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果たしてこのままでいいのか・・・?介護保険の制度設計

今回は私がいつも拝聴している木下斉さんのVoicyで、介護保険制度について話されていたので、それについて書いてみます。
(私自身、介護保険の仕事にガッツリ関わっているものとして、非常に耳が痛い話でもありました・・・)




●果たしてこのままでいいのか・・・?介護保険の制度設計

今回の放送は、大阪府大東市の「高齢者を元気にして介護費30億円圧縮に成功した」事例を踏まえてのお話だったのですが、各保険者のやり方によって、結果も雲泥の差がつくことにまず驚いたのですが、
特に今回のVoicyの内容で非常に衝撃を受けたのが、
・介護サービスが結果的にご利用者の介護度を悪化させていること
・介護度が悪化するほどサービス事業所が儲かるという仕組み
についてでした。

●介護サービスが結果的にご利用者の介護度を悪化させていること

ご利用者にはいきいき生活してもらいたい!と言う気持ちで、介護サービスを真摯に取り組まれている方(私もそのつもりで仕事しています)にとっては、非常に聞いていてつらい話ですが、訪問サービスや通所サービスでご利用者のために行っている介護サービスは、結果的にご利用者自身が自分で活動する・自分で行動する、という動く機会を減らしてしまっている、というのです。特に、ある程度一人でも生活できる軽度の方が、一日デイで過ごすのと、サービスを使わず一日家で過ごすのでは、一日の運動量がデイのほうが少なかったりして、運動能力も低下して介護度がどんどん高くなってしまう、という状況が生まれてしまうことを指摘されています。

ご利用者が、できる限りいきいき元気で過ごしてもらうために、もっと言えば介護保険制度の軸でもある「自立支援」のために介護サービスはあるべきですが、介護サービスが結果的に自立支援どころか、ご利用者の身体能力の悪化を招いてしまっている可能性がある、という話を聴いて、長い期間介護サービスに携わっていながら今更ではありますが、ゾッとしてしまいました。


●介護度が悪化するほどサービス事業所が儲かるという仕組み

さらに、介護度が悪化すればするほど提供するサービスも増え、サービス事業所には高い単価の報酬が入ることになるため、結果的に重度化すればするほど儲かる、という仕組みになっていることについても問題提起されています。
当然ですが、重度のご利用者のほうが軽度の場合よりも、スタッフに掛かる労力も大きくなるので、当然重度の方へのサービス提供にかかる金額は高くなります。しかしながら、本来の目的の自立支援に向けた働きかけも目立って行われず、どちらかというと軽度の方にまで手厚く介護することで、ご利用者の状態が悪化し、それで儲かっていく仕組みになってしまっている、という状況、これっておかしくない?という問題提起につながっているわけです。

●介護保険制度の根幹「自立支援」にインセンティブのある制度設計ではないことが問題

ということで、重度化するほど儲かっていく、という介護保険制度の制度設計がおかしい、という結論になっていくのですが・・・
本来であれば、自立支援を謳う介護保険制度ですから、重度化して儲かるという仕組みから、何らかの取り組みでこれまでよりも健康になり、介護度も軽くなった!というケースにインセンティブを与えるような仕組みに変えていくことが適切であると考えます。

健康になっていくことでいいことがある、という制度設計であれば、結果的に元気なご利用者が増え、人手不足の介護業界において、これまで元気な方にも掛かっていたリソースを重度の方に回していくことも可能になります。さらに、いつも足らないと言われている制度の財源についても、大きく圧縮できます。

この考え方は医療にも当てはまると思っていて、「みんなが健康なら医者いらず」の状況に持っていければ、非常に問題になっている高齢者の医療費負担も減らすことが出来、若者にとって大きな負担になっている社会保険料も軽くすることが可能です。

ということで、健康であることでいいことがいっぱい!という制度設計、今更感はありますが、なんとかそちらの方向にシフトしていく流れはできないものか、と思った次第です。私の関わっているエリアからでも、小さくなにかできることをやっていって、自分自身の会社だけでなく、周りの地域にもいい影響が与えられるように、コツコツやっていかなければ、とこの放送を聴いて思った次第です!


ではでは。

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