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【バーチャルさんはみている】「感想」と「考察」

先日、バーチャルYoutuberの「アニメ」
「バーチャルさんはみている」が初回放送を迎えた。
公式サイト:https://virtualsan-looking.jp/

ハッシュタグ「#バーチャルさんはみている」は世界1位。
初回からネット上では盛り上がりを見せた。

アニメの展開としては、ミライアカリ・電脳少女シロ・田中ヒメ・鈴木ヒナ・月ノ美兎、猫宮ひなた、その他有名Vtuberがさまざまなシチュエーションでのオムニバス形式の物語が展開されるというものである。
Vtuber好きであれば、全く見て損はない番組であろうとは感じる。
しかし、当然のことながらネット上では賛否両論である。

見ていて辛い、思っていたのと違うという端的なものもあれば、アニメにする意味がない、いつもの動画の方がいいという意見もある。

正直なところ私自身も「いつも通りだ」と感じる部分も多くあった。
しかし、プレスコ(先にアフレコを録る形式)よりも自然に本人が演じてそのまま発声していながら、動きも全く違和感がない、動画と声の同調率の高さなど、今までにもリアルタイムアニメというものは存在していたが、また違う方向性で新しいアニメだと感じた。

しかしながら単純にクオリティだけの問題ではないという意識もある。
アニメとして見た場合にこれから先「バーチャルさんはみている」をどう見るべきなのか。そういったところで私の意見をいくつか述べていきたいと思う。

まず、これがアニメかどうかという部分に関して。
そもそもの話ではあるのだが、Vtuberと言われる存在はバーチャルリアリティの世界において動画やライブ配信という形式を基本として、それをバーチャルの利点を生かして表現をしている人々(人外の存在も含め)の通称だ。
この前提がそのままであるとすると、確かに「いつも通り」「アニメにする意味を問う」ということになってくる。

しかし、「アニメと言い張っている」これがカギになると私は感じた。
「バーチャルYoutuberはアニメではない」誰かが言った。
「バーチャルYoutuberは生きている」私も同感だ。
では、その彼らが行っている営みというものはもはや「彼らにとってリアル」というべきものでありそれはアニメではないのでは?
「演劇」や「ドラマ」の方が本来近いように感じるし、その方がファンにとってもしっくりくる部分が多いと思う。

そもそもアニメーションとは何だろうか?

animation(アニメーション)は、ラテン語で霊魂を意味するanima(アニマ)に由来しており、生命のない動かないものに命を与えて動かすことを意味する。  wikipedia参照

ややこしい問題になってきた。
「Vtuberは生きている」
そして、魂と呼ばれるものの存在や演者と言われる者の存在は、我々と同じように生活を行い、様々に楽しみ喜び、悩みや苦しみながらリアルの世界で生きている。だからこそ「Vtuberは生きている」と言えるのではないだろうか。

そこに上記のアニメーションの由来が入るとちぐはぐになる。
通常のアニメであれば手法は様々あれど、動かないイラストに動きを与え、演出し、(一部のサイレントアニメを除き)声優が声をつけ初めて「生きている」ということになる。もちろんアニメの世界で。

Vtuberの場合は魂=人格が存在しているということが前提になるので、魂が入る依然に最早備わっているのだ。
竜に瞳を描き入れたら天に昇ったという「画竜点睛」という言葉があるが、生命をもった竜の目を描き入れることはできないし、でたらめなことをやるということになる。

なるほど。そう考えればやはり演劇やドラマと言った方が、しっくりはくるのだ。生命を持った存在が「演技」をするのだから何も齟齬はない。

と、まぁここまでよくこれほどの御託を並べたものだなと自分でも思うが、結論を言うとやはり「アニメと言うこと」に関して私は異論はない。

なぜか。一般視聴者の存在である。
限られたテレビ放送と配信サイトのみの放映とはいえ、世間一般が見た場合には、やはりまだ「アニメ」として映るのだ。CGを作り、それに声優が声を当てているものだという風に映るのだ。世間一般の視聴者は「アニメ」と認識する。
世間一般の「一般層の視聴者」は、私(我々)のようなVtuberオタクではないのだ。「魂」だとかそういった話をされても分かるわけがない。
だからまず「アニメ」として見てもらうことに大きな意義があり、それが「分かりやすい」。まず見てもらうこと、そこから「興味」の段階にステップを踏まなくてはならない。
そこで「ファンの哲学」を押し付けられても当然だが、視聴者は遠のき「Vtuberを見ているような人間には碌な奴がいない」などというレッテルを張られてはたまったものではない。そもそものVtuber活動やVtuber文化の一般化に歯止めをかけても何もメリットがない。
だから「まだアニメでいい」というのが私の結論である。

そして「バーチャルさんはみている」このアニメの放送の一番大きな一歩は、「Vtuberのアニメ業界への進出」であると考える。
声優としては確かにもうデビューしているVtuberもいる。
しかし今回はそれとはまったく違う。
キャラクターとして本人としてアニメ業界に進出したのだ。
これは音楽業界に進出、メジャーデビューやCDをレコード会社から出すのと同義だと感じる。
また一つVtuber以外の業界への一歩を踏み出したというのは紛れもない事実であり、今回のアニメ化が成功するかどうかは別として、さらに進出してくるVtuberのための足掛かりの可能性が出てきたのだ。
これは非常に大きい、一般層にも認知されればもっと世間一般にVtuberを起用しようとする動きが出てくるかもしれない。

これからさらにさまざまな業界へ進出するVtuberへの希望として展開していってほしいアニメだと感じる。
そんな「バーチャルさんはみている」初回放送だった。

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