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れいわ・山本太郎議員「暴力の疑い」について直撃質問!

 三島市議会の一般質問を傍聴した帰り。三島駅南口を通りかかると、山本太郎がそこにいた。

 れいわ新選組代表で参議院議員の山本太郎議員。
 山本議員というと、先週私は
「新聞9紙 読み比べ -れいわ・山本議員が入管法採決時「暴力の疑い」」
という記事を書いたばかりだった。

山本議員 入管法採決時「暴力の疑い」

 先日6月8日、入管法改定案が参議院法務委員会で可決された。
 この法案は、そもそもの立法根拠が瓦解していること、法律が成立すれば入管で起こっている「制圧」が合法化されることなど様々な問題点が指摘されており、与野党の攻防は大きかった。そのため、採決時に委員長席の周りを野党議員が取り囲み、委員長である杉久武委員長に抗議をするなどの騒動が起こった。
 その騒動の中で山本議員は、後ろから委員長に近づき法案可決を阻もうとして、与党議員と押し合いになった。
 その混乱の中、自民党議員が「山本議員によりけがを負った」と訴え山本議員の「暴力の疑い」というニュースが報じられた。

 そのニュース報道について私は、新聞9紙を読み比べて記事を書いたのだ。
 だが、あの行為は「暴力」だったのか。また、2015年の安保関連法案可決の時も押し合いの騒動が起こっていたが、その年に懲罰動議が提出されたという記録・報道はなく(筆者調べ)今回の山本議員に対しては懲罰動議の提出が行われた。それらのことに対して疑問は残ったままだった。

チルい演説会場にて

 山本議員は駅前で演説を行っており、
「もしかしたら、街頭演説後に山本議員にこの疑問を直接聞けるかもしれない...…!」
そんな期待に胸をドキドキさせながら、私は演説現場に駆け付けた。

 演説が行われていたのは、駅のロータリー近くの歩道。
 歩道にピンク色のテープが張られて演説場所と通路を区切っており、歩行者の方々が通行する邪魔にならないように誘導員の方も立っていた。
 私が周りを見渡したところ、50人以上が立ち止まり山本議員の演説に耳を傾けていた。

 演説場所にはギターを弾く人がおり、「チルい(英語のchill outからくる言葉で「ゆっくりとくつろぐ」「まったり過ごす」などの意味)」(参考:最近よく聞く「チル」ってどういう意味?)と形容されたり「Lo-fi(Low fidelityの略で、意図的に不明瞭なリズムなどを取り入れたりしたポピュラー音楽)」(参考:goo辞書)と言われたりするような音楽が流れていた。
 また、山本議員の横にはテレビモニターが2台あり、山本議員が話す内容に関連した画像、ニュース記事、グラフなどが表示されていた。

 そんな演説風景の物珍しさに感心しながら、私は質問内容をメモ帳に走り書き、質問に備えた。

 演説が一段落し、山本議員が
「これから皆さんにマイクを回していきながら、ご質問をいただく。それに対して山本がお話をしていくっていうことをやっていきたいと思います。」
と言って質問時間が始まった。

「さ、いかがでしょうか」
と山本議員が挙手を促す。だが、私はまだ質問文を考え終えておらず控えめに挙手をしたため、最初は当たらなかった。
 一人目の方が質問している間に、急いで質問内容を書き終え、2回目の質問募集。今度は、しっかり手を挙げる。
 だが、またもや当たらない。
 1回目は山本議員から見て左側の方、2回目は右側の方が当たっていた。となれば、3回目は左、右、左で、筆者がいる左側の人の中から山本議員は質問者を指名するはず。
 「次は私だ!」
と思い、手を挙げた私。
「どなたかご質問ありますか。じゃ、そこの若手いきましょうか」
そう言って山本議員が指したのは、山本議員から見て右にいる方だった。
「左、右、右なの⁉」
 そんなことを思いながら、「次こそは‼」と3つ目の質問に答える山本議員に熱い視線を送る。

山本議員へ直撃質問

 3つ目の質問への回答が終わり、ついに筆者に質問の機会が訪れた。

「東京であったことなんですけれども、いきなり「君が代」を歌い始めた人います。止めません。最後まで聞きます。あなたの1分ですから。1分、マイクを通してあなたの表現をお願いいたします」
巧みな話術で、聴衆たちの質問をするハードルを下げていく山本議員。そこに向かって手を挙げる。
「じゃ、そちらのあなた、いきましょうか」
キターーー‼‼
山本議員に指名された私はマイクを握り、1分間の表現を始めた。

(ここから筆者の緊張感を伝えるため、読みにくいかもしれませんが発言をそのまま文章にしました。)

「入管法改定案の採決の時の騒動のことについて、質問させていただきます。えっとー、採決の時、自民党議員2人にけがをさせたとして「暴力だ」っていう報じ…報道があったと思うんですけど、山本さん自身が、そのこと、騒動について「暴力だ」と思っているかっていうことと、あと、数年前の安保法案が可決されたときは、えっと、今回の入管法の時よりもひどいもみ合いがあって「ガラスが割れる」なんていう報道もあったと思うんですけど、その年に懲罰委員会が開かれたりとか懲罰動議が提出されたっていう報道とか記録が、記録は私が調べた限りなくって、で今回は山本さんの「暴力」っていうのが報道されたり動議が出されたことについて、その安保法案の時のとは違う報道のされ方みたいなのがあったと思うんですけど、そのことに対してどう思うかお聞かせください。」

