた。片側に×があり、×マークの箇所に荷物を置くように指示された。

雑な図解!

コロナの影響か、元からメイクのパウダーなどが前の人に当たらない配慮なのかわからないが交互に座る形である。メイクするときの向きも決まっている。何十名といるので、結構ぎちぎちに収容されている。

大変わかりやすい?

さて、想像してほしい。
ブルーシートの上で50名以上はいるウィッグのネットを被った人々が座り、メイクのために小さくなって俯く様を。
何かの祈りの儀式のようである。有名人の等身大パネルなどを前に置いて、より偶像崇拝感を出してほしいなと椅子に座る空気の読めない入信したばかりの私は思った。
これはコスプレしないと見られない光景だった。もう、このために来たな…。シュールな世界で面白い。

今回の私は薄化粧で、黒のニットとスラックスとビジネスシューズを履いていた。なので、ジムにはジャケットとブラウスと椅子とメイク道具が入っている。
スペースに収まり、そそくさとブラウスを着て、ウィッグのネットを付けた。ヘアバンドみたいなやつである。前回のコスプレカラオケ回で学んだのでできた。本当に、予習は大事…!

そこからはまた個人の戦いである。
メイクの工程は慣れたものだが、如何せん。緊張なのか、いつもより下手くそだった。
姿勢はこうです。

(甥のぬいぐるみ拝借)


キャリーの取っ手部分に洗濯バサミで鏡を固定し、メイクするときに片手で鏡を斜めにしつつ、顔を作っていた。ちなみに、これも誰もやってなかった。
謎の便利グッズを用意してくる新人で申し訳ない。画期的な発明をしたと思ったのにな…。ジムの上にメイク道具も置けるんだぜ!ジムのポテンシャルを最大限に活かすぜ!

メイク中は自分しか見てないのであまり取り上げるべきことがない。お隣のSさんのお手を煩わせずにメイクを成し遂げられてよかったな……とか。

あ、不器用なため、眉毛を隠すテープは2回ミスって諦めた。無駄にしてはいけない。今から眉毛を全部抜いたろかいと思いつつ、普通に眉毛を書いた。
(この眉毛を隠すテープ、薄くてすぐに皺が寄るのだ。代用品として絆創膏もありだそうだ。そっちのほうがいいかもしれない。でも、眉毛に直貼りしたら、剥がすときに痛くないのかな。今更考えてもどうにもならないけども…)

この頃にはつけまつ毛にも慣れていた。でも、口紅を塗ってからつけまを付けると唇に手が触れて失敗すると学んだはずなのだが、同じことをやらかした。昨今の口紅は落ちにくいので、お気をつけて。

そして、ウィッグ体験二度目!
バっと被って、前髪出てこいとぐにぐに下げて調整する。これも下手くそで、申し訳なかった。
後に自分で分析してみたのだが、Sさんの顔のサイズに合わせてカットされたウィッグは私のデカイ顔に合わなかったのだろう。必要な前髪の長さが違う。これが本当の「顔デカイからやー」だ。
(ウィッグを借りる状況があまりないと思いますが、相手の顔の大きさと己のサイズ感は正しく把握しましょう!)

また皆さんのウィッグを見ていたら、ものすごい綺麗で感心した。ひとつもアホ毛を許さないような完璧さがあった。どんなにといても、髪バサバサになった。修行が足りんわ!

あと、これも気付いたことだが長身の人間がロングヘアーのウィッグを付けると小柄な女性の長さの感覚にはならないようだ。これは身体が長いからやー…。
今回、人気版権ゆえたくさんの女上司コスを見たわけで、皆と丈感が違うなと気付かされた。また色もそれぞれ違うようだった。皆さん、自分の肌に合わせてウィッグを選んでいるのだと思う。こだわりがウィッグで伝わった。

私の出来はというと、前よりは上手くできたかもしれないが、やはり赤毛の怪物ができた。うむ。でも、前よりはマシなら研究、練習した甲斐はあった。そういうことにさせてほしい。

