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やりがい搾取に注意すべき介護業界

みなさんは仕事の「やりがい」って、考えたことありますか?
ちなみに私は介護業界に長年関わってきているのですが、そんな私のやりがいは「私たちが行うサービスでご利用者に喜んでいただくこと、役に立つこと」です。

しかしながら、そのやりがい、搾取されていませんか?まわりを客観的に見まわすと、実際にそんなふうに思えてしまうことがあって・・・ということで、今回はそのやりがい搾取について書いてみたいと思います。



●やりがい搾取されてませんか?

介護職の方は全体的に見て、心優しい方、相手への奉仕の心がある方が多いように思います。ご利用者のために、どうすればもっと貢献できるか?いつも考えて、忙しい中で、元気に働いている方々には、本当に頭が下がる思いです。
しかしながら、そのやりがい、経営層からいいように搾取されているように思えてしまうことがあるのです。


●やりがい搾取と思えてしまうこと①低賃金

先ず何よりやりがい搾取と思えてしまうことのひとつが、介護業界ではまず出てくる「低賃金」です。一般業界の賃金と介護業界の賃金の違いについてデータが出ているのですが、

業種全体の平均年収・・・458万円
医療・福祉・・・409万円

医療・福祉業界は業界全体の平均よりも大きく低い額になっています。

ちなみにデータに記載されている15業種のランキングで言えば、
●1位:電気・ガス・熱供給・水道業・・・747万円
●2位:金融業・保険業・・・656万円
●3位:情報通信業・・・632万円
・・・
●10位:医療・福祉・・・409万円
・・・
●13位:サービス業・・・377万円
●14位:農林水産・鉱業・・・337万円
●15位:宿泊業・飲食サービス業・・・268万円

という状況になっています。

参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/minkan_2023/pdf/01.pdf


介護業界の仕事って、他の業種と比べても、結構大変な仕事内容だと思っているのですが、その割に合う賃金なのか、と言われると、ちょっとどうなのかな、なんて思ってしまいます。


●やりがい搾取と思えてしまうこと②さらに賃金には物価上昇が反映されていない

これは介護業界だけではないのですが、昨今の物価上昇の上昇率に見合わない賃金の状況、なんとかならないのかな、なんて思ってしまいます。
例えば、直近のデータでは、消費者物価指数が前年同月比+3.0%に対して、賃金の上昇率は前年同月比+1.0%。全体的には少しずつ賃金も上昇しているものの、物価の上がり幅と比べれば微々たるものであり、給料の上がり幅が物価に完全に負けている状況なのです。物価に負けない賃金の上がり幅が必要だと思うのですが、そのためにはサービス料金を上げて利益をもっと得てそれをサービス従事者への還元・・・といったサイクルにもっていかなければなりません。
しかしながら、介護保険上で値上げってとてもやりにくい仕組みになっています。福祉用具で言えば、3年に1度見直される上限価格の改定だったり、介護保険全体で見ても、介護度別に決められているご利用者の限度額も、物価が上がろうと下がろうと固定されている状況です(物価高騰に合わせてフレキシブルに設定を買えたり出来ないものでしょうか?)。なんにせよ、物価の上がり幅に負けない賃金の上がり幅になっていかないと厳しい状況は続くのではと思っています。

出典:野村総研コラム


●やりがい搾取と思えてしまうこと③長時間労働と低い生産性

あとは気になるのは、過酷な長時間労働と低い生産性。
以前から慢性的な人手不足が続いており、それはますます悪化の一方。
今のままでは、不足した人員体制の中で一人一人のスタッフへの負荷が集中し、過重労働を強いられてしまう状況に。
心優しいスタッフの方は、人手不足でくたくたになりながらも、サービス提供しないとご利用者が困ってしまう!私がやらなきゃ!と、不完全な労働環境の中でも無理して頑張っている方もいるのでは?
短期間なら頑張れても、この状態が慢性的に続くのであれば、スタッフ個人個人の頑張りにも限界があります。
結果的に、人手不足により事業所自体が休業する日が発生したりしてしまうのでは、と危惧しているところです。

そんな状況で少しでも改善できる要素としては、DX推進などによる生産性の向上。人にかかる労力を少しでも機械化、自動化、効率化していく事で、少ない人手でもやりくりできる仕組みづくりが必要です。
しかしながら、介護業界、DX化は結構ハードル高そう・・・。仕組みができてもそれを使いこなせる人材がどこまでいるのか。ITツールを使いこなせるよう、底上げが重要ですね。


●介護業界も「作業」から「仕事」として価値を生み出そう!

ということで、つらつらとやりがい搾取について書いてみましたが、現場の介護職員の方々でぜひ持ってもらいたいのが、ひとつひとつの「作業」を「仕事」に変換して、介護の仕事に価値を生み出していくこと。
以前の私のnoteでも書いたのですが、何も頭を働かさない単なる作業としてご利用者の介護をするのと、ご利用者一人ひとりにさらに貢献できるにはどうしていくべきか、また所属する事業所にとって有益な効果につながるために自分自身はどう動いていくべきか、という動きでは、雲泥の差が生まれます。

一歩背伸びした仕事をしていくことで、ここの事業所は他の事業所とは一味違う!ここの事業所でこれからもお世話になりたい!といった他との差別化につなげることが出来ます!

ぜひ自分自身の仕事内容について「作業」から「仕事」へ。価値を高めていきましょう!


ではでは。

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