【空想】神様の宿題

地球の神様は生物に宿題を出した。神様は生物に性別という課題を与えた。この違いをどのように克服し、どのように役立てるか。地球上で唯一の知的生命体である人間は、文明が進歩すればするほどこの違いに苦戦する。原始人は、男が狩をし、女が家事をした。どんな生物にも、オスとメスには生存のための役割が存在したのだ。文明の進歩に連れて、男が狩をしなくても、女が家事をしなくても良い状態を作れそうな気がした。実際には原始人から続く役割に強引に多様性を与えただけで、社会基盤がそれに対応する能力を失っていただけだ。ここ日本でも、その課題の深刻さが、平成も終わるこの時代になっても浮き彫りになってきている。克服しないと、日本人の存亡の危機はさらに大きくなる。もしかすると、すでに地球上で日本人は役目を終えていて、不要な存在なのかもしれないが。

地球の神様は生物に宿題を出した。神様は人類に異なる言語を与えた。全員が統一された言語で共通の文化を認識していると、おそらく地球の叡智を網羅してしまい、神様の全知全能さえも超越する存在になってしまうのだろう。異なる言語を与えることで、知識の共有を困難にし、探求する能力を備えさせた。探究心は文明を進歩させ、文明によって人間は地球を痛めつける。痛めつけられた地球は生物の住める環境ではなくなり、やがては滅びるだろう。地球に住めなくなった人類は宇宙へ飛び出す。宇宙の神様はここで課題を出す。未知の知的生命体との遭遇。

地球の神様は生物に宿題を出した。神様は人類に土地を与えた。土地は争いの根源である。より広い土地がなければ、進歩する文明の上で文化的な生活を送るのが困難になるからだ。人類は戦争を起こした。これも神様の課題の一部である。

やがて人類は、文明の進歩により言語処理を発達させ、異なる言語間の課題を克服し始め、地球の叡智にたどり着く。その叡智を活用して、性差の垣根を超えた新人類を生み出す。新人類は我々旧人類の低俗な文化に嫌気が差し、旧人類を滅ぼす戦争をしかける。旧人類は気づいた。歴史は何度でも繰り返すし、そこに人類の存在がなければ、知的生命体がいなければ、平和な地球を維持できたのかもしれないと。

神様は人類に宿題を出した。人類が地球にとって不要な存在であることに気づかせる宿題だ。あらゆる違いを人類に与えることで、遠回しに...

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