準備が整った時刻は12時前で、準備でかなり時間がかかるよというSさんの言葉は本当だった。
こんな怪物を連れ歩いてくださるのかと不安だったが、Sさんは優しく一緒に歩いてくださった。本当にありがとうございます。「そくほう」なる文化があるので、Sさんのスマホで肩を寄せ合い記念写真を撮った。このときに気づいたのだが、一般的な白い不織布マスク(折り目がいっぱいついてるやつ)はあまり写真として映えないらしい。マスク美人という言葉があるが、本当に映えるのは形が崩れない黒などのカラーマスクだ!これも思わぬ反省点であった。

自分の出来はもう仕方ないので、頼まれたカメラマンとしての責務を全うしようと気持ちを切り替えた。一枚もまともに撮れなかったら切腹ものである。

借り物のカメラで撮らせていただいたのだが、とても私に優しい仕様だった。最近のカメラは画面タッチでシャッターを切れるんだ。ブレ防止も完備。メイクの件といい、情報のアップデートができてない大人ですみません。

その日のツイッター語録
「私がカメラを使うんじゃない。カメラが私を使いこなせ。」
その言葉通りになった。テクノロジーに感謝。企業努力に感謝。

小雨と曇り空の下、Sさんを撮るのが楽しかった。またレイヤーさんの楽しそうな様子も見ていて嬉しくなった。
「あのキャラ知ってる!あの衣装すごい!」
こだわりや熱意のぶつかり合う空間は見ていて気持ちが良い。言い方が悪いが同人誌即売会もクレイジーな集まりだから、やめられないわけで。

残念なことは、この翌日の文フリの宣伝をできないかなとしっかりオタク名刺を持参していたにもかかわらず、ひとつも配れなかったことだ。いつもより物理的に面の皮が厚いのに、相変わらずコミュ障だった。
(私のシュールと真面目が同居する小説が気になる方。こちらで通販を行ってます。ここで宣伝するのか。Yes、ネット弁慶!)


それでも、チェンソー男関連の方々でお写真が撮れたのは嬉しかった。
写真を撮るときのかけ声すら言わずに撮ったりしたこともあるので、もっとカメラマンとしての常識をもって臨むべきである。ハイチーズは死語ではないかなとか。イチニサン、ハイなのか?
他の人が撮ってるときに真横で見学していたかった。不審者だが、カメラマンの練習も必要だ。

コスプレ写真を撮るにあたり、コスプレ写真と共に人物写真をチェックしていた。雑誌やアイドルのグッズなどが家にある。Sさんを撮るとき、もっと指示が出せたらよかった。
唯一ここで撮りたいと言えたのが配管などで薄汚れた風景のところだ。よいぞ。私は路地裏やポイ捨てされたゴミのある風景が大好きだ。でも、ゴミを捨てるやつは大嫌いだ。

ちなみに、多くの写真を見たことで私の好みのカメラワークは把握した。いわゆる雰囲気写真に分類されるかもしれない。顔が見きれていてもいい。俯く様や手や目のパーツのアップなど。だから、個人的にはキメ顔より何気ないオフショットみたいな表情がいいな。ほぼ隠し撮りみたいなものが好きというか…。それはコスプレ撮るべき人間の思想ではないのかもしれないけど。私は絵描きでもあるので、そういう絵なら撮りたいなって。

そういえば、撮られる側によるのかもしれないが、レイヤーさんはアップNGなどもあるようだ。私はすごく目元が綺麗だから撮りたかったが、そっと逃げられてしまった。素敵なのにな!
でも、苦手なら無理して撮ってはいけないので我慢である。私も30mくらい離れて写真撮られたいもんな。点や線になろう。

さらに、写真を撮っていて思ったこと。
今どきの写真で重要なものは加工だと思う。雑誌の表紙だってプロの加工があるし、JKだって加工が指ひとつでできる。加工が悪いという話ではない。私も原型をとどめないでほしいと願う。
しかし、イベントでは皆さんが綺麗で眩しく見えた。寧ろ、写真になって見ると「普通の人」に思えた。本番前のレイヤーさんが全部ハシカンちゃんに見えていたメイク編と比べると、この写真の中の人々は「生きて存在している人」だと納得してしまったからかもしれない。

