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そして「白」問題/白い壁紙の選び方

壁紙を選ぶことが多く、「色」好きな私ですが、いつもカラフルな壁紙ばかりを選んでいるわけでもありません。

「白い」壁紙を選ぶこと。

これも実はとても奥深い!「白」問題。みなさんの考える「白い壁紙」ってどんなですか?どんな「白具合」でしょうか?それぞれに思い描く「白」色って、実は結構違うんですよね。一見同じように見えていても、微妙にベースの色が違っていて、大きくは「ベージュ系ベースの白色」と「グレー系ベースの白色」。

全体の色味のバランスの中で方向性が決まることもあれば、クライアントと徹底的にすり合わせて選び抜く白もあれば、お任せいただき私の独断で選定する白もあります。これらのシーンから、それぞれに行き着く壁紙の白は、もちろん同じようで違う終着点に向かう場合が多いです。つまり、私は「白壁紙ならコレっ!」といつも同じ品番を簡単には使いません!選び抜いて決めていく「白」を目指しています。(もちろんお気に入りや定番は自分の中のバリエーションでいくつも用意しつつ)

今回は、「お任せ白壁紙」パターンだったので、その選定のプロセスをご紹介します。まずは事前に第一次選考用にサンプルブックから選んだサンプルを準備。ちなみに同じ白壁紙でも、色味の白だけでなく、その表情・柄・パターン・イメージ・風合いなどなど、これまた様々です。色の前にこのデザインの方向性は絞っておきます。例えば、無地マット(ほぼ無表情のツルリと塗装のベタ塗のイメージ)・織物調(布クロスの様なイメージ)・石目調(漆喰や珪藻土など左官仕上げのニュアンス)。で、今回は「石目調の白色」というところまでは絞る!

壁紙以外に、関わる「変えられない白色のベース」も考える。例えば、今回は建具の白色は決まっているので、その白具合とのバランスも考える。逆に使いたい壁紙のイメージが先にあって他の白色の要素が出てきたら、それらも白色具合でやりくりします。机上で見ていると、床方向で壁や天井に貼った時と違って見えてくるので…

自然光の明るいところで立ち上げて(壁に貼ったイメージで)検証。もちろん天井面を想定して、上にかざしたり立ち上がったり、もうアレコレ全身で取り組み、ベースの色味など微妙な白味を細かくチェック。微妙にベースのカラーが違ったりすると、空間になった時に、もやっ!としてしまう(まぁきもちよくないのです)。

更に白色単品を別々に見ていると、それぞれが白色なのだけれど、二つが揃うと「片方のベース色が浮き出て見えてくる場合もあるんです」。スーパーホワイト!ともいう様な「本当の白色」と並べてしまうと、他の白色系は色がついて見える程。更には、近くの色が反射して色移りしたり、映り込んだり、もう「白の世界奥深しっ!」。そんなこんなで、第三次選考くらいをくぐり抜けた白壁紙たち。次なるは多素材とのバランスも考える…

今回合わせたい、石材や素材感との関わりも細かくチェック!よしよし、ほぼ決まってきた。忘れてはいけないのが、想定シーンでの照明とのこと。

「白い壁紙」なんて、パッと決めちゃえばいいじゃん?!…それをパッと決めちゃわないのが、私自身も大切にしている部分でもあり、注文住宅やこだわりの空間創りの楽しいところでもあるのです。何よりも「白色」そのものを大雑把に「白」とまとめてしまうことが私にはできない(したくない)。それぞれの色の個性を十分に理解して吟味して選んだ結果の「白」を積み上げていくのです。

<関連のご参考>

では「グレー問題」/石張りに合わせる壁紙の選び

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