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[入社エントリ] エン・ジャパンの機械学習エンジニアとして推薦システムを開発する

はじめに

2024年に新卒としてエン・ジャパン株式会社のデジタルプロダクト開発本部に機械学習エンジニアとして入社することになりました,仁平です.機械学習エンジニアとしてキャリアを歩んでいく中で,情報を発信できればなというふうに考えており,その第一歩として今回入社エントリを書いてみました.

学歴・研究

2018年4月~2022年3月 東京都立大学(旧:首都大学東京)システムデザイン学部情報科学科

都内の私立高校から東京都立大学システムデザイン学部情報科学科に入学しました.4年次に配属された研究室は,「Webインテリジェンス/情報可視化/情報推薦システム/インタラクティブシステム/データマイニング」などを研究している高間康史教授の研究室でした.そこで私は「推薦システム」に出会いました.研究テーマは「ユーザの価値観をアイテム推薦に応用する」というものでした.

2022年4月~ 東京都立大学大学院システムデザイン研究科情報科学域

博士前期課程(修士)も都立大の高間康史教授の研究室でお世話になっています.2022年の9月にInternational Symposium on Computational Intelligence and Industrial Applications (ISCIIA2022)で口頭発表し,Session Best Presentation Awardを受賞しました.

K. Nihira, H. Shibata, and Y. Takama, “Proposal of Personal Value-Based User Modeling Without Attribute Evaluation,” 10th International Symposium
on Computational Intelligence and Industrial Applications (ISCIIA 2022), 2022.

現在,Journal of Advanced Computational Intelligence & Intelligent Informatics (JACIII)という論文誌に発表内容が推薦され執筆しています.

就職活動の軸

就職活動の軸は「機械学習エンジニアとして働くこと」でした.

特に研究してきた推薦システムを社会実装できればさらに良いなと考えていました.大学・大学院の研究では,過去のデータで学習し,過去の結果で評価するオフライン評価でモデルの評価を行っていました.オフライン評価は,実サービスのようにおすすめを提示することでアイテムが選択されるかを評価することができません.つまり,オフライン評価と実サービスでの評価が必ずしも一致しないということです.そのため一時期,「私は今何のために研究しているのだろうか」と研究活動・推薦システム・機械学習のモチベーションがとても下がったことがあります.

そんなときに,都立大の集中講義で風間正弘さんが「機械学習プロジェクトの開発について(MLOps)~推薦システムを題材に~」というテーマで講義してくださりました.この講義を通じて改めてモチベーションが復活し,「機械学習を社会実装したい(推薦システムならさらに良)」と考えるようになりました.もし良かったら↓からスライドを見てください.

どのような推薦システムの開発をしたいか

推薦システムは私たちの生活に多く存在します.Amazonの「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」などは勿論,SpotifyやYoutubeでユーザが興味を持ちそうなコンテンツを配信する際にも推薦システムが使われています.
そのような世の中で私は「重要な意思決定をサポートする推薦システム」の開発をしたいという想いが強いです.Amazonで推薦されたアイテムを購入しようが,SpotifyやYoutubeで推薦されたコンテンツを視聴しようが,その後の人生に大きな影響が出ないというのは感覚的に共感できることでしょう(AmazonやSpotify,Youtubeをきっかけに何かどハマりするといった経験が私にはないだけかもしれません).そういう考えを持っているため,人生において重要な決断を支えられるような情報を提供できる推薦システムを開発したいと考えています.そのためにTechに優れた推薦システムを作ることは勿論,それ以上にユーザファーストを考えた推薦システムでなければいけないなというふうに考えています.

HR (Human Resources)業界における推薦システムについて

HR業界は主に「人材紹介」と「求人広告」の二つのビジネスモデルに分けられます.人材紹介とは,企業から依頼を受けて,該当する候補者を紹介するサービスです.人材紹介では候補者が採用された場合,企業から報酬を受け取ります.求人広告とは,インターネットや情報誌,新聞などの紙媒体を利用して企業の採用情報を求職者に紹介するサービスです.求人広告では広告を掲載する場所を提供することで報酬を得ます.

ここで疑問を抱く方がいるかもしれません.「HRに推薦システムが必要か」と.人材紹介の場合,転職者が多いほど儲かる仕組みです.求職者に合っていない企業を紹介し,直ぐに転職してもらった方が儲かります.求人広告の場合,広告を掲示しただけで儲けが出ます.求職者のことを考えた推薦をしたとしても,特に儲けは変わりません.
(人材紹介は「すぐに退職したら返金」とか,求人広告は「応募がなかったら返金」とかしているとか,そういったことをしているかどうかは具体的に分かりません)
だからこそ,人材紹介・求人広告どちらのビジネスモデルでも,推薦システムの開発を行なっている企業は,真に求職者・企業のことを考えている「ユーザファースト」な会社であると言えるのです.

エン・ジャパンに入社を決意した理由

エン・ジャパンをファーストキャリアとして選択した主な理由は以下の3つです.

