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スペシャリティ(3)

スペシャリティについて考えるとき、何にせよ大事なのは「今現在、与えられた仕事はスペシャリティのひとつにする」ということだ。俯瞰するだとか、自分で分野をつくるとか書いてきたけれど、目の前の仕事が得意分野にならなくては、俯瞰も開拓もない。

県庁であればその分野で県内トップクラス、市町村であれば管内トップクラスの知識をもつことは当然。やる気さえあれば、そんなに難しいことじゃない。ネット社会の今、情報はいくらでも入手できるわけで、その業務の担当者が一番詳しい情報を持っているというのは言わずもがなじゃなかろうか。

大事なのは次の段階として、地域の特性にあった政策や事業を考えるということだ。つまりは実践だ。これは担当者しかできないことである。

たとえば、防災担当だとしたとき(今年ほど災害について考えさせられた年はなかった)、防災に関する知識は担当者ではなくても得ることはできるが、それを現場で実践できるのは担当者である。知識×実践こそがスペシャリティの源となる。

さらに、今の仕事を確固たるスペシャリティにすることが、ミライの役人人生をより豊かなものにしていく。

仕事はいつか掛け算になる時期がやってくる。イメージとしては30~40代前半ぐらいの時期だ。過去に経験した仕事と今の仕事がクロスオーバーし、相互作用し、発想がジャンプアップする。前の仕j事×今の仕事=新しい視点・価値となる。つまり掛け算になっていく。※仲山達也さんの近著「組織にいながら、自由に働く」にその原理が詳しい。必読。

自分の例でいえば
・防災ヘリ×医師確保 →ドクターヘリ(の下地づくり)
・プロモーション×介護 →地域包括ケアの各種研修会
・これまでの仕事全部の掛け算 →まちづくり
・・・といった具合だ。

掛け算であるから、1カ所ごとにしっかとしたスペシャリティを築かなければ、乗じた効果も小さくなる。

ちなみに自分の体験では、たいていのジャンルにおいて3年目には全国トップレベルの人たちと議論ができるくらいにはなれるはずだ。そうやってジャンルの引き出しをたくさん持つことが大きな財産になっていくと思う。

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