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海事代理士試験の勉強の前に知るべきこと(その3 船員は出稼労働者?!)

家族から離れ長期労働

船で働く船員は、船(で)と一緒に生活します。もちろん、船が港の中だけを行き来しているとか、夜になれば決められた港に帰って来るとかであれば、船員も通勤ができますが、そのような船は一部であり、多くの船は、大量に遠くへ物や人を運ぶことが目的であるため、船員は船内で仕事を行い生活しています。
このため、船内では船員法という労働基準法とは異なる規則の下、一つの社会を形成しております。
また、船員が船内で暮らしていることから、一定期間ごとに交代し、まとまった休みを取得するという交代制で働いています。私もその昔(30年以上前)、外国航路の貨物船に乗船しておりましたが、最初の船は10か月半乗船し、その後の休暇は3か月もありました。
現在ではこのローテーションも短くなっており、外国航路の貨物船でも4か月ほどで下船するそうです。

指揮命令系統

船内では、船長の指揮命令系統の下、業務が行われ、生活が営まれます。
このため、陸上では、考えられないことが船員法には定められております。
例えば、船員法第21条(船内秩序)には次のようなことが定められております。
一 上長の職務上の命令に従うこと。
二 職務を怠り、又は他の乗組員の職務を妨げないこと。
三 船長の指定する時までに船舶に乗り込むこと。
四 船長の許可なく船舶を去らないこと。
五 船長の許可なく救命艇その他の重要な属具を使用しないこと。
六 船内の食料又は淡水を濫費しないこと。
七 船長の許可なく電気若しくは火気を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。
八 船長の許可なく日用品以外の物品を船内に持ち込み、又は船内から持ち出さないこと。
九 船内において争闘、乱酔その他粗暴の行為をしないこと。
十 その他船内の秩序を乱すようなことをしないこと。

どうですか?
何だか、義務教育で子供に教えるようなことも含まれておりますが、これらが法律で定められており、これが守られない場合、船長は、船員を懲戒することが出来ます。

どうです、船員法に興味が湧きましたか?
海事代理士試験においても、この船員法という特殊な法律を理解する必要があります。筆記試験だけでなく、口述試験の科目にもなっていますので、そういった船員の生活をイメージしながら勉強すると良いでしょう。





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