サービス改善の成功率を8倍まで引き上げるユーザーテストの作法

前回記事本質的なUX改善によってプロダクトを伸ばしていくサイクルについて書きましたが、今回はその中でも特に重要なユーザーテストについて書こうと思います。

UX改善による本質的グロースハックのプロセス

グロースハックは10回の施策で1回でも当たれば良い、とよく言われますが、自分はグロースハックのサイクルの中でユーザーテストを実施するようにしてから10回に8回は狙ったとおりに数値を改善することができるようになりました。

本記事ではグロースハックにおいて何故そこまでユーザーテストが強力なのかの理由と、ユーザーテストの実践方法の全体像について書いていきます。

※ 今回は先の記事で書いた以下グロースサイクルのKPI設定が終わっている前提で進めます。

データ分析とユーザーテストの役割の違い

まず、データ分析が「サービスの問題が"どこに"あるか」を特定するものであるのに対して、ユーザーテストは「サービスの問題が"なぜ"生じているのか」を見つけ出すステップです。

たとえば、グルメ系のアプリで翌日再訪率をKGIとしたときに、KPIを「初回利用時の店舗ページ閲覧率」と設定したとしましょう。また、1店舗以上見たときにKGIが大きく動くこともわかっているとします。

つまり、以下チャートのように新規ユーザーが初日に1店舗以上ページを閲覧すると、店舗ページを全く見ない場合に比べて翌日にサービスに来る確率が格段に上がるということです。

しかし、そのままでは「初日に店舗ページを1店舗以上見るユーザーを増やせばKGIの翌日継続率を向上させられる」ことは分かっているが、「どうすれば1店舗以上見る新規ユーザーを増やせるのか」はわからない。

その「どうすれば」の問いを考える上で重要なのが「なぜ多くのユーザーが初回利用時に1店舗も見ていないのか」という”理由”です。そして、この「なぜ」を明らかにするのがユーザテストの役割です。

※KGIやKPIという言葉に不安がある場合は、まずこちらの記事を読んでグロースハックの全体像を掴んでみてください。
UX改善による本質的グロースハックのプロセス


ユーザーテストが必要な2つの理由

1. KPIを上げる施策の確度を上げられる(私の感覚では約8倍を目指せる。)2. 施策を実行するための説得材料を集めることができる

1. KPIを上げる施策の確度を上げる
過去のコンサルティングの経験則からですが、単純にブレストで出た施策をそのまま実行するよりもユーザーテストを実施してから施策を選んで実行するようにしたところ、実際に数値が改善する率が肌感で約8倍程度上がりました。

成功率が向上する理由は簡単で、「なぜKPIが低いのか」という原因をユーザーテストの中で実際にユーザーが困っている様子などから明らかにして、その原因に対しての施策を出せるからです。


たとえば、架空のグルメ系のレコメンドサービスで、KGIを継続率としたときに、KPIが「店舗の予約数」だったとしましょう。ただ漫然とブレストをして、レコメンド機能を強化したり、予約フォームを簡略化してみても結果が出ない。

しかし、ユーザーテストをやってみると予約画面の場所がどこかわからなずに、操作に手間取っていることがわかり、予約画面への導線を改善すると予約数が劇的に伸びた、というようなことが多々あります。

思い込みで施策を乱発するよりも、実際にユーザーが困っている/できていないことを解決してあげれば高い確率で数値は改善します。


2. 施策を実行するための説得材料を集める
ユーザーテストを実施するようになってから、施策を実行まで持っていくのが本当にスムーズになりました。
ユーザーテストで撮影した動画を使ってユーザーが実際に困っている姿を見せるとデザイナー、エンジニア、ビジネス職、皆を動かしやすくなる。

たとえば、私はインドのとあるスタートアップにハンズオンで数ヶ月間コンサルティングを行ったのですが、当初自分のために開発リソースはまったく用意されていませんでした。

しかし、実際にユーザーがクライアントのサービスをうまく使えずに困っている様子を動画に録画して施策提案の中で見せることで、4回の提案施策すべてを優先して開発してもらえることになりました。
インド人はなかなか頑固な人が多いのですが、データとともにユーザーが困っている様子を見せると、最優先で提案プランを実施するために動いてくれました。

言葉で論理に訴えるよりも、「ユーザーの負を解決したい」という感情に訴える方が人を動かすことができる。これは何もスタートアップに限った話ではなくどんな規模の会社でも、愛して止まないユーザーが困っている様子を見せることでチームのやる気を大いに引き出せると思います。

「100回のがんばろう」よりも「1分間のユーザーが困っている動画」の方が圧倒的にチームのモチベーションは上がるのです。

以上2つの理由から工数を割いてでもユーザーテストを実施すべきだと考えています。


ユーザーテストの全体像

それでは上記2つのような強力なメリットがあるユーザーテストでは具体的にどのようなことを実施していくのか。ユーザーテストは下記の3つのステップに分けることができます。

設計、実施、分析それぞれの概要について説明します。詳しい中身についてはまた別の機会に解説をするので、まずは全体像を掴んでみてください。

■ 設計フェーズ
設計フェーズはユーザーテストであぶり出したい事項を整理し、それらを設問項目に落とし込んでいくフェーズです。設計フェーズは具体的に以下のようなステップに分けられます。

ここのステップがテストをする上で一番重要です。

テストの設計が不十分だと、実施や評価をしても「なぜ」KPIが低いのかを明らかにしにくくなるからです。ここの部分については語れることが相当に多いため別の記事で詳しく書こうと思います。

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■ 実施フェーズ
実施フェーズは実際にユーザーテストを行うフェーズです。テスト中にやるべきこと、 やってはいけない事がいくつかあり、それらに留意しないとテスト結果が歪められてしまいます。 下記のようなことを特に注意してください。

たとえば、ユーザーがプロダクトを操作中に「これはどういう機能ですか?」などの質問をしてきた際には絶対に質問に答えてはいけません。

質問に答えてしまうと本来ユーザーがするはずだった"失敗"を見ることができないからです。

ユーザーテストの目的はできるだけ多くのユーザーの"失敗"を見つけてサービスの欠陥を見つけることです。
質問されたら必ず「どう思いますか?」と問い直しましょう。


■ 分析フェーズ
分析フェーズはユーザーテストで見つかったサービスの課題やその他の学びを整理し、 次のアクションに繋げていくフェーズです。発見点の正しい整理の方法を知らないと 膨大な発見の数に圧倒されてアクションに繋げていくことができません。 下記の3つのステップを踏むことで「なぜ」KPIが低いのかを洗い出すことができます。

① 課題をポストイットにまとめる
ユーザーテストの中で見つかったサービスの課題をポストイットに書いていく。その際の注意事項として以下を守る。

- 1つの課題につき1つのポストイットに記入する
- ユーザー毎に記入するポストイットの色を分ける
- ユーザーの意見など、課題以外の学びについては別にメモで残しておく

② 課題のグルーピング
見つかった課題を同種のカテゴリーにグルーピングしていく。

③ 優先順位付け
グループ化した課題をインパクト×頻度の2軸で評価し、その両方が高い課題から優先的に改善に着手していく。


インパクト軸と頻度軸の高低に関しては下記のように評価する。


まとめ

以上ユーザーテストの重要性と全体像についてまとめてみました。ユーザーテストは工数がかかり、きっちり設計をしないと成果を上げづらいので敬遠されがちです。。

しかし、丁寧にやることで最終的にかならずサービスのプラスになり、むしろ的はずれな施策にかける時間を節約できるのでより早くサービスの改善を達成することができます。

ぜひ本質的なグロースを達成するためにもユーザーテストを活用していってください。

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