”ガトリング”の呼称に付いて

 HIDEAKI氏が立ち上げた『ペン回し研究室(掲示板)』(以下、掲示板と表記)。この掲示板の過去ログを調べていると、現在では当たり前のように上級者でも初級者でもFSで用いている”ガトリング”の呼称――日本のペン回し界における、恐らく最古の呼称が明らかになった。

 掲示板の過去ログのWeb Archive.『2000年12月』の10スレッド目に以下の投稿がある。

 掲示板に初めて書き込んだと見られる『SALT』氏。リバースに関する質問を行ったあと、”ガトリング”と自らが名付けた技の説明をしているのだが、説明文で示される技は、現代でも用いられているガトリングと同一らしい事が読み取れるだろう。

 なお実際にこの説明文通りに技を行う事は、当時の技術水準から考えると非常に難しいと思われる(後述)ので、『薬中ガンマン』(”薬中”とは恐らく指と指を用いる、と言う意味だろう)は実際は、『薬中ハーフガンマン』の事を表しているのだと考えられる。

 上の動画は”説明文通り”に技を行った場合になる。ガンマンからFLリバースへの移行は非常に難しい――ガンマン終了時にペンは薬指と中指で挟んでいる為、FLリバースを行う為の親指にペンをスムーズに移動させる事がまず出来ない――ので、恐らく氏が述べたやり方ではないと思われる。

 恐らくこれが氏の伝えたかった技だろう。ガンマンではなくハーフガンマンからの移動になり、現代で用いられているガトリングと何ら変わりない。

 なおこれ以前の過去ログ、つまり2000年12月以前のログにはガトリングと言う呼称の技は確認出来ず、ペン回しの第一人者であるHIDEAKI氏がこの書き込みに対して、既出である、などの指摘もしていない事から、この投稿が掲示板内、ひいては日本のペン回し界での呼称の初出である可能性は高い。またこの投稿以降に”ガトリング”と言う呼称を掲示板内でスピナーが用いたのは確認出来る限り数件しか存在しない為、一体どのような過程を経てこの呼称が広まって行ったのかに付いては考察の余地がある。

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