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ワークショップデザインにおいて一流と二流を分けるもの

コンサルの仕事の依頼でワークショップものが増えてきた。

特に大手のクライアントほどワークショップ形式で難しいお題を解いて欲しいという依頼が多い。果たしてこんな若造で良いのかと思うほど、日本を代表する企業の重要な意思決定をワークショップ形式でお手伝いしている。

もともと自分はワークショップデザインが得意なのだが、それでもいくつかワークショップをやる中で、素晴らしく上手くいくワークショップと失敗ではないが何か物足りないワークショップがどうして生まれてしまっていた。

そうした両者の差はなんだろうと考える中で1つの答えにたどり着いた。突き詰めるとそれはワークショップデザインにおける一流と二流を分けるものだと思ったので、ここに備忘録的にまとめておきたい。

結論を先に言ってしまうと、
・二流のワークショップは「整理」に留まってしまうワークショップ
・一流のワークショップは「偶発的な気付きや発見を必然的に生む」ワークショップだ。

ワークショップに期待されるものの1つが、いくつかのフレームワークを用いながら情報とアイデアを整理して結論に導くというものだ。

例えば事業のポジショニングの定義であったり、顧客ターゲットの策定であったり、通常の議論のプロセスではなかなか結論が出づらいテーマに対して、整理のためのフレームワークを用いながら結論を紡ぎ出していく。

情報やアイデアを整理するための体系だったプログラムを持たないワークショップは論外、三流以下だ。自分はフレームワーク大好き人間でこの整理の設計に関しては絶対の自信がある。

ただ、情報やアイデアの整理の場を提供するだけでは真に素晴らしいワークショップとは言えない。

では、真のワークショップ、一流のワークショップの頂に到達するために何が足りないのかというと「参加者全員がハッとするような気付きや発見」をいかに「仕組みとして必然的に生むことができるか」だと思う。

情報やアイデアを整理しつつも、今までの議論の延長線上や、今までの思考のフレームでは到底獲得できなかった視点や捉え方を見つけたときに、初めてワークショップ参加者は感動を覚える。

自分も今までのワークショップで計画的でないにしろ、このレベルのワークショップを届けられたことが何回かあり、参加者から興奮した声で「感動しました!」という嬉しい言葉をもらえたことがある。ワークショップを設計した者として「感動」という言葉ほど嬉しい言葉はない。

ではこうした「参加者全員がハッとするような気付きや発見をいかに仕組みとして必然的に生むことができるか」であるが、ここは自分もまさにトライ&エラーで考えている最中だ。

その中でも大きなヒントになったものがあるので最後に紹介したい。USBメモリを含む数えきれないくらいの発明・企画を生んできた濱口秀司さんの思考法だ。

濱口さんの思考法
①アイデアをできるだけ多く出す
→②アイデアに投票しながらなぜ良いと思ったかを考える
→③良いと思った理由から筋の良いアイデアの背景にある要素を出す
→④その要素をもとにいくつかの軸をつくる
→⑤その軸をもとにアイデアを2×2のマトリクスで構造化する
→⑥アイデアの空白地帯を見つける
→⑦空白地帯のアイデアが「議論を生む」「実現可能」「見たこと聞いたことがない」の3条件を満たしているかチェックする


自分もちょうど再来週に日本が世界に誇る企業の今後の将来を占うであろう新ブランドのブランドビジョンを定義するワークショップを控えている。

濱口さんレベルには遠く及ばずとも、偶発的な発見・気付きを必然的に生むフレームを参加者に提供できるように必死で考えていきたい。


Special Thanks

この考えに至ったのは大学とサークルの先輩で、一緒に案件をやらせて頂いている電通の志村さんとの会話に依るところが大きい。

いつも良質な学びをありがとうございますm(_ _)m

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