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家業イノベーション・アイデアソン2020の集大成【第2弾】

【第1弾】では、ゲストスピーカーとして講演してくださった株式会社小野写真館代表取締役社長の小野哲人さんを特集しました。
【第2弾】となる今回は、家業イノベーター4名による10ヶ月間の取り組みとその成果のプレゼンを特集します!2020年8月のキックオフ会から始まり、9~11月の3回のアイデアソン、4月の中間報告会を経て、アクションし続けた成果と、そこから生まれたこれからのビジョンを、たっぷりとお話しいただきました。

みかんのみっちゃん農園 小澤光範さん

みっちゃん

🍊プロフィール紹介

和歌山有田みかん・はっさく・レモンなど、年間を通じて、60品種もの柑橘を生産している江戸末期から伝承された6代目農家。
みかんの加工品や全国の洋菓子店や飲食店とコラボし、新しい繋がりや価値を生み出す。最近は特に、フードロス問題にも取り組み実施中。
地域産業、観光産業などを通して、有田地域の自立した地域経済の発展を目指し、未来の有田を創ることを目指す。
援農キャラバンみかん採りプロジェクトが有田に携わっており、その一員として、みかん収穫シーズンなどの農作業繁忙期に、全国から農家を助けたい!という想いを持った人たちを援農者として、地元に呼び寄せる活動を実施。そして、新規就農者が就農へと繋がる架け橋となるよう活動中。
全国テレビや関西テレビ、地元メディアや地元雑誌、ラジオなどにも度々出演。clubhouseやFacebook、Twitter、Instagramでも情報発信しています!
日々、みかんの生産技術・産業の発展と共に、地元有田の発信源を摸索中!

みかんの帽子がトレードマークのみっちゃんこと小澤さん。和歌山県からオンラインでの参加となりましたが、みかんの帽子にオレンジ色の服でみかん全開でのプレゼンでした!

🍊小澤さんが目指すもの

「人と人とのつながりを大事にし、みかんを通じて『4つの起点』を創造する農園にします」を理念として、活動しています。
さらに、有田むきと呼ばれるみかんを4等分にするむき方にちなんで、4つのビジョンを掲げています。

有田むき

① 笑顔 ② 幸せ ③ 感謝 ④ 未来
みかんを通じて、これらを "縁" にして結んでいくために、小澤さんは常に情報発信を続けているのです。

これらの想いを抱いてみかんに向き合い続けた結果、2020年度は150t以上の果実を収穫、1万人以上の方に発送することができました!

🍊アイデアソンを通じて得たもの

当初アイデアソンに参加するにあたって、自身の事業を見直したくさんの課題ややりたいことが出てきました。
・自分の商品をすべて自分で売れるようになりたい!
・加工品を作りたい!
・海外進出したい!
・クラウドファンディングに挑戦し成功させたい!
・サポートを受けて、さらにSNSを活性化したい!
・右腕となる人材を見つけ、チームで取り組んでいきたい!
・47都道府県に進出し、全国でコラボ展開したい!
・医療従事者や子供食堂へみかんを届けたい!

これらの課題に対して1年間取り組んできた結果、SNSを通じてつながりを広げたことで、ともにイノベーションを起こしていくチーム作りやクラウドファンディングへの挑戦、医療従事者や子供食堂へのみかんの発送を実現することができました。さらに、販売・加工に関しては行政や専門家に相談して進めることができ、小澤さんがアクションを起こし発信していったことで全国でのコラボ展開も実現。
これらの活動が日本で加速していけば海外進出も見えてくる。そう信じて今も全力で活動中!

みっちゃん プレゼン

🍊小澤さんの挑戦はまだまだ続いていきます!

SNSを活用し、さまざまな"縁" を大事にして、すべての課題解決に向けて走っています。小澤さんの明るい人柄といろんなことにチャレンジしていく行動力から、多くの方がサポートし応援してくれるチームが生まれてきたのだと感じました。みかんを愛し真剣に向き合っている小澤さんだからこそ、みかんの可能性をもっと広げてくれると信じています。

御菓子司風月堂 藤田浩一さん

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■ プロフィール紹介

茨城県日立市出身。70年余り続く和菓子屋の3代目。
2020年9月株式会社設立に伴い事業承継。株式会社常陸風月堂代表取締役社長となる。製菓の専門学校を卒業後神奈川にて5年間修行し、実家に戻る。
海外旅行で改めて日本の良さに気付き、2019年ICOM世界博物館会議にて日本の和菓子店で唯一参加し、世界のVIPを相手に和菓子の実演、体験を行う。そこで得た体験により更に和菓子の可能性を再認識する。
「笑顔と伝統を未来へ」をモットーに和菓子の体験教室、料理店とコラボなど和菓子の可能性を広げる活動もしている。

報告会当日も和服で登壇してくださった藤田さん。和菓子屋店主の風格ただよう雰囲気に圧倒されました!

