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友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 子どもの画像をネットにあげて ひとり納得する

タイトルは石川啄木の短歌、「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買い来て 妻としたしむ」の本歌取りです。かなりの字余りですが(笑)。ちなみに本歌取りは、古歌から句の一部を借用して、新たな歌を作るという技法です。

29歳で子どもを産んで、成り行きでフリーランスになったのですが、20代の多くの時間を、クリエイターになるために捧げてきました。40代になる今、30代の10年間は、このことに折り合いをつけるための10年だったのかもしれないと思っています。

タイトルの短歌はその心境をより分かりやすくするため、実際はそんな心持ちで子どもの写真をネットにあげたことはないけれど、若干の揶揄を込めて詠みました。

世の中には、妊娠・出産・子育てを経て、自分の人生を生きることができていない女性がたくさんいると思っています。それは専業主婦だからとか、ワーキングマザーだとか、フリーランスだとか、カテゴリーの話ではありません。自分の人生を自分で舵をとっているかいないか、それに尽きます。もちろん女性だけの問題ではないのですが、女性の方がより切実に、自分の舵取りを問われる転換点だとは思っています。

30代の頃、同じ場所でがんばっていたクリエイターが、賞をとったり、独立したり、そんな活躍を横目で見つつ、胸中にはいろんな嵐が吹き荒れていました。でも、自分はいま不幸なのかといえば、そうは思わない。20代の頃に思い描いたストーリーからは遠く離れてしまったけれど、確かにここには幸せがある。でも。この一抹の「でも」を、私はどう消化するのか。35歳くらいから、この「でも」に対して、七転八倒してきた気がします。

もちろん今だって、すっきりと答えが出ているわけではないけれど、自分の人生を自分で舵取りしていると、心の底から言えます。そして、そんな40代に突入できるのは、30代の七転八倒があったからだと思っています。

40代も、きっと何か別の問題に直面して、もんどり打ちながら生きていくんだろうと思うけれど、それもまた一興だと思ったりしています。

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