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「即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。」のWEB版が即死したから、書籍版を読み直すよ。第14巻(ネタバレ注意)


1.WEB版と書籍版の変更点について

書籍版14巻の感想を書くに当たって、最初にWEB版と書籍版で何が変わったのか、整理します。当然ながら超ネタバレなので注意してください。

(1)WEB版

UEG:殺戮神
ルー:賢者の石の元
アレクシア:大賢者ミツキの秘書
大賢者ミツキ:ラスボス
重要なのは、この4者には特に関係があるように書かれていなかったということです。だから、WEB版での私の大賢者ミツキの印象は、ちょっと凄い賢者なだけのラスボスというものでした。

(2)書籍版

UEG:超天盤級3強の1人にして、大賢者ミツキの押しかけ女房その1
ルー:超天盤級3強の1人にして、大賢者ミツキの押しかけ女房その2
アレクシア:超天盤級3強の1人にして、大賢者ミツキの押しかけ女房その3
大賢者ミツキ:女神に超モテモテなだけの元人間で、上記3人から超天盤級の力を貢がれる。ラスボス。

元々、大賢者ミツキは結構な女好きだよなあと思ってはいたのですが、流石に超天盤級の女神によるハーレム物語が、大賢者ミツキの力の源泉です、というのは、WEB版から入った私にとっては想像を超えてきました。だから、そのあたりの構図が分かってきた書籍版12巻あたりで、衝撃を受けていたわけです。

さて、上記の構図を踏まえて、説明をさらに足していきます。まず、超天盤級の3強の女神の強さですが、複数の天盤及び天盤周辺の海を統括する神で、超強いです。そして3人ともUEGぐらい強くて力が拮抗していたわけです。

さて、3強の女神にモテてしまった大賢者ミツキですが、初めは女神にモテモテなだけのただの人間ですから、別に能力とかありません。ただ、女神達は、大賢者ミツキの気を引くため、その能力をわけ与えたりしていたので、最初期としてはこんな感じでした。
UEG:90=100-10(ミツキ贈与分)
ルー:90=100-10(ミツキ贈与分)
アレクシア:90=100-10(ミツキ贈与分)
大賢者ミツキ:30
まあ、設定上この時点の大賢者ミツキの30でも、超天盤級上位の力はあったと思いますが、あくまで3強の女神に囲われていた状態なので、自由はありませんでした。

この膠着状態を打開したのがアレクシアで、自分の能力の大半を大賢者ミツキに与えてしまいます。
UEG:90=100-10(ミツキ贈与分)
ルー:90=100-10(ミツキ贈与分)
アレクシア:10=100-90(ミツキ贈与分)
大賢者ミツキ:110
その結果、大賢者ミツキが3強の女神よりも強くなってしまい、その力をアレクシアに再度貸し与えた結果、アレクシアがUEGとルーの2人をそれぞれ撃破して、即死チート世界に封印したと言うわけです。そして、アレクシアは大賢者ミツキの秘書として、1人寵愛を独占することになったのでした。めでたしめでたし。

そして、大賢者ミツキは封印の鍵とするためにマルナリルナに手を貸して、降龍一族から主神を交代させたというわけです。だから、マルナリルナが消えると、UEG及びルーの封印が解かれるというわけです。降龍が主神マルナリルナと大賢者ミツキを恨んでいるのも当然ですね。

もちろん、上記の設定はWEB版では、全く読んだことが無かったので、完全に書籍版での後付けなのですが、個人的にはよくできた設定だなと感心してしまいました。2週目のルーが、大賢者ミツキの寵愛を一身に受けるアレクシアに嫉妬するところなんかは、即死チートって恋愛要素ほぼ皆無(カップルと言えるのは賢者シオンと従者ヨウイチぐらいだと思う)の作品だと思っていたのに、凄いところに凄いドロドロ展開を叩き込んできたなと、衝撃を受けたことを今でも覚えています。

それでも、UEGは大賢者ミツキと絡む前に高遠くんに即死チートされてしまっているので、WEB版と大差ないのですが、書籍版2週目のルーは封印前の記憶も戻った状態なので、WEB版とは全然違っているわけです。

それを踏まえて、書籍版14巻の感想を書いていこうと思います。

そういえば、Tier表ですがこうなります。
別格:高遠くん(即死チート)
Tier1:大賢者ミツキ
Tire1.1:超天盤級3大女神(UEG、ルー、アレクシア)
Tier1.5:超天盤級(魔王ゴルバキオンとか)
Tire2:天盤級(主神マルナリルナ、降龍とか)
Tier2.5:賢者級(賢者、大魔導士、侵略者(アグレッサー)とか)
Tire3:その他能力者(クラスメートとか)