■ 和菓子業界の現状

和菓子業界は古くからの根強い文化から、変化することを避けてきました。これにより、商品精査ができていなかったり数字に弱く販売価格が安価だったり、和菓子職人は大変だというイメージから後継者・職人不足という問題も浮き彫りになったりしているのが現状です。

そんな和菓子業界のさまざまな課題に向き合うべく、藤田さんはアイデアソンに参加することを決意しました!

■ アイデアソンでの挑戦

アイデアソンでは「収益性を確保した差別化商品の開発」をテーマに、新商品開発に取り組んできました。「商品コンセプトの設定」「意味のあるパッケージデザインの作成」を参加者とともに考え、新しい商品にはストーリー性を持たせ、「高級でも買ってもらえる商品」をテーマに、日本一のシェアを誇る茨城県産の干し芋を使って開発することを決めました。

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実際に干し芋農家さんに足を運び「蒸す工程」と「手作りの良さ」という共通点を発見!おいしい素材があっておいしい和菓子を作ることができるからこそ、干し芋のおいしさを最大限に活かした "干し芋羊羹" を作ることを決意しました。

何度も試作を繰り返して、コニャックを染み込ませたこしあんと日本酒を染み込ませたしろあんの2種類の干し芋羊羹を開発!現在味の調整に試行錯誤中…!和菓子職人がこだわりにこだわった "干し芋羊羹" が完成するのが楽しみですね!!

そして商品の開発と同時進行で取り組んできたのが「パッケージのデザイン」です!今まで和菓子業界がチャレンジしてこなかったからこそ苦労したこともありましたが、グッドデザイン賞に応募し一次審査通過!
完成した干し芋羊羹が入ったおしゃれなパッケージの商品が店頭に並ぶのを楽しみに待ちましょう!!

■ これからも挑戦は続く…!

アイデアソンが終わっても藤田さんの挑戦は続きます!

「まずは "干し芋羊羹" を完成させ販売すること!
そして日仏の架け橋となるようなお菓子として広報していきます
さらに、フランスでのジャパンエキスポ出展も狙っています。
そこから催事出店をさらに増やしていき、
もっとたくさんの方に風月堂の和菓子を届けていきたい!

風月堂

「アイデアソンが自分を振り返り勉強する機会になった」と話してくれた藤田さん。全く異なる業種の方々とアイデア出しをすることで刺激となり、参加者にとっても和菓子について知ることのできる貴重な機会となりました!機会があればぜひ日立市の風月堂に足を運んでみてください!オンライン販売もしています!

有限会社高橋食品 高橋真弘さん

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□ プロフィール紹介

1958年に祖父が創業。3代目。
帝京大学理工学部卒業後、就職はせずフリーターで色々な仕事を転々とする。24歳の時に家業である豆腐屋を始めるが、父親との喧嘩で家出。
1年間車中泊生活をし、色々な土地に行き、沢山の経験をする。
27歳で家業に戻り、真剣に仕事に励む。33歳で、自分がやらなければ会社が潰れると思い代表になる。当初は経営状態も、雇用状態もかなり悪く、厳しい状態が続いたが、地元に根差した商品づくりと、価格改定、コストカットにより、利益を出せる様になる。
現在38歳、自社敷地内に小さなお店をつくり、作りたての豆腐や油揚げなどの提供や、豆腐の美味しい食べ方の提案、豆乳を使ったスイーツを提供する為に、日々試行錯誤中。

何事にも楽しく取り組む姿勢が印象的な高橋さん。やりたい!にどんどんチャレンジしかたちにしていった様子を、プレゼンしました。

□ 家業を継承して取り組んだこと

高橋さんは33歳のときに社長になり、卸売に依存し赤字経営になっていることに課題を感じ、取引先への値上げ交渉やコストの見直しを行いました。さらに、自信の持てる商品を作り利益を出したい!という想いから、全国各地の豆腐屋さんを訪れ豆腐作りを勉強。原材料にもこだわり、希少な大豆やにがりを仕入れるための関係性づくりにも力をいれました。さらに、地元の水戸農業高校と連携し、大豆を育て商品化するという取り組みも行っています。

自信の持てる商品を製造できるようになると次なる課題が…!
催事販売などで購入してくださった方々に「どこで買えるの?」と聞かれても、直販をしていなかったので案内することができませんでした。
「こだわりの豆腐や揚げたての油揚げ、がんもどきを食べてもらえる場所をつくり、美味しい豆腐の食べ方を発信したい!」
そこで作業場をリニューアルすることを決意!そんなタイミングでアイデアソンに参加し、高橋さんのさまざまなやりたい!を形にする方法を参加者とともに考えました。

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□ アイデアソンで出たアイデアが形に…!

アイデアソンの中で高橋さんや参加者から出たアイデアを次々と形にしてきた高橋さん。作業場をリニューアルし飲食許可を取り、こだわりの豆腐を使った定食やお菓子が食べられるイートインスペースに。作業場裏の敷地を整地し、ウッドデッキ&ボルダリング壁を設置。さらに、原材料である水にもこだわりたいと、井戸を掘りました!

そして、2021年5月21日に『とうふや たかはし』OPEN!

