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色彩心理とデザイン

私は「色」が大好きです。単色の色そのものも魅力的だし、それらが組み合わせられて、同調・対比・グラデーション・調和などなど関わり合って作用しあって、そして別のイメージに様変わりするところにも、大きな魅力を感じています。

思えば、現在の仕事もこのカラーコーディネーションから成り立つ部分も多く、その可能性を広げながら、実際の空間としての仕上がっていくのだから、カラーの威力はすざましいとも言えます。長いこと色と人と空間に関する仕事をしてきている中で、気が付いてきたことがあります。それが色彩心理からのインテリアデザイン。

色には視覚的な作用と、その色から感じる感覚的作用、更にそこから気持ちと通じる心理的作用が、仮に一つの色を見た瞬時にそれらが同時に発生しているとも言えます。デザインの分野でも効果的に色を使われることも多い中、それでは住宅はどうでしょうか?

デザイン面からカラーコーディネーションを構成させるのはスタンダードなこととして、色のニュアンスからインテリアイメージにも発展させられます。そして、仕上げに大切なことは、やはり気持ちへのアプローチ(それは色に限ったことではありません)。どんなに先端でデザイン性とバッチリのトレンド空間な住宅ができたとしても、そこで暮らす人が「何だかんか落ち着かない…」と感じてしまったら、その人にとっての快適な住宅にはなれません。

逆をいえば、その人にとって気持ちが落ち着く色構成に大いに重点を置いた発想→インテリアイメージ→最終的にデザイン構成のまとまりをより高める!と組み立てて行くと、気持ちも空間もしっくりと積み重なっていく可能性が高いのです。

一般的なインテリア打ち合わせに際には、クライアントの好みのインテリアイメージ(モダン・北欧・クラシカルなどと言われている全体のイメージ)からの導入も少なくありません。それも方向性の共有にはとても有効です。更に掘り下げて考えていく場合には、「色」はとても効果的に内面を映し出してくれます。もはや語り出してくれる?!と言ってもいいかもしれないほどに。

「人がその色を選ぶとき、その色を選ぶ理由があるのです」

その理由を紐解いていくと…心理の階層のベースに近いところに、言葉になる前の気持ちが見え隠れしていたり。それらのことに強く興味を持った私は、色彩心理学やカラーセラピーについて探究しておりました。そして、わかったことは、やはり「色は語る」ということ。それは、色占いやスピリチュアル的に(それらを否定しているわけではありません)例えば、「赤色を選んだあなたは〇〇です。」という割り振りではなくて。その色に惹かれるきっかけは、何なのだろう?とその人に興味を持つことから始まり、会話のやりとりからカウンセリングにつながる「カラー心理カウンセリング」と言われたりもするものです。

そして、色から受け止めるメッセージは、その内側からだけにとどまらずに、外的な共通言語もあったりするから、面白い!一般的にも「赤=あつい・はげしい・強い・エネルギッシュ」などなどストロングなワードを連想させる興奮色。「青=寒い・静か・冷たい・冷静」などなどクールなワードを連想させる鎮静色。赤色を見て寒い!冷たい。感じる人はほぼいないくらいなので、その色に心引かれる場合は、何かしらの気持ちの作用とその色のコネクトが存在している。

時々ありませんか?同じ色系ばかりを収集傾向にある時期。例えば文房具揃えようと思って、ブルー系でまとめた頃があったかと思ったら…なぜか?違う時期ではイエロー系でまとめてしまう自分に気が付く瞬間。何でだと思います?それは色を介した気持ちの現れだったりもするのですよ。各色について分析を語り出したらキリがありません。

色って不思議。そしてとても深い言語を含んでいると私は考えています。けれど大丈夫!多くの人は無意識の意識で「カラーのネイティブスピーカー」。きちんと使いこなして受け止めています。見えているからそこにあり、そうだからそれなのです。

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