ショートショート「夢のポスト」

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これで200文字くらいです※


初めて知り合った人に必ずしていた質問がある。

それは「ポストの夢って見たことある?」というものだ。

回答は様々だ。

「ないと思う」

「ポストぉ? 多分ないなぁ」

私はそこで話を終える。

どういう話だったのかと怒る人もいるけれど、「なんとなく聞いただけです」とそれ以上話を進めるのはやめている。

一度、しっかりと話をしてみたところ、散々な目にあったからだ。


私は幼い頃から何回かポストの夢を見ている。

そのポストはなにもない草原にポツンと立っている赤い丸ポストだ。

ポストはかなり古びていて、下の方にはツタが巻きついている。

そんなポストの夢を見るとき、私はいつも手紙を持っている。

これは、現実世界の私の願い事を書いた手紙だ。

私はなにか叶えたい願い事があるといつも手紙にお願いを書いて、枕の下に置いて寝ていた。

占いの本か何かでそうしておくと願い事が叶うと書いてあったからである。

そしてそのお願い事を何度も何度も手紙に書いて寝ると、いつしかポストの夢を見るのだ。

ポストの夢を見ると、私はポストに手紙を入れる。

するとその願い事が叶うのだった。


その話を聞いた友人は「引き寄せの法則ってやつぅ?」とだけ言ってこの話を終えた。

違う。全然違う。

あれは本当にどこかにあるポストなのだ。

私は夢であのポストに行って、願い事を書いた手紙を投函しているのだ。


夢のポストは私がきちんと願い事を願えばかなりの確率で出現した。

願い事は願い事でも、本当に心の底から願っていない願い事ではポストは出現しないので、よくできているなと思う。

そんな風にして、私はなにか心から願うことがあると手紙に書いて枕の下に置いて眠り、ポストが現れるのを待った。


そして私も大人になり、会社に通い始めた。

自分が希望した業界、業種、職種の仕事だったが、やはり現実は甘くない

思いも寄らないストレスや出来事に疲弊する日々が続いていた。

そして私は「転職したい」というそれまでの中でも一番簡素な願い事を手紙に書くようになった。

しかしポストは中々現れなかった。

自分の中で本当に転職したいと思っていないからなのか……?

そう怪しんでいた頃、ようやく夢の中にポストが現れた。


しかし一つ問題があった。

いつも持っているはずの手紙を持っていない。

私は手ぶらでこのポストのところまで来てしまったのだ。

どうしようもないので、私は目が覚めるのを待つことにした。

しかし、待てど暮らせど夢が覚めない。

これはいよいよどうしようと私は焦った。

夢の中には限りなく続く草原とポストしかない。

そういえば、このポストって私以外の願い事も入っているのかな。

そう思い、私がポストの投函口を覗いた、その時だった。

体が一気にポストの中に引きずり込まれた。

「うわあぁぁあぁあ……!」

目の前に突然宇宙が広がったかのような感覚の後、私はなにやら鉄のレールのような物の上に落ちた。

レールはベルトコンベアだったようで、私の体が自動的に運ばれていく。

「おーーい! 一回ライン止めて!」

男の人の声が聞こえた。

走り寄ってくる足音。

ここは工場かなにかなのだろうか……?

そう思っていると、声の主と思しき人物が現れた。

いや。

正確には"人物"ではなく、"ウサギ"だった。

二足歩行で立っているウサギ。人間と同じくらいのウザギ。

「あらら人間だよ。あんた、どっから来たの!?」

「え、どこからって……。あの、ポストからです」

「そりゃポストからだろうな。なに、手紙入れなかったの?」

「いや、あの。入れたかったんですけど、手紙を持っていなくて……」

「……はは〜ん」

そのウサギがなにやら納得していると、もう一匹いや、一人? ウサギが駆け寄ってきた。

「工場長、どしたんすか。……うわ! 人間!」

先ほどのウサギより若い声をしたウサギが私を見て驚く。

「なんで人間がここにいるんすか〜?」

「さぁな。おい、この子を地球に送ってくぞ」

え? 今、なんて言った?

「地球……? あの、ここは地球じゃないんですか?」

「そうだよ。ウサギが住んでる星って言や分かるだろ?月だよ、ここは」

「月!?」

その後、私は工場長と若いウサギに連れられて軽トラックのような乗り物に乗り込んだ。見た目は軽トラックだが、タイヤがなかった。

「シートベルトしてくださいね〜」

若いウサギに言われてシートベルトをつけると、軽トラ(のようなもの)はふわりと浮かび、飛び始めた。

そこは、確かに月だった。

なにかの資料映像で見たことある、月そのもの。

「本当に月なんだ……」

「お嬢さん」

"工場長"と呼ばれていたウサギが話しかけてくる。

「お嬢さんは、ポストのこと知ってたの?」

「え、あ、はい。知ってたというか夢でよく見ていました」

「へぇ、そうなんだ。それで選ばれたのかな」

「選ばれた……?」

「そう」

「あの、どういう意味ですか? さっきまでいたところって……?」

「あそこは願いを仕分ける中継所だよ。あれをね、届けるの」

「誰に?」

「ちょっと、工場長! あんまり喋らない方がいいんじゃないですか?」

「いいんだよ。……手紙を届ける先、それはまあ、神様だよなぁ」

「神様!?」

工場長ウサギが体を揺すって笑う。

「そうさ。願いを叶えられるのは神様しかいないからな」

「あの、その、あなた達はどういう……? なんでウサギなのにしゃべれるんですか?」

「俺たちはウサギじゃないよ」

「工場長〜〜」

「いいんだって」

「ウサギじゃないって……」

「ま、嬢ちゃん。今に分かるからさ。嬢ちゃんも俺たちと同じ仕事をするんだよ」

「えぇ!? あの工場で働くんですか!?」

「いいや。嬢ちゃんは"配達人"だ」

「なんだ、この子新人ですか」

「おそらくな」

「配達人……?」

「嫌か? 嫌なら断ることもできるぞ。その代わりポストの事と今日のことは綺麗さっぱり忘れちまうがね」

あのポストの配達人。それはつまり夢の配達人ということだ。

「あの、私、やってみたいです」

私がそう言うと、工場長ウサギはガハハと笑った。

「そっかそっか。ま、じゃ、もう少し地球で待っててよ」

「はい、着いたよ」

若いウサギがそう言った瞬間、私はベッドの上で目を覚ました。


そして私は、あれから迎えを待っている。

迎えはどのようにやってくるのだろう。

やっぱり神様がやってくるのかな。

それとも、ウサギたちが。


今日は満月の日だ。

迎えが来るのならこんな日のような気がする。

私はそんなことを考えながら窓から月を見ていた。

すると、月が大きく欠けた。

満月から半月、三日月へ。

そして月が完全に消えてしまうと、今度は、二つのヘッドランプに照らされた。

それは、あのウサギたちの軽トラだった。

光の向こうで、二匹のウサギのシルエットが、こちらに手を振っている。


(了)

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