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2wayホーンスピーカー「バグホン」制作備忘録

はじめに

 どうも、χ't(カイト)と申します。
オーディオに興味をもっていろいろ調べていると一度はオールホーンスピーカーに興味を持つはず。しかし超巨大ホーンを自宅に置くのは少し難しい…ということでブックシェルフサイズのオールフロントホーンスピーカー(フロントホーン+バスレフ=コンビネーション型)を自作しました。
制作の記録を備忘録的にだらだら書いてみましたので、誰かの何かの参考になれば幸いです。

使用ユニット

フルレンジ (ウーファー利用)[ONKYO OM-OF101]

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 音楽之友社の「これならできる特選スピーカーユニット 2021年版」のユニットを使用しました。ペア6930円の超コスパユニットで、バイオミメディクス振動版というトンボの羽から着想を得たコーンが特徴。凝りに凝ったユニットは非常に強度が高く、軸上の特性の乱れも少ないユニットになっています。(2021年11月現在値段が高騰しているので注意)

 これを選定した深い理由は特になく、ただ手元にあってホーンにしたら面白いかなと思っただけです。(理論に基づかない分失敗のリスクが高いのでもっと勉強していきたいところ…)

ツイーター [beyma CP-09]

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 ペア2万行かないホーンツイーターがないかとコイズミ無線を眺めていたところこちらを発見しいい感じだったのでこれにしました。

beymaというメーカーはよく知らなかったのですが、スペインのユニットメーカーでPAからオーディオ用までユニットを提供しているところみたいです。最近、私のマイブームで高音に刺し殺されたいのでPAスピーカーにも用いられているツイーターはきっと僕と相性がいいでしょう。

箱(エンクロージャー)製作

 ユニットが決まれば箱が設計できるようになります。今回はサイズから先に決めました。ブックシェルフサイズにしたいのでいろいろ調べて直感でW200*H300*D250のサイズで決定。ホーン部分は別製作という形をとり、なるべく難しいホーン部分を楽に作れるようにしました。

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また、ホーンの後ろの箱部分ですがホーンを奥行き10cmにしたため、W182*H282*D150の7.7Lになりました。10cmバスレフにしては少し小さめの大きさですが、今回はホーンが主役ということでこちらで決定。

 箱は9mm厚のMDFを使いました。ほんとはもっと厚みのあるものを使いたかったのですが、持っていたトリマーの刃が11.5mmまでしかきれなかったので断念。
実はトリマーに憧れて端辺を45度カットし組み合わせる箱作りに初めて挑戦してみましたが、想像以上に難しく練習しまくりました。特に刃の出し加減とベアリングを下の板に押し付けながら進めるのに慣れが必要で道具を使うのも技術の一つだと感じました…

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あとはバッフルや背面にケーブルを通す穴、ダクト用のポートを作り終了。

ダクトは塩ビパイプを利用し、ポートは3Dプリンターで作りました。これくらいのものであればデータも5分かからずにでき、サイズが小さいので印刷も1時間かからないくらいで終わりました。文明の利器に感謝。

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こちらの治具は板を間に挟んでダクトは完成。これで長さの変更ができるようになります。

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ホーンの製作

 いよいよ本題のホーンの製作ですが、はじめにやった感想というか結論を言わせてもらうと、「素人は不確定造形に手を出すな」ということ。

不確定造形は僕の造語ですが(もしかしたらあるかも?)、確定造形は3DプリンターとかCNC、旋盤とかの設計書通りの形ができるもので、不確定はその逆の自分の目分量に頼るパテとか粘土造形のことです。
これを踏まえてホーンづくりを見ていきましょう↓

 まず前例としてホーンは木板を何層にも階段のように重ねて削って作るという方法が多いです。稀に板金を溶接してという人がいますがどちらにも言えることは時間も手間もかかるということ。
ですが時間をかけず楽にやりたいわけです。そのためざっくりとしたホーンの形に粘土を盛って表面をきれいにすれば簡単なのではと思いつきます。

早速スタイロフォーム(50mm厚)と石塑粘土を買ってきました。
製作の流れはほぼ木材のときと変わらず、スタイロフォームで大まかな形を作って粘土を盛って形を整える流れになります。

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カットはカッターとか電熱の発泡スチロールカッターを使い、スタイロフォーム同士の接着はスプレーのりを使っています。後で形を整えるのでここではおおざっぱに出来るので気持ちは楽です。

