見出し画像

はとさん式資料収集入門

資料収集としての読書

4月、新学期です。大学新入生の皆さんは授業もはじまったころあいでしょう。

大学では「資料」として本を探し、たくさん読んでいく必要があります。
「資料」としての本の探し方、読み方には、「エンタメを楽しむ」ための読書とはまた違ったコツがあります。

この記事では、私が大学在学中に覚え、卒業してからも続けている「資料収集としての読書」の方法について、個人的なやりかたを書きとめておきます。

今後レポートや論文を書くときに役立てていただければと思います。

資料を集める①とにかく全部とりよせる

基本的に使うのは図書館です。本を手当たり次第に買える予算と本棚があればいいのですが、ないので図書館をクロールしていきます。

まず、お住まいの市の図書館なり、使えるなら大学図書館なりのOPACで資料を検索します。

カーリルはまともに使おうとすると重すぎて話にならないので、使える範囲にどんな図書館があるか調べるために使うといいでしょう。
大学の図書館はおおむね文献の相互取り寄せができることが多いです。

調べたいものに関するキーワードを適当に入力します。
その結果をすべて集めるのではありません。キーワードの精度を上げます。

検索結果に「これかな?」という本があれば、その本には「件名」がついているはずです。
それがその本の分類されている「ジャンル」の正式名称です。

「件名」は複数あることもあります。「件名」をたどると、関連資料が芋づる式に出てきます。

時間とリアルの図書館にアクセスできる身分があるなら、十進分類法の「ここを見て回ろう」と決めて本棚の前をカニ歩きするのも楽しいものです。

そうして本棚と蔵書検索端末を何往復かすると、手元には調べたいものに関連する資料が山積みになっているはずです。

今の私は札幌市内の図書館からインターネットで資料を取り寄せているので本棚反復横跳び式に効率よく資料を集めることができないのですが、ひとまずは件名をたどって関連資料とおぼしきものをひととおり集めます。

その本が「本当に役に立つか」まだわかりません。それは読んで判断するのです。

資料を集める②ざっくり読む

「関連資料とおぼしきものをひととおり集めた」状態ですから、ひとつの本にかかずらって返却期限までに手をつけられない本があってはいけません。

できれば並行してすべての本に目を通します。じっくり読む必要はありません。読んでみて、「自分の調べたかったテーマについて書かれているか」を判断します。

テーマに沿っていなくても、興味深い内容であれば読みます。興味が持てない、調べたかったことともなんか違う、となったら後回しです。ただ、なにが潜んでいるかわからないのも本ですから、時間があれば最後まで目を通しましょう。

貸出制限いっぱいまで本を取り寄せたなら、1冊から3冊くらいは興味深く最後まで読み切れる本があるはずです。そのくらいの打率だと思って取り寄せましょう。楽しむための読書と資料収集は根本的に違います。

このくらいの打率なので、いちいち借りてきて家まで持ち帰らずに図書館の中で資料の選別まで済ませたいのですが、市民図書館だとそうもいかず、大学図書館が懐かしいです(余談)。

「これは得るものがあった」という本は、そのまま返してはいけません。

まず本のタイトル、作者、出版年などの書誌情報を控えます。必ず読み返す必要に迫られるときがきます。図書館の本はそのときあらためて取り寄せる必要があります。そうでなくても研究目的の場合参考資料リストを作る必要もあります(研究目的でなくても、参考資料リストは財産になります)。

それから、その本が学術書であれば必ず、巻末に「参考資料リスト」があるはずです。そこを、コピーなり写真を撮るなりして控えておきます。

次の資料収集はその参考資料リストから気になる本を探して借りてみるのです。専門性の高い本なら、珍しい文献が載っているかもしれません。入門書なら、「その分野を解説するために必ず読まなければいけない本」が載っています。

入門書の参考資料リストから必読文献を洗い出すやりかたは大学生にとてもオススメです。素人の趣味なら入門書を読んで終わりでもいいかもしれませんが、研究目的であれば「読んでおかなければいけない文献」は必ずあります。素人の趣味であっても、より根本になる資料に触れる機会はあっていいでしょう。

資料を集める③もう一度とりよせる

「これだ」と思った本の参考資料リストから、調べたい分野に関する資料をピックアップできたら、それをもう一度検索します。
このとき、新しい「件名」があればそれをたどるのも楽しいはずです。

こうして芋づるを引っ張っていると、参照・引用されることの多い資料というものも見えてきます。
それがその分野の「重要文献」です。多くの研究者が注目している資料なのです。

創作を読むのであれば独自性が大事かもしれません。でも、資料に必要なのは「確かさ」です。科学において「確かさ」とは「多くの人がそれが確かだと認めている」ことに担保されます。

すなわち、「誰も思いつかなかったような斬新な説」は、科学においておおむねたいした意味を持ちません。足場を固めるのに曲芸をしても意味がないのと一緒です。

資料を整理する

取り寄せて読み、参考資料リストを眺めて資料を集め、読んで、を繰り返していくと、手元の「自分の参考資料リスト」はどんどん豊かになっていきます。

読書記録アプリやサービスもいろいろありますが、単純に「読んだ本を記録しておく」だけではなく、「参考資料リストを整理する」ことで、「その本に何が書いてあるか知っていて、いつでも資料にアクセスできる」手がかりが残ることになります。

控えた書誌情報が増えてきたら、「このへんはこのことについての資料」とか、メモを加えて分類するのもいいでしょう。

また、何度も読み返す必要があった本は、ここで初めて買って手元に置くことを検討します。

とりあえず買って違ったら古本屋に売り飛ばす、でもいいかもしれませんが、図書館を使えば無料です。まずしい人でも知識にアクセスできる素晴らしい施設を使わない手はありません。

ただし、知識にアクセスするには手順を知っている必要があります。
この記事がみなさんの知識への道しるべになりますように。

サポートしていただけるとシンプルに食費が増えます。