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将棋初段への道 ② 二枚落ちでプロとの指導対局【実戦譜あり】

第二回でさっそく実戦譜を載せてみよう。もちろん私のようなヘボは、指した将棋をきちんと思い返すことができない。そこで新たに将棋棋譜入力 Kifu for Androidを導入して記録することにした。復習を欠かさずに。

実は先日、某大会があったのでそこの棋譜を第二回に、と思ってたんだけど…その時は緊張したのか何なのか、びっくりするほどひどい手を乱発してしまい、良いところなく3連敗。一応記録は取ってるけど、見れば見るほど悲しい気持ちになってくるので、今回はお蔵入りに。もう少し落ち着いてみることができるようになったらまた考えよう。

で、初めての棋譜は駒落ち対局から。日本経済新聞社さんの将棋部の活動に時々お邪魔して指しているのだが、そちらで豊川孝弘七段に指導対局をしていただいている。豊川七段といえば、なめらかすぎる解説が話題になって「怒り新党」でマツコ、有吉がベタ褒めしたほどの見事なダジャリストだが、指導対局でも厳かな中でダジャレをちょいちょい混ぜてきたりして、たいへん楽しい先生である。

私は二枚落ちからスタートしており、二連勝すれば合格(飛車香落ちに昇格)なのだが、まだ通算で2回しか勝てていない…二枚落ちなら悪いことはない、せめて一本入れたい、と思いながら対局に臨んだ。

(初手より)△6二銀 ▲7六歩 △5四歩 ▲4六歩 △5三銀 ▲4五歩 △5二玉 ▲4八銀 △6二金 ▲4七銀 △6四歩 ▲3六歩 △3二金 ▲3五歩 △2二銀 ▲3八飛 △7四歩 ▲3四歩 △同歩 ▲同飛 △3三歩打 ▲3六飛

二枚落ちの代表的な定跡と言えば「二歩突っ切り」と「銀多伝」がある。私の周囲の将棋仲間では銀多伝派が多く、そちらのほうが勝ちやすいという。しかし私は「強くなりたいなら二歩突っ切り、勝ちたいなら銀多伝」(先崎学『駒落ちのはなし』より)という言葉を信じて、ほとんど二歩突っ切りを指している。最初に4筋と3筋の歩を伸ばして、飛車を3筋に振り、飛車先の歩交換ををして中段に構える、非常にオーソドックスな陣型。

△6三玉▲7八金△7三金▲6八銀△8四金▲6九玉△7五歩▲同歩△同金▲5八金△7六歩打▲3七桂△6五歩▲9六歩△9四歩▲4六銀△7三桂▲5六歩△8四歩

カニ囲いに組み、攻撃型を着々と整える。32手目▲5八金では、▲7六歩と前に出てきた金を追い返す手もよくある(そう指すこともある)。7五の金と7六の歩が玉頭で圧迫していて気持ち悪いが、その分持ち歩が多くなるし、攻撃に手をかけることができる。

▲5五歩△同歩▲同銀△5四歩打▲4六銀△8五歩▲3五銀△3一銀▲4四歩△4二銀▲4五桂△6四銀▲3四歩打△5五歩▲4六銀
△4四歩▲3三歩成△同桂▲同桂成△同銀▲5五銀

そろそろ攻撃の手番。5筋の歩交換をしてから銀を3五に持ち上げ、4筋、3筋に攻めかかると見せ、本当の狙いは5五の地点。私の銀が行ったり来たりしてるようだが、下手の右銀と上手の左銀が交換できれば下手良し、とよく言われるので、これはまぁいい状態じゃないかなと自分では思っていた。

△7七桂打

王手。上手にこういうのをやられると途端に焦ってしまうのが下手の性。取れる駒は4種類だが、このままだと5五の銀も取られてしまう…。しかし自分としては、これで悪いわけはない、落ち着け落ち着けと言いながらペットボトルのお茶をぐいっと飲んだ。

▲同銀△同歩成▲6四銀△同玉▲7七角△4五銀打

私が選んだのは▲同銀。感想戦で豊川先生からは「それが最善手でしょう」と言っていただいた。△5五銀だと▲7六銀が金銀両取りになるので、△同歩成の一手。その瞬間に王手で▲6四銀とし、銀桂交換におさめた。角筋も通ってて悪くない、次は▲4四角から一気に攻めかかるか…と思ってたら、本日第二の難関が図の△4五銀。飛車取り。逃げる場所は6か所あるが、下に引いても横に避けてもその後の攻めが難しい…。

▲5六桂打△7四玉▲4四角△3六銀▲5三角成

豊川先生から「鬼の攻めですね、鬼ですね」と言っていただいた一連の手筋。▲5六桂で玉を中央から遠ざけつつ拠点を作り、狙いの▲4四角を敢行。△同銀なら▲3二飛成と龍を作って必勝型になるので、当然上手は飛車を取ってくるが、そこで馬を作って玉に迫る。細いけど無理な攻めをガンガン続けるのが好きな私にはたいへん楽しい状況である。

△6六歩▲6四銀打△7六金▲7七桂△7二銀打▲5四馬

上手も粘ってなかなか崩れないが、80手目の▲5四馬で金金銀銀取り(!)をかけた時は「こりゃ久々に勝てるかも」と思っていた。しかし、ここから事件が起こってしまう。

△5七歩打▲同金△7七金

迫りくる金。▲同金と取ると△6五桂と両金取りに打たれてしまう上に守りの金がうわずってしまうので取りにくい…また、馬が動くと6五に逃げ道ができてるように見える…思わず私はここで、次に痛恨の一手を指してしまう。

▲6六金△4九飛打▲5九歩打△5七桂打 まで上手の勝ち

▲6六金が痛恨の一手で、即座に豊川先生が本日一番の強い手つきで飛車を打ち込んできた。△4九飛▲5九歩△7八金▲同玉△4八飛成▲5八桂打で受かってるだろうと思い込んでいたら、△5七桂という単純な王手があったとは…簡単な詰みを見落としてしまって非常に恥ずかしい。

やはり、戻って△7七金には▲同金と取っておいて、△6五桂に対しては金を逃げずに▲7二馬と入り挟撃体制を作っておくべきだった(参考図)。これでほぼ必至。上手は△5七桂不成、△7七桂不成、とどちらで来ても▲7八玉と上がっておけば、飛車と金だけでは詰まない。

豊川先生は次の日対局があったそうなのだが、「豊川先生は公式戦前日は指導対局でも負けない」というジンクスがあるのだという。それを打ち崩すことが出来なかった…というか、自分が弱い。攻めるのは好きだが受けるのが苦手、な私の悪い性格がもろに出た一局となってしまった。道場で同レベルの人と指すと、ある程度のハッタリで押し切ることができるのだが、それでは限界がある。やはり終盤の読みを丁寧に正確に、しないといけないなぁと反省した。


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