見出し画像

遺品整理の仕事 【2回目】

2022年5月31日(火)

9時集合。
準備をして現場に向かう。
相変わらずトラックに乗れるのが楽しい。


<1件目>

トラックはしばらく走ると、繁華街に到着した。
遺品整理現場は「バー」だった。
依頼主のお母さんが1人でやっていた店だったらしい。

ビルの階段を上がってドアを開けると、色とりどりの花束が床に投げるように置いてあった。

亡くなってからどれくらいか分からないので、弔いの花束なのか、お店の周年などの祝いの花束だったのか分からなかった。

故人の息子さんとその奥さんに挨拶をする。

カラオケの機材とダーツの機材以外は処分するとのこと。
「作業終了の30分前に連絡します」と言って、それまで時間を潰してもらうことになった。


バーの店内はお客さんが帰ったままの状態で時が止まったかのようだった。

飲みかけのコップや、半分空いたボトル、カラオケのマイク、散らばったメニュー表。
それらを一斉に片付けていく。

お店にはやたらとガラスのコップが割れて落ちていた。

社員の藤田さんは、棚に飾ってあったお酒をドボドボと流し台に流している。
一気にアルコールを流したので、においだけで酔いそうなほど店内にアルコール臭が充満した。

シャンパンを手に取り、社員の藤田さんが開けた瞬間シャンパンが「ブワーー!!」と吹き出して「うわーー!!」という声があがった。

社員の藤田さんはシャンパンを被り、作業着がシャンパン臭くなっていた。


やはりバーなのでコップは多かったが、なぜか壁の間に大量の衣類が詰まっていた。

わたしは処分品を袋に詰めていき、詰めた袋をみんなが代わる代わる持って行ってくれた。

力のある人がこの世で1番かっこいいような気がしてきた。

大きい冷凍庫や照明器具も外して、洗面まわりと床の掃除を行って作業が終了した。


あとから知った話だが、このバーで亡くなったらしい。


2件目にむかう前にお昼を取ることになり、チェーンの食堂に入った。

画像1

めちゃくちゃおいしい。


<2件目>

2件目は仏壇の引き取りのみだった。

うちの会社では仏壇供養や人形供養も行っているらしい。

大きい団地の一室で、出迎えてくれたおばあさんはすごく優しい方だった。

仏壇に手を合わせてから、仏壇を布で包んで引き取った。


<3件目>

倉庫の整理。

持ち主が亡くなったのではなく、中にあるものをすべて処分してほしいという整理業としての依頼だった。

倉庫は広さにして30帖ほどで、中には大量のセメントや粉、家電、機材などが置いてあった。

うち以外にも「パッカー車」の業者が来ていた。パッカー車はいわゆるゴミ収集車。

セメントや機材などを回収してもらう。

周囲はセメントの粉やよく分からない粉塵で覆い尽くされていた。
絶対健康被害が出る、息が詰まって胸が痛い。

途中立花さんがトラックを動かしていたのだが、「あいつ無免やからな」と言われていた。
免許持ってる顔だったのでびっくりした。

家具家電や敷き詰められた鉄ものなども回収し、倉庫内とその周囲を清掃して終わった。


4件目に移動するまでトラックの中で『スパイファミリー』を観た。


<4件目>

お風呂で亡くなった方の特殊清掃だった。
亡くなったのは80歳を超えた男性。

独特の腐乱臭が鼻につく。

まずボンベを使って消臭作業をする。

ご遺体は引き上げられていたが、体内から漏れ出た液体はそのままだった。

黒い塊が浴槽の底に沈んでいる。

塊の上にタオルを何重にもかぶせて、それを一気に巻き上げて処分した。

あとは繰り返し繰り返しハイターとクレンザーで浴槽を洗う。

ご遺族の方が3人集まっていて、「可哀想なのはウクライナじゃなくてロシア!」という話をしていた。

仕上げにオゾンで消臭。

オゾン消臭をしている間に、生ゴミの整理をすることになった。

鍋に入って白くカビた煮物や、賞味期限切れの食材を処分する。

マーガリンの容器に入ったほうれん草の和え物もあった。

「もー、じいさんなに置いとんやろ〜。まあ食べれそうなものは持っていくわ。これとか賞味期限切れてないやん」と言って冷蔵庫の食材を片方の娘さんが持って帰っていた。

「うちほんま食材いるねん!これも持って帰るわ!冷凍してるやつとか特にいけるやろ!」

「これも食べれる食べれる!」


ついでにと庭の鉢植えなども回収して作業が終了した。

「ありがとうねー。これさっきまで冷蔵庫で冷やしといたから」と、ジュースを渡された。

ありがたく受け取ったもののすごく申し訳ないが、なんとなく亡くなった家の冷蔵庫にあったジュースを飲む気になれなかった。
(と言いつつ3日後飲んだ。)

この日は19時半ごろ作業が終了した。


事務所に帰るとみんなお風呂に入る。

わたしもお風呂セットを持ってきて、ついでに自分のシャンプーも置くことにした。

(↓山下と書いてあるボトル)

画像2

お風呂から上がると、事務所のテレビからYouTubeで再生した音楽が流れている。

家に帰っても鼻の奥に亡くなったおじいさんの腐乱臭がこびりついていた。

サポートしてもらえたらうれしすぎてヒョーー!!ダンスダンス!!!🕺🕺🏻🕺🏼 そのあとはサポートしてもらった画面をスクショして何回もニヤニヤします。