見出し画像

神話の世界から続く伝統・伊勢神宮の機織りの神事

あなたが伊勢に来る目的はなんですか?きっと多くの方が「伊勢神宮参拝」を目的にして伊勢にいらっしゃると思います。その伊勢神宮では、実は年間だいたい1,500回の祭典や行事が行われています。

実は伊勢神宮のこの祭典や行事こそ、見どころの一つです。祭典や行事には長い長い歴史と伝統が息づいています。そして今まさに行われている行事が、機織りの神事です。


伊勢神宮の祭典・行事とは?

日本の中でも最も重要な神社である伊勢神宮。伊勢に観光に来る人の一番の目的は伊勢神宮に参拝することではないでしょうか?

広大な森の中に静かにたたずむ社殿。宮域の中で風を感じ、木々の香を感じたりしていると、不思議と心身がすっきりしていくような気がします。

365日、いつ訪れても素晴らしい体験をさせてくれる場所ですが、その中でも祭典や行事を見ることができると、より感動が増すものです。

白い浄衣を身に着けた神職さんが石畳の上を泰然と歩いていく姿を見ると、まるで古の日本が目の前によみがえってきたような錯覚を覚えます。

それもそのはず、伊勢神宮は2,000年もの昔から、年間1,500回を超える祭典や行事を行っているのです。昔からの姿を現在にとどめている貴重な場所なのです。

まずは伊勢神宮で行われる祭典や行事について紹介しましょう。

毎日・年に一回・20年に一回

伊勢神宮・外宮がご鎮座してから1,500年間毎日欠かさず行われている祭典が、日毎朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)です。朝と夕方の2回、外宮の御饌殿に神様のお食事・御饌が奉られます。

気になる神様のお食事の内容はというと、米、塩、水を基本に、鰹節、海藻、旬の野菜と果物、魚と清酒です。とても親近感が湧いてきませんか?

御饌殿は一般の人が立ち入ることができない場所にあるため、祭典の様子を近くで見ることはできません。その代わりに、御饌殿で手際よく動いている神職さんたちを遠目から見ることはできます。

現在は朝御饌を午前9時頃、夕御饌を午後3時頃に奉っていますので、その時間に合わせて御饌殿を見ると、祭典の様子が見られる可能性があります。

なお、祭典に臨む神職さんたちが心身を浄める斎館から出て、御饌の調理をする忌火屋殿に向かって歩いていく(参進)する様子は、祭典の40分~30分ほど前に忌火屋殿の近くで見ることができます。

また、一年に一回行われる祭典もたくさんあります。その中でも、稲作に関する祭典や行事は、それぞれのシーズンに一回。そして、これから訪れる10月15日の夜から始まる神嘗祭がクライマックスです。

神嘗祭は、今年の祈りを神様に捧げて感謝するための祭典です。伊勢神宮の年間の祭典の中でも最も重要です。一般の私たちが見られる祭典の一部は奉幣(ほうへい)と呼ばれる儀式です。

奉幣は、天皇陛下からの勅使が、陛下から神様への捧げもの(幣帛)をご奉納になる儀式です。白い浄衣に身を包んだ神職と、色鮮やかな束帯を身に着けた勅使、緋袴を身に纏った祭主が列をなして歩んでいく姿は絵巻物のようです。

そして、20年に一度行われる最大の祭典が式年遷宮です。この祭典は、新しい社殿を建て、そちらに神様をお遷しするものです。一番のクライマックスが遷御の儀といって、神様を古い社殿から新しい社殿にお遷しします。しかし、式年遷宮はその8年前から準備のためのさまざまな祭典が行われます。

前回の式年遷宮は2013年に行われました。今年でちょうど前回の遷宮から10年目です。そして、予定では2033年が次の遷宮のタイミングではありますが、遷宮を決められるのは天皇陛下のみです。陛下の御治定(決めること)で定められます。