とうふやたかはし

卵や乳製品を使用しないビーガンやアレルギーの方も食べられるスイーツを開発し販売。月替わりでさまざまな土地の大豆を使用した豆腐や、美味しい豆腐の食べ方をふんだんに入れ込んだ定食も販売しています。
また、ここでしか食べられないものとして、揚げたての油揚げやがんもどきを提供。湯葉すくい体験もできます!

最後に

『豆腐って美味しいね』『豆腐ってかっこいいな』を目指して。
そして『豆腐』という日本古来の食文化を後世に残すために、
これからも登り続けたいと思います。

と今後の意気込みを話してくれました。

やりたいことに貪欲で楽しそうにチャレンジしている姿は、誰もが高橋さんを応援したくなること間違いなし。豆腐を愛し、人とのつながりを大事にして、これからも新しいことにチャレンジしていくのが楽しみです!
他の豆腐とは一味違うこだわりの豆腐を食べに、ぜひ八千代町にある『とうふや たかはし』に行ってみてください!!

株式会社あけぼの印刷社 山田周さん

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● プロフィール紹介

茨城県水戸市出身47歳。株式会社あけぼの印刷社 三代目。
印刷業(紙を使った情報伝達)からマーケティング支援業(web、印刷、サイネージ等、様々な情報伝達媒体を使い伝わる情報伝達)に変革中。
トヨタ生産方式をベースに“枯れたDXの水平思考”や“メイカームーブメント”をブレンド。デジタル・フィジカル両輪での販促施策、販促結果をコミットする会社を目指しています。
http://www.akebono-print.co.jp/

自身の事業に真剣に向き合い、課題に立ち向かっていく山田さん。アイデアソンを通じて、大きなイノベーションを起こしています!

● アイデアソンに参加する前

1年前のあけぼの印刷社は、チラシやリーフレット、フリーペーパーなどの印刷物の作成を行う印刷会社でした。当時も伝える会社として胸を張って取り組んでいました。

しかし、自身の事業を見つめ直す中で新たな課題が見つかり、家業イノベーション・アイデアソンに参加することを決意。そこから、今後のビジョンが見えてきました。

● アイデアソンでの取り組み

『デジタルとアナログをかけ合わせて "伝わる" 方法をマネージする会社』をテーマにアイデアソンに参加!

「参加者とアイデア出しをしたことで、普段接することがない年代や業種の方々から話を聞くことができた。さらに、毎月のアクションプランに取り組みチームで話をする機会があることで、おしりに火をつけられ大きなイノベーションを起こすことができた!」と話してくれました。

こうした積極的な取り組みにより、今では印刷物のみならずDM(ダイレクトメール)やパネル・看板事業も行っています。
しかし、山田さんが目指すところはもっと先にあります!

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● 今後の戦略

アナログ×デジタル×コンサル
"伝わる" 情報伝達プラットフォーム提供会社

地域密着の印刷業とWeb、ICT(Information and Communication Technology)とさまざまなノウハウをかけ合わせて、印刷物のみでは伝えきれなかったことも伝えることができる会社へと、これからも進化し続けます。

アイデアソンで取り上げたオノセモータースとの取り組みだけでなく、オンラインイベントの集客やSNS運用支援、メルマガ、チラシとwebの連動、MA(マーケティング・オートメーション)との連携など、業種問わずさまざまな会社との事例を作っています。

これらの事例から「情報伝達の効果測定をしたい」というニーズが多いことに気づくことができました!アナログとデジタルの両方を効果測定できる会社は全国的に見ても少ないのが現状だからこそ、あけぼの印刷社の新しいコンテンツは多くのニーズがあることを確信しています!

● 今後の課題

報告会の最後に出てきた

いいサービスを作ることができましたが、
どのようにして広めていったらいいのか?

という言葉。

新しいことにチャレンジすれば新しい課題にぶつかり、課題解決するとまた新たな課題が生まれる。このサイクルを繰り返してイノベーションを起こしていくのだなということを、改めて感じることができました。アイデアソンに参加したことで、ここまで大きくイノベーションが生まれたことを大変嬉しく思います!

家業イノベーション・アイデアソン2021へと続く…!

家業イノベーション・アイデアソン2020を通じて、普段接する機会がない年代・業種の方と自身の事業について話すことができ、みんなでアクションプランを設定することで「次のアイデアソンまでにやらねば!」という後押しにもなりました。アイデアソンが終わっても、家業イノベーターそれぞれの取り組みはまだまだこれから!今後の取り組みにも目が離せません!!

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【お知らせ】
2021年も家業イノベーション・アイデアソンを開催します!

家業イノベーション2021_キービジュアル

今回は茨城県の家業イノベーター4名が参加し、オンラインでアイデアソンを行います。
初回となるキックオフは、8/24(火)19:00からzoomにて開催します!!キックオフでは「アイデアソンとはなにか?」「どんな家業イノベーターが参加するのか?」を紹介します。ぜひご参加ください!

お申し込みはこちらから👇
https://kagyoinnovationideathon2021.peatix.com/

中井 遥

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