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海外ニート

緊急事態宣言発令

「今日からあなたの仕事はありません。また会う日まで。」
早朝、働いているレストランのオーナーからのそっけないメールを確認する。


2020年3月15日
スペイン政府から緊急事態宣言が発令されたその日、僕は仕事を失った。
その時はまだ3月末には仕事に戻れると思っていた為、大雑把に店の掃除を終わらし、
余った食材を大量に貰い、鼻歌まじりで家に戻った。ちょっとしたバケーション気分。
包丁も店に置きっぱなしだ。

もともと社会不適合な僕からすれば、
外出制限もソーシャルディスタンスもヘッチャラだった。

2月中に運良く現在の家を見つけ、窮屈なシェアアパートメントから脱出できていた事も大きい。


翌月以後も外出制限の延長が発表され続け、気づけばもう6月。
段階的に緩和され、これ以上感染者が大幅に増えなければ、
6月23日より規制解除となる。(飲食店やイベント会場は収容人数の制限あり)

緊急事態宣言の前に更新手続きをしたビザは一度却下されたあと、却下理由の書かれた手紙は届かないまま、再申請の目処はいまだ立っていない。
このまま不法滞在で強制送還か?と思ったが、一応スペイン国内に限り6ヵ月の申請期間が与えられるらしい。


職場復帰できない

ここスペインでは非正規雇用、アルバイトなどの概念は無く、
全ての従業員はいわゆる契約社員として雇われる。
雇用保険、社会保険、年金などの各税金を、雇用主が負担しなければいけない為、雇用機会も少なく、手取り額もかなり少ない。

スペインの高い失業率にも納得がいく。そもそも雇用主は節税の為に契約延長したくないし、できれば契約したくないのだ。


話が少しそれたが問題はビザが無い期間は契約を結べない事だ。
なんとか貯金を切り崩しながらも、物価の安さに助けられ、外出制限期間を
乗り切る事ができたが、今後の収入見込みは無く、就職活動もできない。


いわゆるニートになってしまった。しかも海外で。

気づけば落とし穴にはまっていた感覚だ。

正直こんな状況は想像していなかったが、レアなライフイベントとしてできるだけ楽しんでみようと思う。いつまでこの心境でいられるかわからないし、できるだけ速くビザも収入も戻ってきてほしいが、今は海外ニートの日常を記録していく。

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