2033年に式年遷宮が予定通り行われる場合、2025年からそれに向けた準備が始まります。伊勢は、これから式年遷宮に向かって盛り上がっていきます。

祭典について詳しく知りたい場合は、伊勢神宮の公式ホームページか、外宮側にあるせんぐう館を訪れると、その内容がよくわかります。伊勢神宮参拝をされる方は、参拝前にぜひ訪れてみてください。

祭典を未来に続けていく

古くから続く祭典を未来へと続けていくことは、並大抵のことではありません。何事も、続けることが非常に大変であるということは、あなたもご存じのことと思います。

伊勢神宮では祭典を途切れなく、滞りなく続けていくために、さまざまな工夫や努力がなされています。例えば、祭典に欠かすことができない神様のお食事・御饌で用いる食材の多くは、自給自足をしています。

また、予定していた祭典の日にちを、天候の問題などで変更することはできません。そのため、雨の場合であっても予定通り祭典ができるような場所があらかじめ設けられています。

そして何より大切なのが、それに従事する人たち。祭典を執り行うための技術と心の伝承が何より不可欠なのです。

このようにして、さまざまな努力の甲斐あって、今もなお私たちは遥か古からの祭典を現在においても垣間見ることができるのです。

祭典はこの国の五穀豊穣を祈ったり、平和を祈ったりするもの。多くの人たちの祈りによって、私たちの日常が保たれていることに感謝したいものです。

伊勢神宮の機織りに関する神事

これまでに伊勢神宮で行われている祭典の一部についてご紹介してきました。ここからは、10月1日から行われている機織りに関する神事、神御衣祭(かんみそさい)についてご紹介します。

神御衣祭は、10月14日と5月14日に行われている祭典です。この祭典では、神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)で織られた麻布と、神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ)で織られた絹布を内宮に奉納します。

祭典に先立って、10月1日と5月1日に神御衣奉職始祭(かんみそほうしょくはじめさい)がそれぞれの神社で行われます。織物が麗しくできあがることを神様に祈念する祭典です。

それから10月13日、5月13日に行われる神御衣奉職鎮謝祭(かんみそほうしょくちんしゃさい)までの間に、それぞれの神社にある八尋殿において、機織りが行われます。麻布は男性が、絹布は女性がそれぞれ織るのが習わしです。

機織りと日本の神様の関係

実は、機織りと日本の神様の間には密接な関係があります。『日本書紀』では、天照大御神が機織りをしているという描写が描かれています。

また、神宮の社殿に納められている神宝の中には、機織り機をかたどった模型のようなものがあります。このように、神様にとっても機織りは非常に重要な作業であることがうかがい知れます。

どこで行われているの?

麻布が織られる神麻続機殿神社は、伊勢市近隣の松阪市にあります。伊勢市中心地からは車で30分ほどの距離です。

また、神服織機殿神社は神麻続機殿神社から車で5分ほどの場所にあります。どちらの神社も水田の中に現れる森の中にあります。水田の中に森が現れる姿は、とても幻想的です。

何が見られるの?

八尋殿での機織り作業を伺い見ることができます。とは言っても、八尋殿は板垣に囲まれていますので、中の様子をはっきりと見ることはできません。また、門に当たる部分には御帳というカーテンのようなものがかかっているため、そこからも中をはっきり見ることはできません。

中央の大きな建物が八尋殿。向かって左にあるのが神麻続機殿神社です。

単なる機織りではなく、神様に奉るものですから、奉職をする人も気が散ると困るでしょうし、なにより神事の一つですので、あけすけに見せるものでもありませんからね。

御帳の向こうで機織りが行われています。

中の様子をはっきり見ることはできませんが、機織りをする音を外から聞くことはできます。杼で横糸を通すシューッという軽やかな音、トントンと横糸を詰める音。耳に心地よく響いて、いつまでも聞いていたい気分になります。

機織りをするのは1日から13日までの間ですが、だいたいは4日~5日程度で完成するそうです。それ以外の日は予備日のようなものだそうなので、機織りの様子を知りたい方は、前半の内に行くのがいいでしょう。

