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泥出しの作業で注意してほしいこと

九州各地で大きな水害が発生してしまいました。
犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。
行方不明の方がご無事であることを願っています。
自宅などの建物が被災してしまった皆様へ、お見舞い申し上げます。
今降っている雨が上がった後、泥が入ってしまった建物の泥出しと洗浄が始まると思います。
これまでの水害の地での活動で学んだことを書き記します。
被災された方も泥かきのボランティアをお考えの方もご一読ください。

その泥は危険な泥かもしれません。

水害で発生した泥は、山から下りる時に河川をえぐってきます。
河川には長年蓄積した重金属や破傷風菌を含んでいる場合があります。
また、水害を発生させた水は地上だけでなく地下も通っています。
地下を通った水は、下水管の中の糞尿も運んできます。
浄化槽ではなく便槽を使っている地域では便槽の中身も運び出します。
家に入り込んだ泥は、子どもが砂場で作った泥団子とは根本から違います。
泥出し作業をする前に病院で破傷風の予防接種を受けてから作業に臨んでください。
また、泥の中に釘や割れたガラスが隠れているかもしれません。
必ず長袖と長ズボンと厚手のビニール手袋と(できれば)踏み抜き防止長靴で作業してください。
乾燥して粉塵と化した泥を吸い込まないためにマスクも忘れずに。

泥出しは手段であり、目的ではありません。

泥出しをする際に邪魔だからと言って根太(ねだ)を切らないでください。(絵が下手でごめんなさい)

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根太を切ると、大工さんにしか直せなくなります。
被災地では、極端に大工さんが不足して、住宅の再建に遅れが生じてしまいます。
泥出しと洗浄は、被災した住居の修繕に欠かせないものですが、泥出しの目的は、住宅を一日も早く住めるようにすることです。
泥出しのために住宅の直しが遅くなったら本末転倒です。
どうしてもという場合、丁寧に釘を抜いて、根太を切らずに外してください。

泥出し後の洗浄と消毒

泥を出した後、洗浄と消毒が必要になります。
高圧洗浄機があればベストですが、電気もない被災地だと水をかけてブラシやタワシでこすることになります。
見た目がきれいになっても、雑菌が残っていると臭いや建物の腐敗の原因になります。石灰や次亜塩素酸を使って消毒してください。
被災からある程度時間がたてば、行政で配布してくれることもあります。
消毒に使う薬品は強いので、皮膚に付かないように長袖と長ズボンと厚手の手袋、目に入らないようにゴーグル、吸い込まないようにマスクをして作業してください。

泥出しに必要な物品

泥出しにはいろいろな道具が必要です。
被災した地域では、すぐに売り切れてしまうでしょう。
泥出しボランティアに行く人は、予算に無理のない範囲で、被災地以外で買って持ち込みましょう。
・角スコップ(大、小) → 平らな場所に溜まった泥を集めるのに威力を発揮します。
・剣スコップ → 厚く溜まった泥を掘ったり地面を掘るのに威力を発揮します。
・土嚢袋 → かき出した泥を入れて集めておくので大量に必要です。持てないほど詰めないことが大切です。
・バケツ、デッキブラシ → 洗浄にはなくてはならない物です。
・雑巾 → 壁の仕上げ拭きに必要です。土砂災害発生時に一番最初に集められるのが古いタオルなのは、このためです。
・高圧洗浄機 → 泥出し後の仕上げに威力を発揮しますが、安いものではないので、資金に余裕のある方、お願いします。
・発電機 → 被災現場では、電気が来ていないことや建物のコンセントが使えないことが多いので、あると助かります。やはり、安いものではないので、資金に余裕のある方、お願いします。
・他にも、一輪車やくぎ抜きやトンカチやドライバーセットなど、あると便利なものが多数あります。災害ボランティアセンターや多くの被災支援団体のホームページで見ることができますので、調べてみてください。

泥出しの基本は安全

泥出しをする現場では、泥の中に危険が隠れているかもしれません。
熱中症になるかもしれません。
無理が一番危険です。
今の九州は梅雨。これから夏になり、気温は30度を超えるでしょう。
休憩、水分補給をこまめにとりましょう。


※ トップの写真は、いち早くタオルと水などを持って熊本入りした広島の佐渡忠和さんが撮影したものを使わせていただいています。写真は建物の所有者さんと写っている人の承諾を得て撮影したものです。このnote以外への転載はおことわりします。