「タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース」著・窪 美澄

「タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース」著者・窪美澄 出版社・筑摩書房 出版社・2022年12月                    YAは社会状況を写す最先端の小説だと認識していたが、昨今、YAという分類は霞んでしまったようにも思う。YA=ヤングアダルトは、分類するものではなく、(全部YAやん)というくらい、世の中は弱ってしまった。ように感じる。誰もかれもが、傷ついた、まだ成長していない、庇護されるべき存在だと、主張している。私だって楽しんでいいし、私が充実していないと、他の人のことも そうは思えない。と。
自分が大人と覚悟を決める人が少なくなったのかな~
歳だけは積み重ねるけど、歳をとることの意味が実感できないし、多分したくないのだろうな。まあ、そりゃ、ずーーーーーと誰かに、守ってもらったほうが楽だしね。
しかし、世の中そう甘くはないのだよ。甘くはないけど、無責任に生きても、それを咎めることもしないよな。親が子を捨てても、搾取しても、その子どもたちに、関わることをしない大人で社会はあふれている。「げんじい」や「ふーちゃん」や「倉梯くん」のように、心に傷を抱えながら、それでも、寄り添える人がいることの貴重な体験は、本の中だけではないといいね。また、この本を読むことで、そんな人がどこかにいることを思って、生きて欲しいと思う。自分のこどもさえ守らない親はいるし、全ての親がこどもを守れる状態でもないとは思うけど、大人はすべからく、子どもを庇護する責任はある。先に生まれ、守られてきた経験があるはずで、その分、次に来る人に返すことは人としての務め。自分にできることしか返せないけど、少なくとも 自分がかばえる部分だけでも返そう。それが増えれば、親だけがしんどい思いをしなくても、子育てはできていく。育児って、親だけがするものではない。子どもは社会の未来なのだから、未来は明るく、ようようと育っていかねばならない。人としての本来の姿で。

 

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