機織りの様子を見た後は…

機織りの様子を見たら、自分もやってみたいと思うかもしれません。そんな方におすすめなのが、松阪もめん手織りセンターでの機織り体験です。

松阪もめん手織りセンター。ここで機織り体験ができます。松阪木綿も取り扱っています。

私も以前体験をしたことがあります。綺麗に布を織るのがこんなに大変なことだとは…!と実感しました。特に縁を綺麗にするのがとても難しいんです。体験を希望する方は事前の予約が必要です。

また、松阪は木綿織物の松阪木綿の生産地です。今では生産をする工場は一軒のみとなってしまいました。美しい藍色で松阪縞の入った松阪木綿。反物から小物まで、松阪もめん手織りセンターで購入できます。

松阪もめん手織りセンターの隣には、豪商の町松阪観光交流センターがあります。ここには、松阪土産が数々取り扱われています。また、2階には江戸時代に大いに栄えた松阪の歴史について解説する展示があります。

江戸時代の賑わい。今もなおその姿の面影を町の随所で見かけることができます。

この周辺には、松阪商人の家がいまも保存されていたり、三井家発祥の地があったり、本居宣長の旧宅跡があったりと、見どころがたくさんあります。

伊勢神宮の祭典・行事を見てみませんか?

伊勢神宮にはたくさんの見どころがあります。祭典や行事に立ち会うことができると、日本の歴史の奥深さに触れ、より深く伊勢神宮のことについて知ることができます。

祭典や行事には、伊勢神宮の歴史だけではなく、私たち日本人が祖先から受け継いできた文化や精神性が秘められています。もし伊勢神宮に来る際には、祭典や行事に合わせてみてもいいかもしれません。

伊勢神宮の祭典や行事は、伊勢神宮の公式ホームページをご参照ください。

次の機織りの神事はいつ?

機織りの神事は毎年10月と5月に執り行われています。2023年10月10日現在、機織りの奉職が行われています。10月13日に神御衣奉職鎮謝祭が神麻続機殿神社と神服織機殿神社で行われ、10月14日に伊勢神宮・内宮で神御衣祭が行われます。

また、2024年の5月にも祭典が行われます。5月1日に神御衣奉職始祭が神麻続機殿神社と神服織機殿神社で行われます。それから機織りの奉職が始まります。10月と同様、5月13日に神御衣奉職鎮謝祭がそれぞれの神社で行われ、5月14日に伊勢神宮・内宮で神御衣祭が行われます。

ご興味のある方は、これらのスケジュールを参考にしてみてくださいね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

【参考HP】
伊勢神宮公式HP

***伊勢のオーダーメードツアーはお気軽にご相談ください!***
私たちは、伊勢ならではの日帰りツアーを各種取り揃えております。
伊勢神宮をさらに深堀する旅や、伊勢の産業観光、体験など、地元密着型の強みを生かして、地域に貢献できるツアー企画運営を行っています。
伊勢は「わかりにくい」観光地だと思います。「わかりにくい」からこそ、地元の人たちの手助けによって「知らなかった!」世界が見えてきます。そのお手伝いをするのが、私たちです。
当社のツアーは全てプライベート。あなたの伊勢旅行の予定に合わせて、興味のあるツアーの企画運営をお手伝いします。

  • 伊勢神宮参拝後の観光予定が決まっていない

  • 伊勢神宮には何回か行ったことがあるので、もっと深くを知りたい

  • 観光客がほとんど行かない穴場に行ってみたい

  • 泊りがけで伊勢にいくものの、どこへ行くか何をするか決まっていない

  • 地元の人たちと関わることができる体験がしたい

  • 伊勢に初めていくので宿泊先からレストランまで相談したい

  • とにかく伊勢について情報が欲しい!

上記に一つでも当てはまるご興味のあるあなたは、当社HPをご覧の上、お気軽にお問い合わせください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?