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 石塑粘土はラドールというものを使いました。
下手に粘土に水分を含ませなかったり、エアコンつけてる部屋で表面だけ乾燥させるとすぐ割れてしまうので水をこれでもかってくらいに含ませては練って、ピーナッツバタークリームのような粘度なったらパンに塗るようにペタペタ塗っていくのが一番きれいにできると最後のほうで見つけました。

そしてこの粘土作業は幼少時台を思い出して楽しいのですが、想像以上にきれいにいかず何回も盛っては直してを繰り返していました…一向にきれいにならず…型紙を作るもあまり機能せず…とそんなこんなでこんな製法でうまくいけばプロになれると素人ながら思います。(笑)
こうして時間と労力を溶かして妥協を繰り返したホーンの出来上がりです。

あとはバッフルと組み合わせて、箱に入れたらウーファー部分は完成。
ツイーターホーンも自作する気満々でしたがウーファーで挫折しました…

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この章の冒頭では手を出すななんて言いましたが、実際やってみて後悔はしてません。やったことでいろいろなことを学べましたしやってよかったとも思います。ただ生半可な気持ちで挑んだり超完璧主義で挑むと死。

ネットワークの設計

 本当はvituixCADとか用いて設計するのがいいのですが、本を買ったり勉強中で環境構築にまだ時間が…
とりあえず今回はこちらのサイトを用いてコンデンサとコイルの値を算出しました。
コイズミ無線曰くツイーターの推奨クロスオーバーは6kHz(12 dB/oct min.)ですのでツイーターに合わせてハイ・ローパスを組み立てました。
フルレンジは箱に入れるとウーファーっぽい音になってしまったので思い切ってローパス入れました。

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値がでたのであとは端子台にコンデンサーとコイルの満員電車をして完成。

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塗装

 スピーカーの形がだいぶまとまったので塗装していきます。
ラッカースプレーを使って2回吹いて1000番の紙やすりでやすり、を2回繰り返して仕上げました。塗装はほぼ感でやってます。あってたらいいのですが…

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視聴感想

 何曲か試聴して聞き込んでみましたが、一番マッチしているのはオーケストラ系と感じました。ホーンのおかげで管楽器のインパクトが凄いです。
低音は100mmホーンで出すのは難しいですが、リアバスレフにしたため量はちょっと少なめですが、包み込むような質が高く心地良い低音が出てきます。

あとになって気づいたことですが、能率がめちゃめちゃ上がりました。OM-OF101は86dB/Wですが、ボリュームコントローラーの目盛を見ると小さくなってびっくりしました。

まとめ

 今まで作ってたスピーカーは平面バッフルとかで箱型は初めて作りましたが時間もお金もどろどろ溶けていきますね…まあ、それ以上に楽しかったのでヨシっ!あとコイズミ無線とビバホームに感謝!!!

で、完成品ですが所謂ホーン臭い音のしない面白いスピーカーができたなと思います。見栄えもかわいくできて結構愛着がでてきました。ですがまだショートホーンの範囲内(?)なのでやっぱり大型のフロントホーンスピーカーへのあこがれは止まりません。
将来色々な余裕があれば大型のホーンも作ってみたいなと思います。

お知らせ

2021年12月19日にaudifillのカノン5Dさん主催の「アニソンオーディオフェス」にこちらのスピーカーを持っていく予定です。ご予定が空いている方はツイッターで座席予約して当日見に行くか、ツイキャスでも配信予定なのでどこでも見られるようにはなっています。ほかにもたくさん面白いスピーカーが出るみたいなのでぜひチェックしてみてください!!!

終了後にここに更新するかも…?


ということで無事アニソンオーディオフェス2021が終了しました!
反省点としてはやはり低音の不足感が気になったところです。
広い会場になるとそれだけ低音に余裕を持たせないと聞きごたえがないと感じました。反してホーンのほうはだいぶ好調で、観客コメントでも評価していただいたので苦労した甲斐があったと感じています。
ただ、ホーンを横向きに大きく広がるように置けばリスポジにとらわれずもっとよかったのではないかなと少し反省です。やっぱり生の意見が聴けると学べることが多いのでこういう機会を設けてくれたaudifillのカノン5Dさんには感謝です!!お疲れさまでした!

また、参加者のkato19さんが全作品のレビューをしていただいています。
毎度ありがとうございます!


活用したサイト一覧

バスレフポートの設計
ネットワークの設計

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