  1. 「職業選択」という重要な意思決定をサポートする推薦システムの開発に携われる

  2. 開発だけではなく,組織づくりなど様々な経験を積むことができる

  3. パッション (情熱)

1. 「職業選択」という重要な意思決定をサポートする推薦システムの開発に携われる

「職業選択」が重要であることは,感覚的に共感できると思います.転職した会社が合わずにすぐ辞職したら,「根性がない」「人間的に問題があるのではないか」と考えられ,採用で不利になってしまうかもしれません.また「若い人の方が良い」といった年齢的な問題で不利になってしまうかもしれません.(このような考えがなくなれば良いと思う)
これを防ぐためには,「適切な情報を適切なタイミング」で提示する推薦システムの重要性は大きいと考えます.

2. 開発だけではなく,組織づくりなど様々な経験を積むことで成長できる

エン・ジャパンのエンジニア組織は2023年2月現在19名で構成されています.特に機械学習エンジニアチームは立ち上げの段階でこれから採用が強化されていきます.私は,エン・ジャパンの歴史で初めて採用された機械学習エンジニア,第1号です.当然不安はあります.しかし,エン・ジャパンという資金力のある会社で,開発だけではなく,組織の文化を共に作っていく経験は何よりも貴重なものであると考えました.

エン・ジャパンのエンジニア組織について
エン・ジャパンのAIエンジニア採用について

3. パッション (情熱)

就職活動をする中で,取締役兼デジタルプロダクト開発本部本部長の話を聞く機会がありました.そこで,エン・ジャパンがどのような「ユーザファースト観」を抱き,そのユーザファースト観と共に会社を成長させてきたのかというお話を聞きました.またVPoEの話を聞く機会もあり,どういった価値観・考えを抱き,どのような組織を作っていきたいという想いを聞きました.そういった話の一つ一つにパッションを感じ,惹かれました.

エン・ジャパンが機械学習で実現したいこと

エン・ジャパンのエンジニア組織のミッションは,100万件の求人と100万人の求職者の「縁」をTechで最適化することです.100万件の求人と100万人の求職者が集まる最注力投資プロダクト「engage/エンゲージ」の改善と革新を通じて,「縁」のあり方を最適化していきます.100億円規模の予算を投資し,より良いサービスとしていきます.その中で,機械学習エンジニアチームがやりたいことは主に以下の3つです.

  1. マッチングへのAI活用

  2. 新しい求人の探し方を実現する機能

  3. エン・ジャパンの持っているデータ活用(求人・企業口コミ等)

エン・ジャパンのカルチャー

①迷ったら「ユーザファースト主義」
サービス運営の指針としても前者に浸透している共通言語.
判断に迷ったら「それは本当にユーザのためになるか?」という観点で議論を尽くします.特に「求職者」のことを「ユーザ」として強く意識しています.基本的にプロダクトの利用費を支払っているのは企業ですが,利益を追求しすぎると個業側のニーズばかりに応えてしまいやすいためです.

②アクションは「デジプロック」3か条
1 楽しく,誠実に,成果で勝負
2 我々の舞台は自らで創る
3 新たな才能を持つ仲間を増やす

③「頼まれていないこと」をする
「頼まれていない,けどやった方が良いこと」を勝手にやっても許されるのは,自社プロダクト開発の特権であるという考えです.自分も楽しい,周囲も喜ぶ.そんな姿勢で開発に携わることは,プロダクトの飛躍にもつながると考えいています.

これから就職活動をする情報科学学生へ

2024年度新卒の就職活動を終えて,「やっておけばよかった」と思うことは以下です.
・長期インターンに参加しておけばよかった
  → 学部3~4年次などから長期インターンを行っている学生は夏季インターンで無双していた記憶があります
・夏季インターンで開発エンジニア系のインターンを受けておけばよかった
  →SIerと開発エンジニア(機械学習エンジニアを含む)で悩んでいる人は,開発エンジニアのインターンをより申し込んだ方が良いと個人的に思います.開発エンジニアはSIerよりも経験が重視されるため,一つでも多く経験を積んでおきましょう
・Kaggleに挑戦しておけばよかった
  →開発エンジニアの中でも機械学習エンジニアなどを目指す学生には特におすすめします.

逆に「やっておいて良かった」と思うことは以下です.
・研究成果を創出し,学会で発表した
→ 上述した3点よりも大事だと個人的に思います.今行っている,今後行っていく研究で成果を出すことが一番です.

最後に

いわゆる「新卒カード」を使ってこの選択をしたことが正解であるか,不正解であるかは分かりません.しかし,この選択を正解にするのも不正解にするのも今後の自分自身の行動であると考えます.エン・ジャパンの機械学習エンジニアとして成果を創出し,この選択を正解にしたいと思います.

駄文ではありましたが,最後まで読んでいただきありがとうございました.もしよろしければ,Twitter(@kaichi_nihira)などで気軽に関わらせていただけてばと思います.

頑張るぞー!!

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仁平のプロフィール
エン・ジャパンのエンジニア組織について
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クロストーク 小澤正幸(VPoE) × 寺田輝之(デジタルプロダクト開発本部長)
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