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アルビン・リー〜史上最速といわれたギタリスト

テン・イヤーズ・アフターは今も演奏活動を続けているバンドである。
しかし初代のギタリストだったアルビン・リーは2013年に手術後の身体が悪化し、その生を69才で終えた。

1969年開催されたロックの祭典、ウッドストックは様々なアーティストの伝説を作った。
アルビンはテン・イヤーズ・アフターのギタリストとして、当時最速といわれた圧倒的なギターで観衆を魅了したのであった。

◯アイム・ゴーイング・ホーム
テン・イヤーズ・アフターの必殺ロカビリーナンバー。マシンガン・ピッキングで弾きまくるアルビンに脱帽

当時からすれば今も伝説であるジミ・ヘンドリックスと比較しても同等のレベルだったと推測される。

テン・イヤーズ・アフターは1966年ギターのアルビン・リー,ドラムスのリック・リー,ベースのレオ・ライオンズ、キーボードのチック・チャーチルにより活動を開始し、前述のウッドストックでその存在を知らしめるのである。

そして私がテン・イヤーズ・アフターを聴くことになったきっかけは1968年のライブ作品、「イン・コンサート」である。
この作品で既にロカビリーナンバー「アイム・ゴーイング・ホーム」を取り上げてるが、それより注目したいのが、一曲目の「アイ・メイビー・ロング」と二曲目の「ウッドチョッパーズ・ボール」だ。
前者はバンドのリズムセクションがフォービートを刻み、そのうえにアルビンのギターがのっかかる。

○アイ・メイビー・ロング
ジャズビートに合わせてブルースロックするアルビンのプレイ。


ブルースロックとジャズの見事な融合である。
後者はウディー・ハーマンのビッグバンドナンバーでこれも同時代のロックからしても異色なナンバーだ。
高中正義が1994年に「ウッドチョッパーズ・ボール」という同名曲をプレイしたアルバムを発表しているが、確か以前アルビン・リーの影響をインタビュー記事で見たことがある。

○夜明けのない朝
ウッドストック出演後に発表されたアルバムと同名タイトルのバンドを代表するブルージーなナンバー。

テン・イヤーズ・アフターはこの方向を突き進んでいくと思われたが、ブルースロック路線からハードロック路線へと舵を切る。
そしてイギリスでスマッシュヒットを記録するのである。

○アイ・ラブ・チェンジ・ワールド」
クリームの「ホワイト・ルーム」のようなドラマティックなロックナンバー。

バンド・サウンドはこの後試行錯誤を繰り返して失速していき、活動停止する。
史上最速といわれたアルビンであるが、80年代以降ジョー・サトリアーニ、スティーブ・ヴァイ、イングヴェイ・マルムスティーンといったテクニカルギタリストが現れ、取って代わられた。

そんな中で彼がまた注目されたのは皮肉にもスティービー・レイボーンやゲイリームーアらの速弾きを取り入れたブルース・ロックのスタイルだ。

○ブルースト・ブルース
ジョージ・ハリスンが客演したブルース・バラードの傑作。中間部のジョージの人の声のようなスライドソロと後半の畳みかけるアルビンーの速弾きソロが絶品だ。

その後80年代ストレイ・キャッツを始めとするネオロカビリーもテンイヤーズアフターの復権に影響を及ぼした。
80年代後半テン・イヤーズ・アフターは復活、アルビンも復帰するが、新しい音楽への模索はなかった。
その後アルビンは2003年に脱退し、チックとレオも抜けてオリジナルメンバーはドラムのリック・リーのただ1人。
ネット上に動画も上がっているので、根強い人気があるのだろう。
十年後もやっていれば奇跡かもしれない。

では最後にお気に入りの一曲を贈ります!

○シンク・アバウト・ザ・タイムス
ゆったりとしたテンポの中にブルージーなギター。アメリカン・ロックへの接近を試みた一曲。

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