 文字起こしをして気づいたのだが、話している最中、私は句点を2回しか入れていない。適度に区切って話すほうが聞きやすいし、わかりやすいのに質問時間が限られていることもあってか、焦って二文で質問をしてしまった。
 それに、「「ガラスが割れる」なんていう報道もあったと思うんですけど」と私は言ったが、正しくは「ガラスが割れた音もしました」という報道だ。
 落ち着きがなかったり、正確性に問題があったりした点は、しっかり反省したい。

 質問の要点をまとめると、
・山本議員は、法案採決の時の行為を「暴力」だと思っているか
・安保法案の時には今回以上の騒動があったが、そのときに懲罰動議は提出されなかった。今回と安保法案時の違いについての見解はあるか
というものになる。

山本議員の回答

 そんな、私の質問に対しての山本議員の答えはこんなものだった。
(10分ほどかけての回答だったので、すべてを文字起こしにはせず、一部を抜粋して紹介していきます。全編見たい方は、ぜひ動画をご覧になってください。質問開始 29:40 回答開始 30:37)

「人の命に関わりそうな法律が作られそうになったんです。その法律をつくらなければいけないという立法根拠が崩壊している状態だったんです。じゃあ法律改正する意味ないよね、そういう意味で、私は一人でだったんですけど、採決を止めようということで事を起こしたっていうことなんですよね」

暴力の定義については
「実際に暴力だったかっていうと、暴力ではないんですね。」
「暴力っていうのは、特定の誰かに対して狙い撃ちで殴りかかるとか、なにかしら暴力を振るうってことをきめることですけど、私はそういうことではないです。もみ合いでなにかしら、手が当たるということはあったかもしれませんが、私はそれを暴力とは認めません。」
と話していた。

「国会では過去そのような騒動ってのはたくさんあったんですよ」
 そう山本議員が言うと、なんと映像が用意されているということで、いわゆる「強行採決」の映像がテレビモニター2台に流れ始めた。
 民主党政権時代、自民党が野党だったときの強行採決の映像、私が挙げた安保法案の強行採決の映像。どちらの映像でも、喧々諤々、委員長のマイクを奪い取ったり、委員長席にすし詰め状態で押しかけていったりする議員たちの様子が見て取れる。
 
 「体を張って抗議行動っていうのは当たり前のように繰り返されてきたんですね」
「今回、私一人だったんですよ。野党がもうそういうことやらない。最後には体張らないっていう選択をする」

 懲罰に関しては
「懲罰ということが進もうとしてるんですけど、なかなか出してこないんですよね」
と話し、懲罰委員会が開かれるまでの過程と懲罰の種類を説明した。
「まず私の弁明を見たうえで態度を決めていくんですけど、その弁明が水曜日…ほんとは、今日それやってから来る予定だったんですけど」
山本議員はそう続け、自身が弁明をすることになっていた日程の遅れを指摘した。

 山本議員曰く、山本議員がやったことは、これまで与党も野党もやってきたこと。山本議員が今回の入管法改定案可決の際にした行為を「暴力」とすれば、今後の対立法案採決のときなどに、与野党ともにそういった「議会内での物理的攻防」ができなくなる。議員を懲罰にかけるハードルが下がり、議会制民主主義が死んでしまう。
 そういった理由や、ギリギリまで懲罰動議提出を渋った政党もあって、山本議員が議場で弁明をする日程が遅れているらしい。

 最後に山本議員は、
「これまでの抗議は大人数だから許されたけど、お前1人の行動は許さんと」
と言って、この懲罰動議提出の背景に「行動を起こした人数」があることを指摘した。
「こっから先、お前二度とやらないって一筆書けみたいなこといわれるかもしれないけど、そんなもん死んでも書きませんよ。そういうことです。ありがとうございます。」

 山本議員がそう締めると、会場から大きな拍手が上がった。

山本議員が定義する「暴力」


 山本議員の「暴力」の定義は、4つの辞書(新選国語辞典第9版、広辞苑第7版、明鏡国語辞典第2版、新明解国語辞典第第7版)の定義の中では
「たいした理由も無いのに人を殴ったり、反対意見をおおぜいのちからで抑圧したりするような乱暴な行為。」
という、新明解国語辞典第7版の定義に近かった。
 さらに、辞書の「(暴力は)おおぜいのちからで抑圧したりする乱暴な行為」という定義と、全く逆の状態(体を張る抗議は大人数だと許されるが、一人の行動だと許されない)だったために、今回の行為が「暴力」とされ懲罰動議提出に至ったという山本議員の指摘は興味深かった。

「体を張って」
 

 私が質問を終えた後も、インボイス、給食費無償化、マイナンバー、G7など、聴衆からの様々な質問に山本議員は答えていった。

 その中で私は、あることに気づいた。
 それは山本議員が、その後の質問に答える中で「体を張ってでも」という言葉を2回ほど使っていたということだ。
 まず、野党批判の際に
「野党の中で最も足りないもの、それは何か。戦うっていう政治。徹底的に体張ってでも戦うぞっていうような気概」
そして、マイナンバーカードに関して政府の不手際を話していたとき
「だから、体張って止めなきゃダメなんですよ」

 これは、私の質問から意識して出てきた言葉なのだろうか…。さすがにそれは、買い被りすぎだろうか。(註:山本議員は筆者の質問の前にも「体を張って」という言葉を1回使っていた。)

 とにもかくにも、こうして実際に山本議員に会って疑問を問い、続報のような形で記事が書けたのは良かった。
 山本議員への質問から聞き出した山本議員本人の認識や、懲罰動議提出を渋った議員らがいることなどを踏まえながら、国会の動向、そして報道を引き続き見守っていきたい。


 
 
 




 










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