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エリーザベト・クリスティーネから弟、ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公フェルディナントへの手紙①

フリードリヒ大王と王妃のエリーザベト・クリスティーネの不思議な夫婦のお手紙を訳してましたが、ここでは王妃から家族へあてた手紙を不定期に訳していきたいと思います。
一発目は仲良し実弟のフェルディナント氏への複数のお手紙から抜粋してみました。


Schönhausen ce 9 de Juillet 1755.

hier nous avons eu une féte champéltre; j'ai donné les noces à des paysans et fait bénir le second inariage de 50 ans du père et de la mère du maire.Cela a beaucoup diverti le petit Prince Henri. La féte étoit pour lui; il y avoit une quantilé de monde de Berlin ici; cela faisoit un effet charmant de voir toutes les allérs du jardin et du bois remplies et le cercle où on dansoit faisoit un effet char mant.C'étoit à peindre de voir tout ce moude et les arbres à verdure; les dames et messieurs ont dansé aussi aprrés-souper sur la place verte; à ce qu'on m'a dit tout le monde s'est diverti et il régnoit une gailé charmante.
Elis.

1755年7月9日、シェーンハウゼンにて

昨日はガーデニングパーティーがありました。私は地元の農民たちの結婚式を挙行し、市長の両親の金婚式を祝福しました。これは弟のアンリ王子を大いに楽しませました。祝祭は彼のために開催されました。ベルリンから多くの人々がここに集まり、庭園や森の通路は満員で、踊りの輪は魅力的でした。人々や緑の木々は、まるで絵画のように見えました。夕食後には女性や紳士たちも緑の広場で踊りました。聞いたところによると、みんなが楽しんでおり、素晴らしく心踊るような雰囲気が広がっていました。
エリー

登場人物

・エリーザベト・クリスティーネ

プロイセン王フリードリヒ2世の嫁殿。職業:プロイセン王妃で国王代理。
オーストリアのマリア・テレジアは母方の従姉妹。
美人さんで良くできた嫁なのに、夫氏の即位直後から、訳のわからない別居を強いられる。しかし全方面に慕われる人柄と心配りの高スキルを発揮し、王妃としての職務を完璧にこなす。夫氏の口の悪さと待遇の酷さも乗り越えたタフさも併せ持つ。
有能さは夫氏も認めるところなので、彼女が病気になったりすると急に狼狽しだす。「王妃は国にとってなくてはならない人だ!」
なお夫氏に詫び状書かせられるのは、ある意味彼女くらいかもしれない。
夫氏が晩年サンスーシに引きこもれたのは彼女のおかげ。

・ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公、フェルディナント

エリザベート・クリスティーネの実弟。ブラウンシュヴァイク=ヴォルフェンビュッテル公。プロイセンの軍人で元帥。ついでにイギリスと帝国の元帥でもあるなんでやねん
フリードリヒ大王にもマリア・テレジアにも気に入られたイケメン。
7年戦争ではプロイセンだけでなくイギリス側の司令官としても戦い、フランスをぼっこぼこにした。
姉のエリーザベトとは超仲良しシスコン。なんでも心置きなく話せる間柄で、互いを信頼しあってる。若い頃、ウィーンにいた彼をベルリンへ引っ張ってきたのは姉である。

・ハインリヒ王子(手紙ではアンリ王子)

フリードリヒ大王の14年下の実弟。兄王といろんな意味で似ているが、本人は同類嫌悪。マジで兄王が嫌い。しねばいいのに!
兄王と同様女嫌い。野郎好きで兄王とオトコを取り合ったこともある。軍人としても有能。兄王には戦争期間中をとおして過ちを起こさなかった将官として評価される。外交官としても活躍し、ロシアとの交渉やアメリカ大統領候補にもなったことがある。
王妃とは割と仲良し。自身のお友達(彼氏)が王妃付きの侍従でもあるため、シェーンハウゼン(王妃の居城)にはよく遊びに行っては、王妃に大事にされている。
王妃の実弟のフェルディナントを一方的にライバル視している。

あとがき

夫氏の弟のハインリヒ王子が居城に遊びに来たことを弟にお手紙で知らせてます。
この2人は頻繁に本音を手紙で書きあってるようで、嫁殿は夫氏の動向をフェルディナントからの手紙で知り、夫氏は王妃の様子をフェルディナントから聞いていたようです。不思議な三角関係だ…
人物紹介でも触れてますが、ハインリヒ王子と王妃は仲良しですが、フェルディナントと王子とは微妙。というか王子は自分より国王に重用されることにかなり嫉妬してた模様ですね。

難儀な国王兄弟だ。

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