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息子が猫になった

飼い猫、テンの話をする。

2年ほど前、保護猫団体からオス猫を迎えることになった。彼の名前はテン。

彼を自宅まで連れてきてくれた保護猫団体の方曰く「この子は人間に慣れていないので、なつくまで大変かもしれません。」とのこと。
楽天的な性格なのでその時はどうにかなるだろうと思っていたけど、確かに大変だった。
私が起きている間は基本的に隠れているし、コミュニケーションを取ろうとすると逃げられる。
仲良くなりたいという気持ちを拒まれることにショックを受けて、しつこく近づいて行ってよく引っ掻かれた。今とっても反省してる、でかい奴が距離詰めてきて絶対怖かったよなあ、テンごめんね。

このまま仲良くなれないで生活していくのかと不安でいっぱいだったけど、一緒に過ごしていくうちに距離は縮まった。


ある時 テンちゃんと布団の中で一緒にゴロゴロしていて、ふと、もしかして彼は私の息子なんじゃないか?と思った。
後ろをトトトッとついてきてくれるし、名前を呼ぶと返事してくれる。私がいないと探してくれる。私にだけ甘えてくれるし、彼が何して欲しいのかなんとなくわかる。それっぽい会話も成り立つし。ただ人間の言葉を話さないだけで。
ペットを飼っている人はみんなこう思うのかもしれないけど。


今年の5月、新たな家族を迎えた。
名前はおもち。おっちょこちょいで、遊ぶのが大好きな猫好きの猫だ。マイペースで、自分から近づくけど、近づかれるのは苦手。
たまらなく可愛い。
テンちゃんと同い年の男の子だ。仲良く暮らしていけるか心配だったけど、そんな心配全然いらなかった。
ふたりは一日のほとんどを寄り添って過ごしている。仕事で家を空けてしまうときがあるから、テンちゃんが寂しくないといいなと思って迎えた子だったので嬉しい。

だけど近頃ひとつ気になっていることがある。
おもちが我が家にやってきてから、どうやらテンは猫になった気がするのだ。
この前どうしてかそういきなり思ってしまって、すごく悲しかった。
物理的には近くにいるけど、心が遠くに行ってしまったというか。
さみしいんだな。
この気持ち自体あまり良いものではないのかもしれないけど、最近でいちばん心が動いたことなので記録。
オチがない話でごめんなさい。

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