2.即死チート14巻の感想

書籍版14巻ですが、クソゲー第二弾攻略編の最終トーナメント編からの、大賢者ミツキとのラストバトルです。

とりあえず、最終トーナメントとは別に、勇者アインが大賢者ミツキに挑戦するわけですが、その際に勇者アインの過去が書籍版で追加されていました。1週目の妹のアリエルを拉致したのが、賢者レインの部下だった不死機団長のマサユキだったこと、勇者アインを剣聖に手引きしたのがテレサさんだったこととかは、ファンサービスの書下ろしだなあと思って読みました。テレサさんの挿絵もありましたし。

最終トーナメント編で気になったところを書いていきます。

(1)女神ヴァハナトVSヘッジホッグ

女神ヴァハナトの因縁の相手であるヘッジホッグとの戦いが最終トーナメント2回戦で実現します。2週目のヘッジホッグは色々あって状態がまともになっている(普通にしゃべるし)のですが、勝敗はヘッジホッグの勝ちでした。ちなみに、その際の会話で、エーデルガルドさんが1回戦で死んでいたことが分かってしまいます。

(2)魔王ゴルバキオンVS女神ルー

個人的に問題のトーナメント3回戦です。魔王ゴルバキオンは元人間とはいえ超天盤級の実力はある上に能力の相性もあったので、ヒルコやルーに勝つこと自体はそこまで文句はないのですが、書籍版では、私は大賢者ミツキやアレクシアと、ルーのゴタゴタが読みたくなっていたので、ここはWEB版と同じにしなくてもよかったのにと、強く思いました。

(3)高遠くんVSセレスティーナさん

マニー王族最強の可能性すらあるコンシェルジュのセレスティーナさんですが、(能力ならマルナリルナのお気に入りだった第二王子のダリアンもかなり強いと思いますが、王族同士だと能力無効化が発生して素の技術の勝負となるので)普通に高遠くんに即死チートされます。高遠くんは、セレスティーナさん相手でも即死チートが余裕なので、クラスメート程度での関係では罪悪感とかで止めるのは無理だなと改めて思いました。

そして、ついに高遠くんと大賢者ミツキのラストバトルが始まるわけですが、展開自体はWEB版と大差なかったです。ただ、即死チートフェイズ3が解放されたのは、WEB版では記憶になかったので、即死チートの設定を整理した結果かもしれないなと思いました。

大賢者ミツキそのものは即死チートが普通に有効なのですが、即死チート世界と大賢者ミツキ自体が結びついているため、そのまま即死チートすると世界ごと即死させてしまうというところに、大賢者ミツキの強さがあります。なので、即死チートフェイズ3でその結びつきを即死させることで、大賢者ミツキを眠り続ける存在にしたと言うわけです。そして、アレクシアは眠り続ける大賢者ミツキを独占できて大歓喜と。ここはWEB版でも同じでしたが、3大女神ドロドロ編の書籍版だと、アレクシアさんマジで勝ち組としか言いようがありません。

当然のように、大賢者ミツキにも降龍が説教していて、降龍はぶれないなと思いました。即死チートというのは、超天盤級3強の女神がそろっている爆弾状態の天盤に、高遠くんという超ド級の外圧を呼び込んだことを奇貨として、降龍が主神の座を取り戻す物語でもあります。

3.終わりに

書籍版14巻の結果で、私が独断でこいつは勝ち組だなと思った存在を書いていきます。
(1)高遠くん
壇ノ浦さんとお友達になれたから。
(2)賢者シオン
賢者の職務が終わって、ヨウイチくんとバカンスに行けるようになったから。
(3)ライニールさん
2週目の女神ヴァハナトとはそこそこ良い関係で終われたから。
(4)降龍
大賢者ミツキ、3大女神及び主神マルナリルナを全て高遠くんに排除してもらって、主神の座を取り戻したから。
(5)アレクシア
大賢者ミツキを永遠に独占できたから。(ルーは復活する可能性はあるのだけど、まあいいよね)

藤孝先生が、色々あってWEB版を消してしまったので読むことになった即死チート書籍版ですが、超天盤級女神のドロドロ話とか、書籍版で追加した設定もあって普通に楽しめました。即死チートはストーリーとしては超ゆるいので、どっちかというとキャラ萌え作品だと思うのですが、キャラクター造形はかなり良くできていると思っています。(私は早くコミック版でUEGが出てくるのを読みたいです)だからこそ、ルーとアレクシアのドロドロ話最終章は読みたかったというのが、本音です。

最後に、即死チートのアイデアひとつで、これだけの作品を完結させたことに敬意を表します。

それでは、ごきげんよう。

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