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遺品整理の仕事【14日目】

2022年6月16日(木)

10時出勤。

社長から前日に、本日の朝の作業内容を伝えられていた。

指示通りに作業を進める。

タバコ、空き缶、軍手、お菓子のカスなどのゴミを取り、道具の溶剤を補充し、道具を洗い、荷台を洗い、遺品の上に被せるシートのゴムを交換した。

距離が遠めなので11時ごろ出発する。

途中で遺品を倉庫に捨てに行った。

今日は立花さんと2人で1.5トンの施行現場へと向かう。

すると道中、立花さんから「ヘラヘラすんな。2人で1.5トンがどんだけのものか分かっとんかい」と怒られた。

おそらくわたしが非力で戦力外なので、これからの作業量に絶望しているのだろう。

性格が悪いので立花さんのその様を見て、内心ニヤニヤしていた。

立花さんは車内でずっとEDMをかけていて、それがだんだん半年前にラジオで流れていたような曲に変わっていった。

ふと横を見ると立花さんは寝ていた。

運転が下手なので、「わたしの運転で寝られるんだ」と少し嬉しくなった。

施行現場近くに到着。

お昼はびっくりドンキーに行った。

30分ほど休憩を取り、作業開始の15時ごろになったので施行現場に向かう。

迎えてくれたのは50代くらいの女の方だった。

「きゃああ!こんなか弱い女の子が来るなんてぇ~!大丈夫うう?!てっきり男衆が来るもんやと思ってたから~!!」と、かなりのハイテンション。

「いろいろあるけど2人でいける?1階の倉庫に事務用机とイスが2つあって、上にも荷物あるけど~~」

倉庫を見たあと上の部屋に向かったのだが、エレベーターなしの4階で、既にもうしんどい。

うっすら「仕事飛ぼうかな」と思う。

依頼主の前では「大丈夫です!」と言っていた立花さんだが、お客さんから離れてトラック付近まで来ると「終わった……」と言っていた。

遺品はダンボールが15~20箱くらい。
ほかに服が大量にあり、皮脂や陰毛がびっしりついた布団、でかいソファ、タンス、大量のビデオテープ、CD、細々した棚やラック、貯めていたレシートやチラシ、立派な金庫などがあった。

とにかく遺品を下に降ろしていき、また4階まで駆け上がる。

やはり4階までの階段はきつい。

まだ箱や袋に入っていない遺品を、運びやすいよう依頼主が袋に詰めてくれた。

「いっぱい詰めたら重いよねぇ~!」と言いながら、袋ギリギリまで詰めてくる。

そして遺品を降ろし、また階段を上がる。

部活の練習じゃないんやから、ミス・ユニバースの合宿じゃないんやから、と妄想をしながら階段を往復する。

立花さんが立派な金庫を「ふんぬっ!」と言いながら持ち上げ、下まで降ろしていく。

相当辛そうだ。

しばらくすると「きゃあああ!あの大きい金庫がなくなってるうう!!あの男の人1人で持って行ったのぉ~!!えぇ!すごい~!力持ちやねええ!!」と依頼主は喜んでいた。

トラックから4階まで戻る際は、なんとなく立花さんに追いつかれないように急いで階段を登った。

あまりにしんどいので、途中少し休み、お互い缶ジュース飲み、立花さんはタバコを吸った。


作業を再開してもやはりしんどい。

「ごめんねぇ!出てくるものが金目のものじゃなくて金属製のものでぇ~!」と、相変わらず依頼主は調子がよかった。

また遺品を下に降ろし、階段を登る。

16時半ごろ作業が終了した。

依頼主は「はや~~い!すごぉ~い!どうなるかと思ったけどすぐ詰め込んじゃったねえ~~!」と褒めてくれた。

依頼主にあいさつをしてトラックに戻る。

缶ジュースを2本ずつ飲んだ。

ふと「立花さん足が小さいな」と思い、足のサイズを聞くと「23cm」と言っていた。

帰りにコンビニに寄り、立花さんが飲み物を買ってくれることになった。

「午後の紅茶のレモンティーかストレートティーがいいです」と言ったらどっちも買ってくれた。優しい。

立花さんは帰りの車でも寝ていた。

事務所に戻る前に、今日の遺品を倉庫に捨てに行った。

倉庫で立花さんから、「もっと覇気出して行け!そんなんやったらこの仕事務まらんぞ!」と言われたのだが、あまりに疲れすぎて「はあいやや……」と言ってしまい、「え?」と立花さんが素っ頓狂な顔をしていた。

事務所に帰り、立花さんは社員の藤田さんに、今日がいかに大変だったかを話そうとしていた。だが社員の藤田さんが自分の大変だった話しを被せてくるので、立花さんはほとんど話しが出来ていなくて面白かった。

経費計算、バイトの給与計算をする。

20時半ごろ退勤。

サポートしてもらえたらうれしすぎてヒョーー!!ダンスダンス!!!🕺🕺🏻🕺🏼 そのあとはサポートしてもらった画面をスクショして何回もニヤニヤします。