これもレイヤーさんにとっては嫌がられるかもしれないが、現地で見るレイヤーさんは生き生きとしていて、本当に美しく見えた。だから、現地で写真を撮りに行きたい人が大勢いるのだろう。
前向きなパワーによる美しさ。元気な笑顔や楽しむ姿に私は美しさを見出だしてしまう。だから、レイヤーさんは実物でも堂々としてたらいいなと。一番加工して消えたい私が言うのは難だが…。

古のネット言葉に「ぶっさ!コミュ抜けよ」という恐ろしいものがある。
私もルッキズムに縛られているので、基本は顔出しNGだ。ブスがコスプレするなという意見は悲しいけれど、気持ちとしてはわかる。私も本来は手を出すべきではなかったかなと思っている。正直、コスプレするまでは私もコスプレ写真を好んで見ようとしなかった。「夢が壊れる」という言葉にも鋭いトゲがある。
しかし、コスプレしてみると、それは余計なお世話なのだと思った。ブスだって、振り袖やウェディングドレスを着たいと思うし、着れるなら着るだろう。コスプレもそんなかんじなのかなと。コスプレというのは特別感を楽しむひとつの手段だった。趣味に誰も文句はつけられないし、好きなことはのびのびしたほうがいい。

誰だって、着てみたい服やお気に入りのキャラになりたいという心はあるものだ。私が美人代表みたいな女上司をするのも「やってみたい/なりたい」の感情の表れである。やはり私だってこんな存在になりたかった。そのためにできるだけ研究したし、無理のない範囲でお金を使った。
コスプレでお前の夢を壊しても、私の夢は叶ってるんだ。許せ!……皆さんもそんな気持ちでやっているのかなとか。

結果はあれだが、本当にやってよかったと思っている。どの女上司より怪物の出来だったとしても、一番背丈は大きかったぞ。厚底勢にも男性レイヤーさんにも身長だけは勝ってた気がする。(ポジティブ発言できるのがそれしかないんかい

メイクも学び直せた。またコスプレは表の煌びやかな部分に目が行きがちだが、準備に倍以上の時間がかかってたことを知った。継続してコスプレを趣味にする場合はもっと大変だと思う。衣装制作や購入に伴う出費、増える衣装の保管、カメラマンの手配、レイヤーさん同士のご挨拶など。ちなみに、一人で参加する場合、一人でぶらぶらしますとSさんがおっしゃっていた。それもそれで大変そうな…。

今回のコスプレ体験は異例中の異例である。
ウィッグとカメラの貸し出しをしてくれたことで、私までついでに変身できたに過ぎない。また1ヶ月という短い期間だからこそ勢いでやれたのだと思う。
改めて、誘ってくださったSさん、本当にありがとうございました!

………………

つけまつ毛を外したら、私はそのままの顔で帰れる顔に戻った。眉毛がこてこてになってる以外、普段とあまり変わらなかった。ぐぬぬ。

ジムを引きずって、Sさんとファミレスでパフェを食べながらお話をした。
やってみたいキャラクターの話で盛り上がった。懲りずにまたやったら許せ…。

そして、もしやるならもっと上手くなりたい。いろんな意味でやる気を失いがちの私だが、人並みに美への欲求は存在していたらしい。

それまでにもっと痩せたいけども!
あと5キロ落としたら、またやろうか。
目標を定めてやれば、より結果に結び付くかな。コスプレするためにやるダイエットダンスはやる気が違ったもんな……なんて。色んな理由をつけて、やるかもしれない大人である。

そんなこんなで、思ったことを書き連ねてみた。知らない世界が覗けるというのはやはり面白かったので、また別の沼があれば軽率に誘ってみてほしい。できるかぎり、真面目に取り組みます。

それでは、三回分もの記事にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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