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マハビシュヌオーケストラ 〜フュージョン幻想

ジョン・マクラフリンは今も現役のジャズギタリストとして活動を行なってるが、最も時代の最先端を走ってたのがこのマハビシュヌ・オーケストラであったのではないだろうか?

1970年、ドラムのビリー・コブハム、キーボードのヤン・ハマー、バイオリンのジェリー・グッドマン、ベースのリック・ベアードががっつり組んだこのバンドはフュージョンという言葉がない時代に強烈なハードロック並みの音量とテクニックでジャズシーンに登場した。
まだフュージョンという言葉はなく、ジャズロックまたはクロスオーバーといった用語が使われていた。

○火の鳥
マクラフリンのギターとグッドマンのバイオリンが絡み合いながら飛翔していく演奏に圧倒される。

マハビシュヌオーケストラのリーダー、ジョン・マクラフリンはインド音楽に傾倒しており、その影響がこのバンドでは重要な柱になっている。
白装束で目を瞑り、ギターを弾きまくるスタイルは深い精神性を感じさせる。
時には激しく、時には優しく感情の趣くままギターを弾くマクラフリンはそれまでのジャズギタリストとは一線を画した。

○マハビシュヌオーケストラ
ホープ〜ワン・ワード
2ndに収録されてる強力なナンバー。各自のソロを盛り込み展開される壮大な曲。

マハビシュヌオーケストラ時代のマクラフリンの特徴はまるでシタールのような音をチョーキングで出しているところ。
この時代ギブソンのツインネックギターを多用してるようだが、チューニングを変えてるようにも見えない。

○マハビシュヌオーケストラ
ヌーン・ワールドレース
マクラフリンとグッドマンのユニゾンが強烈。

マハビシュヌオーケストラは動的の音ばかりでなく繊細なサウンドも特徴だ。

○マハビシュヌオーケストラ
伝説の樹ロータス
アコースティックギターによるアンプラグドな演奏。インド音楽との関わりは次のバンド、シャクティで本格的になる。


このメンバーでのマハビシュヌオーケストラの活動は二年続いたが。マクラフリン以外のメンバーは自分の音楽を追求していくことになる。
これは私感であるが、インド音楽の導入だけは合わなかったのではないだろうか?
というのもこの後ビリーコブハムやヤンハマーが発表した作品にはその要素はない。

第一期マハビシュヌオーケストラはこうして活動を終え、第二期へと移行する。
その最初の作品「黙示録」は大作だ。
コンセプトアルバムであり、プログレッシブロック的側面がある。

ドラムに同じくヒンズー教のスリチンモイに師事するナーラダ・マイケル・ウォルデン、バイオリンにジャン・リュック・ポンティ、ベースにラルフ・アームストロング、ボーカルにゲイルモランを迎え、そして本当の意味でのオーケストラをジョージ・マーティンが率いる。

○マハビシュヌオーケストラー〜彼方からの微笑み
女性ボーカルのゲイルモランを入れることで静と動のバランスを取っている。ちなみにこのモントルーのライブにはオーケストラは参加していないようだ。
第二期はもう一枚、エメラルドの幻影というアルバムを出すが、かっての勢いはなかった。

この後何度かマハビシュヌオーケストラはメンバーを代えて再結成をしてるが、第一期の迫力に欠ける。
ジョンマクラフリンはマハビシュヌの次はさらにインド音楽の影響を強めたシャクティやスーパーギタートリオなどアコースティックに重きを置いた活動へシフトして行く。それもまた彼のアーティストとしての魅力である。

エレクトリックギターは78年「エレクトリックギタリスト」と名づけたアルバムを発表して音楽シーンに戻ってくる。

○ニューヨーク・オン・マイ・マインド
旧メンバー、ジェリーグッドマンとビリーコブハムそして第二期のステューゴールドバーグを迎えてのマハビシュヌオーケストラ同窓会といえるナンバー。

総括するとマハビシュヌオーケストラがもたらしたものはジャズだけでなく、ロックにも多大な影響を与えたことである。
ジェフベックが今もマハビシュヌオーケストラのナンバーをライブでやるのはマクラフリンをリスペクトするのもあるが、よほど好きな音楽なのだろう。

今でこそワールドミュージックをやってるカルロス・サンタナも当時はジョンマクラフリンを通じてマハビシュヌオーケストラに影響を受け、当時は同じく白装束でお香を炊きステージに上がった。
日本公演のライブ盤はロータスの伝説とタイトルが付いている。

ほぼ同時期にジミーペイジも使い出したツインネックのギターに魅了された。それとツェッペリンの即興演奏はマハビシュヌのソリッドな音と重なる。

同時代だけでなくマハビシュヌオーケストラが持っていたロックな部分は次世代のロックアーティストにも影響を与えている。
ジャズフュージョンの記憶としてしっかり留めておきたいバンドなのである。
























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